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33話

 フゴフゴッーフンガァッー!!


 「わっ!?な、なになに?なんなのこのキモいモンスター!」


 クエストに必要なアイテムの採取、あとできればイタチにリベンジする為に訪れた森で私達が遭遇したのは二足歩行の豚と人が合わさったようなモンスターが2体。

 遠くから近づいてくる時から「フゴッーフゴッー」と大きな声を出していたので気づくのは容易でしたが、その醜悪な見た目からあまり近寄りたくない類のモンスターであることは明白。


 2体とも棍棒らしき武器を持っており、その太い腕で振るわれる攻撃力は計り知れない。というか私なら大抵の敵の攻撃で即死するので強そうとかそう言った判断はアテにならないけどね。

 私は対象に近づかず、ただ指示を出して皆に守ってもらえば良いのだし。(なんてひどいプレイヤー)


 このエスというゲームでは鑑定系統のスキルがなくとも、ある程度対象を認識できる所まで近づけば(近づかれれば)敵の名前だけは表示される。


 その表示されたモンスターの名前はオーク。

 なるほど、言われてみればそうとしか見えない。人型の豚モンスターの定番といえばこれだよね。

 私としたことがそんな事にも気づかなかったなんて。


 そのオークは獲物(私?)を見て涎を垂らしながらなにやら興奮しています。あぁ、もしかしてよくある設定の女をアレコレする為に狙うってやつかな?

 ……うん、絶対捕まっちゃいけない気がする。このアバターは私の体じゃないけど、そんなことになったらショックで立ち直れない。初めてが人じゃなくてゲームの中のオークとか勘弁して欲しいもん。

 あっ、R18の対応ゲームじゃないんだから実際には起きないだろ?とかそう言う突っ込みは無しで!



 フゴッフゴッー!


 オークたちは武器を振り上げ、私のいる方向へ一直線に向かってくる。

 すぐに私に向かってくるってことはオークは私の【好感】系スキル効果が及ばなかったゴブリン達と同じ、亜人種モンスターなのね。


 「みんな。私を守って」


 「ガルルッ!」


 「コポッ!」


 「クケェッ!」


 セツナたちが返事をしてくれる。ってあれ?コウガの返事が無いよ?

 そう思い周りを見るとコウガの姿が無い。ど、どこいったの?


 よくよく探すとコウガは既にオークのうちの1体に喰らい付いていました。その体からは赤いオーラらしきものが発生しています。なにあれ怖いんだけどッ!?


 コウガのステータスを調べると《狂乱》の効果がついていました。

 どうやらコウガは私の指示を待つことなく【狂乱】スキルを使用し突っ込んでいたみたい。


 その暴れっぷりは鬼神の如し……。


 私が視線を向けた時には既にオークが1体粒子となり消えていくところでした。

 コウガは怒りに任せて残り1体にも攻撃を仕掛けようとしたみたいですが、そこで《狂乱》が消え《混乱(弱)》に変化してしまった。

 まだ覚えたてで使いこなせてないから、狂乱の効果時間が短く混乱になったのだと思う。


 混乱中のコウガはあたりの木々に体当たりをしたり、オークに噛み付いたりしている。

 私達のいる場所とは離れていた為、彼の攻撃の対象にならずに済んだのは良い事だと思う。


 暫くして正気に戻ったコウガは、そのままオークに対して攻撃を開始。

 私はイリスに周辺警護をお願いし、クルスとセツナとコウガのフォロー向かわせ、オークの討伐を果たすことが出来た。


 「コウガ?どうして勝手に突っ込んで行ったの?」


 「グルルッ……」


 聞いておいてなんだけど意思の疎通が出来ないのが辛い……。何で怒ったかを質問していくと、どうやらコウガはオークが私を変な目?で見ていたことに怒り、気付いたら勝手に体が動いていたっぽい。

 えっ?意思の疎通できてるじゃないか……って?目を見れば考えてる事位は分かるでしょ?

 あっ、これは意思の疎通なのね。気付かなかった!


 「次は勝手に動いちゃダメよ?」


 「クゥンッ……」


 うん、ちゃんと反省してくれた様で何より。でも期せずして【狂乱】の効果が見れたことだし、そこだけは良かった点かな。何度も使ってもらい、怒りのコントロールを出来るようになってくれたら、コウガはウチの仲間の中でもダントツの火力メンバーになるんだし(今でも強いけど)ね。



 オークたちのドロップアイテムを確認すると豚の耳とオークの肉というものがアイテムボックスにあった。それも複数……。


 「いきなり肉が大量にっ!?も、もしかしてオークって、お肉を落としやすいのかな」


 アイテムボックスからオークの肉を取り出し、みんなの前に出す。出した目的は食べさせて戦力強化のため。


 ……だったけどなぜか誰も食べようとしない。いつもならお肉を見れば目の色を変えてがっつくのに、皆揃って私に「えっ~?」という目を向けていた。


 なぜかと思い素材の説明を見ると、どうやら特定の処理をしないと毒肉扱いになるみたい。だからなんでよっ!

