189話
コメントなどをくださっている皆様へ。
ちゃんと読ませてもらってます返信が出来ていないことを謝罪いたします。
あとご指摘箇所の修正が出来ていないことも重ねて謝罪いたします。これに関しましては読み直しをした上で修正していきますので気長にお待ちください…。
いざ目的地へ向かおうとする時に限って緊急の連絡が来るのはリアルでもゲームでも同じなようです。
何が言いたいのかと言いますと、《精霊の森》の情報を集め終わり、エルフ系の配下を増やすべく町を出てすぐに闇の領域にある私の領地から連絡があったわけ。
「アイリさま。緊急事態が発生いたしました。至急砂漠の集落までお戻りください」
このようなメッセージを送って来たのは領地運営を任せている森の賢者と呼ばれていたトリビアです。
私が色々な所を周りたいがためにその豊富な知識を見込んで彼女にオブザーバー(?)みたいなことをやってもらったところ、それはもうドハマりしてしまい、定期的に入れている領地運営費用を活用し、民家が数件しかなかった砂漠の集落を町クラスまで変貌させてしまったのです。
その規模になっても名前は砂漠の集落のままなんですよね。なぜでしょう…。
とにかく緊急事態と言うのであまり使う事のなかった転移で砂漠の集落へ帰還することに。なにげにスキルで長距離移動の転移を使うのは初めてなんですよね…。スキル使用の際に消費する転移石がなかなか手に入らないという事もあるので。
でもこの辺に関しては暗殺ギルドの長であるイザベラにいえば手配してくれる。彼女もなんだかんだで私の配下なんだよね。戦闘には参加しないけど‥‥。
っと、話が逸れたので元に戻すとしまして‥‥久しぶりに砂漠の集落にある私の領主館に入るとトリビアを始めとした従業員の皆さんが出迎えをしてくれた。
「お待ちしておりました、アイリ様。早速ですがご報告をさせていただきたく…」
「なんか緊急だって言ってたよね。どうしたの?」
「以前より懸念されておりました土地の魔素を根こそぎ奪う謎の魔王らしき存在が領地のすぐ近くで発見されました。現在の所はまだ侵入されておりませんが、いつこちらに向かってくるかは全く不明です」
あー、そういえばもともとこの砂漠地帯もそいつに魔素を奪われてできた土地だって言ってたっけ。
私が治めるようになって徐々に魔素が回復してきたから出戻ってきた感じかもしれない。一度奪い取った魔素が復活したからと言って、また狙いに来るとか言うはた迷惑な事をしてくる存在を許せるはずもないので、次に何か行動を起こされた時に動ける様に私はしばらく闇の領域に滞在することに決めた。
「わかった。それじゃあしばらくこっちにいるからその謎の魔王の動向がわかったらすぐに知らせてくれる?」
「承りました。では引き続きアイリ様が不在の際の領内の報告もさせていただきます・・・」
トリビアからの報告は領地内のダンジョン稼働状況やら集落に居候しちゃっているカティちゃんの作ったアイテム・装備類の売り上げ、住民の流入状況その他諸々を聞かされることになった。
‥‥ただ領地に関してトリビアに丸投げしているせいか、そこまで自領について詳しくないので聞くだけになってるんだけどね…。あぁ、もちろん不明な点は質問して出来る限り理解していってるつもりですよ?
そんなカティちゃんは私の家族の一人であるティアとすごく仲がいい。ティアも生産スキルを多数持つ上に、珍しい素材等も作り出してくれるためだと思う。
「ふむふむ。ダンジョンに関して不都合とかはないの?」
「それが‥‥徐々に領内に滞在するプレイヤーの皆様が減りつつあります。おそらくダンジョンでの経験値効率がプレイヤーの方々の強さと合わなくなってきたものと思われます」
どうやらうちの領地に滞在していたプレイヤーはもう現在の設定では割に合わないと判断して別の地域に移動していってるみたいですね。
かといって既存のダンジョンをただ強く設定しなおせば良い訳でもない。そんなことをしたら今現在頑張っているプレイヤーの狩場がなくなってしまいますからね。困った。
「アイリ様。そこで御提案がございます。既存のダンジョンを利用できないのであればまた新しい物を作ればよろしいかと。
具体的に申しますと【魔素掌握せし~】の称号を持つコウガ様達などお留守番をされている方がダンジョンボスを務める事でダンジョン内の魔素濃度が高まり、その強さに見合った魔物が湧くようになります。仮にプレイヤーの皆様が倒せなくとも、その湧いたモンスターをアイリ様が配下にすることで軍勢の強化にも繋がる訳です。
ただし問題は現在の領内に作れるダンジョン数がほぼ最大になっておりますので新しいエリアを獲得する必要がございます」
おぉ、それはすごい。ある意味マッチポンプ(?)とかいう奴じゃない?
