192話
久しぶりの更新です。本来なら5月1日に更新するつもりだったんですけど遅れに遅れて今に‥‥。
何とか更新頻度を上げたいところなのですが、書く時間を割けないことと、あいかわらず文章構築面で不安が多々ある為、出来ない状況が続いております。
今後も不定期更新が続きますが、何とか完結までもっていきたいと思っておりますので気長にお待ちくださると幸いです。(ちなみに終わりまでの流れは全く決まっておりませんのでグダグダのままかもですけど……中の人としては巻いてしまえ(業界用語?)と言う指示が出ているのですがどうやって巻けばいいのかすら‥‥orz)
そう言う訳でこれからもよろしくお願いします。
無事修行を終え、砂漠の集落へ帰還した私達を呼び戻したトリビアをまっている。
‥…あれ?私達って修行しに闇の山脈エリアに行ったんだっけ‥‥?何か別の目的があったような気がする。
うーん、まあいいか。とりあえずそっちよりも謎の魔王の件の方が大事なのは間違いないはずだしね!
「アイリ様、お待たせして申し訳ありません。早速ですが相手の存在を認識した事により私たちが謎の魔王と呼んでいた存在の正体が判明いたしました。
対象の名前……それは古代魔王種が各地を治めていたころに暴食とよばれていた貪豚獣ブーフェスです。
ブーフェスは今私どもが直面している通り、古代魔王達が跋扈していた時代にその土地の魔素を根こそぎ奪い去る事から、ほぼすべての古代魔王から忌み嫌われていた存在でした。
当時の文献を調べてみた所ブーフェスは、力の観点から古代魔王種と同格を張る魔獣だったようです。
土地の魔素量によって強さを得ていた当時の古代魔王種達は魔素を奪われたことにより全力を出し切ることが出来ず、ブーフェスを倒す事はおろか撃退するのがやっとだったようですね。
もちろん複数の古代魔王種が組んでさえいれば討伐は容易だったのでしょうが古代魔王種同士は基本的に敵対関係でしたので、手を組むことなど考えられなかったのでしょう。
ですがその関係を逆手に取りブーフェスと手を組んでいた古代魔王種が居たようです。ブーフェスはその古代魔王種と相互互助に関する契約をしたようなのですが、おそらくその関係で今現在も魔素を集めているものと思われます‥‥ですが申し訳ありません、契約内容までは調べることが出来ませんでした」
トリビアの説明を聞く限り、貪豚獣もといブーフェスは純粋な王種ではなく実は魔獣系統だという事。
ただ、過去に存在し絶大な力を持っていた古代魔王種達と張りあえる程の力があるので油断はできないという事ですね。
「大体はわかった。で、今現在ブーフェスはどのあたりに居るのかな?砂漠西部に現れたんだよね?」
「はい。ブーフェスは我等の領地である砂漠西部エリア北東に隣接する《闇の大山林》エリアにある《マリンギの森》側から現れ、砂漠西部エリアを南下しつつ魔素を奪っています。おそらくブーフェスはそのまま南下を続け、私が発見した古代魔王種の眠る洞窟へ向かうものと思われます」
「ブーフェスの狙いは以前トリビアから聞いた棺に眠る古代魔王種の可能性があるのかぁ。
でももし、そっちに向かわなかった場合、こちら側に来る可能性はあるの?」
「そうですね。無いとは言い切れません。仮に砂漠西部エリアの魔素だけでは足りない場合、高確率でアイリ様の統治のおかげで魔素が豊富となった此処、砂漠東部エリアに来るでしょう」
「そう、了解。それじゃとりあえず相手の事を知るためにも、ひと当てしに行ってこようかな。山脈エリアで育てた配下の力がどれだけ通じるかも見ておきたいしね」
私がそう言うとトリビアは「わかりました。御武運を」と言い残し退出していった。