 多分特定の処理って言うのは調理スキルに関係するだろうからシオリさんに相談する事にして、メールを送っておく。朝早いこともあってシオリさんはログインしていなかったし。



 気を取り直してクエストアイテム《ウツボカズラの枝》を求めて森を進む。

 道中、何処からともなくやってくるオークとの戦闘回数が多かったけど、やっぱりイリス以外は進化しているというのが良かったらしく苦労しないで進む事ができた。たまに魔法を使ってくるオークがいたのには驚いたけどね。ちなみにオークは鼻がすごくいいモンスターで、かなり高めの隠遁能力が無いと見つかるっぽい。


 それにしてもイタチが出てこない……。イタチとの再戦もここに来た目的の一つなのにな~。



 さらにある程度進んでいくと、出現するモンスターが変化した。

 オークがでなくなり、トレントという木のモンスターとオーガという鬼っぽいモンスターを見かけるようになった。


 トレントは基本動かないモンスターで、自分の攻撃範囲に獲物がはいらない限り攻撃してこないので、一旦発見してしまえば離れて魔法攻撃でチマチマ削り倒す事ができる。とはいえ、全く遠距離攻撃してくる方法が無いわけではなく、たまに鋭利な葉を飛ばしたり、木の実を爆弾のように降らしてくる攻撃してくるので要注意かな。

 ドロップアイテムは言うまでもなく木材系と木の実。


 問題は残りのオーガ。オーガはオークと違い、横の幅よりも縦の高さがある。手に装備している武器も剣や斧等の殺傷力の高そうな武器を持って周辺をウロウロしている。

 まあオークと違って鼻が利かないのか、視野に入らない限りやり過ごせることが分かった。


 オーガとも勿論戦闘を行い、その強さを調べました。攻撃手段を調べる為に回復をしながら数体と戦闘をする。


 そこでわかったのはコウガ達全員をけしかけて、やっとオーガ1体を倒せるってこと。一度に複数と戦いになると負けますね。

 コウガは狂乱スキルで攻撃能力を強化してたし、クルスやセツナも持ちうる限りの高威力魔法を使用しての結果です。打たれ弱いイリスには飛行を利用する事で安全圏から攻撃を仕掛けてもらった。

 オーガの戦闘方法は咆哮を使ってのスタン狙いからその高威力っぽい武器で止めを刺しに来ることが多い。ウチのコウガやクルスも威嚇や奇声を使って何とかと言った所。


 ドロップアイテムは鬼の皮と私では扱えない鉄ではない鉱物系の剣や斧などの武器。

 武器の品質に関してはBさんあたりに調べてもらって引き取ってもらえそうなら引き取ってもらうとしましょうか。



 それよりパーシヴァルさんからの依頼品に《鬼王の大角》があったの覚えてますか?


 オーガ=鬼なのであれば鬼王というのはそのオーガ系のボスのはずよね。しかも王の称号を持っていそうなモンスターだし。私には戦わないという選択肢は選べない。どういった結末になるにしても鬼王と言う奴の強さは調べておきたいものです。

 まあオーガ1体相手にするのがやっとの私達では到底、合い間見えることすらできないでしょうから、もっともっと強くなる必要がありますけどね。



 先に進むに連れてオーガを見る回数が増えているので、これ以上奥に進むのはよろしくないみたい。


 皆だいぶ強くなったと思ったのにオーガで足止めされちゃうなんて無念です。

 オーガと安定して戦うにしろ、ボスの大鬼に挑むにしろ、イリスにも進化させて全員のレベルが最低15を超えるくらいは必要かもしれない。(現在コウガとセツナが4レベル、クルスが9レベル)


 なので暫くはトレントが多めにでる位置まで戻って狩をするか、オークを相手に狩りをするか迷う所……だけど、私はオークが出る方へ戻る事にしました。

 オークなら私が無謀な動きをしなければコウガやクルスが倒してくれるし。それにオークって決まって人型の女性である私を狙ってくるから、対処しやすいんだよね。



 あとクエストアイテムの《ウツボカズラの枝》ですけど、まずはオークやイタチが出るフィールドから探していこうかと思います。

 他のクエストアイテムがあった難易度的にオーガみたいな強いのが出るところにあるとは考えにくいですからね。いまのオーガとか今のプレイヤーからみればボスクラスといっても過言じゃないもん。


 無事にオークが出現するエリアに戻ってくると、1つのパーティがオーク3体に囲まれ絶体絶命のピンチに陥っていた。

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