ただ問題はコウガ達が引き受けてくれるかどうかなんだよね。私も彼らが大好きだけど彼ら自身も私の事が大好きなはずだから離れたがらないかも‥‥。
「我が主よ。少し良いかの?」
どういう風にコウガ達に話そうか迷っていると傍で寝ころんでいたロアンが話しかけてきた。闇の領域内にいる時は家族全員を放し飼いにしているので各々が好きな場所にいる。
しかし領内とはいえ私の護衛は必要だと言うので今回はロアンがいたわけです。
「あ、どうしたの?ロアン」
「我が思うにはじゃな、コウガ達を説得するために我等の中で競わせてみればよいのではと思うのじゃよ。我等の中で誰が一番主に貢献できるかを直接争うことなく結果が出せるのじゃからのぅ」
「別に競わせたいわけじゃないのだけどロアンがそういうならその方向で考えるのもありなのかな?」
でも闇の領域に入ってから家族になった子達は【魔素掌握せし~】の称号を持ってないんだよね。その辺はどうしよう。
「我が主よ。我は王種であるぞ?そのような称号はなくとも魔素くらい操れるわい」
あ、そうか。ならロアンは心配ないね。ティアに関してはダンジョンボスとか絶対できないタイプだからやらないでしょうね。一応話はするけどさ。
アーシェとディアスに関しては二人が一般的に見てどの位の強さにいるのか知るためにもやってもらいたいね。この二人が個々に作ったダンジョンとかすごい興味があるし。
その後、家族全員に集合してもらい話を振った所、案の定ティア以外は全員乗り気だったので、ダンジョンを作れるような領地を獲得するべく話を進める事にした。
ちなみに今の現状で新ダンジョンを作れる場所は合計五カ所。
拠点のある砂漠エリア東に一つ、砂漠エリア西に一つ、雪原エリアに一つ、孤島エリアに一つ、高原エリアに一つとなっている。
一応この中でどのエリアを希望するか聞いてみた所、砂漠の東にアーシェ、西にディアスが。
雪原エリアは元々そこに居たロアン、水場の多い孤島エリアはイリス、高原エリアにクルスがそれぞれ名乗りを上げた。
残るはコウガとセツナにルドラなんだけど、一人は護衛役に必要なので後二箇所エリアを守って居るモンスターを倒すか配下に加えないといけないわけですか。良さそうな候補地あるかなぁ…。
名前の挙がっていないカエデに関しては王種であるけど基本形態が木の枝のようなもので自力移動が出来ないし私の装備品扱いなので候補から外してあります。
「一度闇の領域の冒険者ギルドに行かれてはいかがでしょうか?不在だったとはいえ領地が潤ったことで多少の評価がされているはずですよ」
「わかった。じゃあ冒険者ギルドに行って領地持ちモンスターの情報を聞いて来るわ」
トリビアに見送られ領主館を出ると領地内を自由に移動できる転移装置に乗り、冒険者ギルドへ向かう。
トリビアが言った通り冒険者ギルドで話を聞くと領地関連の評価がプラスされ、ランクが二つ上がっていました。その流れで情報を聞くと領地持ちモンスター二種の情報を得ることが出来ました。
まずはヘリオストスから少し離れた場所にある闇の渓谷エリアにいるレグザードクアールという豹のようなモンスター。これは番で行動しているらしいです。
もう一つは砂漠西部を抜けた先にある闇の山岳にいるダミスゴーレムと言うモンスターで取り巻きが沢山いるらしい。
どちらもランク5のモンスターですのでそこそこ強い部類ですね。なお領地持ちモンスターは総じてレイド並の強さを持つので一般プレイヤーはあまり手を出さないから早々倒されることもない。
「闇の渓谷エリアにいくとなるとヘリオストス…というか吸血王の拠点の近くを通らないといけなくなるんだよね…。また追いかけられるのは避けたいから後回しにしようっと」
当面の統治をまたトリビアに丸投げし、砂漠西部からしばらくした所にある闇の山岳へ向かった。