修行から帰って来たばかりだけど、ディアスとアーシェは修行で疲れているだろうとおもい、テイムスキルの魔物収納へ帰還させた。
「それじゃ皆行くよ。今回は基本的に配下達に任せるから皆はブーフェスの強さを測るようにしてね」
「我が主よ、心配せずとも我に任せておくがよいぞ」
「過去の古き魔獣程度、現在の王たる我が蹴散らしてやろう」
ロアンとクルスが言うが今回は配下に任せるのであって二人の出番はないからね?とはいえ、相手は今は当時絶大な力を持っていた古代魔王種と張り合えるくらいの力を持っている存在だったのだから、油断だけはしちゃいけない。現在進行形で土地の魔素を吸収していってるのだから弱いとは絶対に言いきれない。
そして悲しい事だけど配下のいくらかはやられてしまうだろう。彼らを犠牲にする代わりに私たちが戦う際は必ず勝たなければならない。今日はそういう覚悟を持って挑むべき。
砂漠西部にあるブーフェスが最後に発見されたあたりに来ると魔素がほとんどなくなっていることに気づく。とりあえず周囲の偵察のためにクルスに飛んでもらい、ブーフェスを探してもらった。
しばらくするとクルスが離れた場所で急激に魔素が減少したことを察知したので、クルスの案内のもと、そちらへ向かうと金色に所々黒い文様が入った毛皮の巨大な豚悪魔が魔素を吸収している現場に遭遇。
どうやらこの黒と金色のメッシュが入った毛皮の豚がブーフェスなのでしょう。
「ブヒヒッ。貴様がこの土地の王種か。久方ぶりに起きてみれば食いつくしたはずの土地に魔素が満ちていて驚いたぞ。ワシのエサ場としてこの土地は貰ってやる。感謝するがよいわ。ブヒッ」
「そんなことさせるわけがないでしょう。断固阻止させてもらうわ。
【軍勢:亜人種】・【軍勢:魔鳥種】・【軍勢:獣種】! さあみんな思う存分暴れてきなさい!」
私の声に反応し、軍勢召喚陣から飛び出してきた複数のモンスター達。
まずは【亜人種】の戦力であるアビスゴブリン。これは闇の森で配下にしたブラックゴブリンを少しずつ派遣しては育成し融合でランクを上げて誕生した。モンスターランクでいえば7に当たる戦力で潜伏スキルなどを持つため障害物のあるフィールドではかなり強い。
素体となったブラックゴブリンを育成しただけあって呼び出した中では上位に位置する子達だ。
この戦闘では亜人種配下達の部隊指揮を任せている。
次に【魔鳥種】の岩窟鳥。ロック鳥と呼ばれるモンスターの亜種進化したモンスターで高山エリアで配下にしたマウンテンバードを進化させた存在。モンスターランクは7でクルスよりも上だけど、戦闘力では限界突破をせずに進化した事と王種ではないことが災いしてか良く言ってクルスの下位互換くらいの能力。だけどその代わりに個体数を多く集めておいたので今回の様子見の戦闘では強い・・・と思う。
最後に【獣種】のランク7のデュークドッグ。同種モンスターの指揮に特化した部隊長クラスのモンスター。もともと群れで暮らす犬系モンスターであるため個々の能力は脅威ではないけど、平地などで行う狩猟を兼ねた集団戦では目を見張るものがある。
同じように呼び出した魔鳥種の岩窟鳥と似たようなポジションだけど、集団戦のスキルはこっちの方が断然上です。ちなみにこの子達はコウガ担当の配下なので、あまり犠牲は出したくないけど‥‥コウガがどうしてもこいつらを使ってみて欲しいと甘えてきたので、死んで居なくなるかもしれないことを言い含めた上で呼び出す事にしました。
「ブヒヒッ!笑止っ!その程度の者どもにやられるワシではないわっ!皆殺しにして魔素を奪ってやる」
ブーフェスはニタニタと笑いながらどこからともなく取り出した斧を構えた。
こうして私アイリと謎の魔王と呼ばれていたブーフェスの戦闘が始まった。




