表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
191/195

188話

かなりの期間があいてしまい申し訳ありません。

今回何とか更新できましたものの、以後も不定期更新になります。更新期間があきすぎた事などの関係で今までの流れを再確認する必要がありますので、早期更新予告はできません。ご了承ください。

 「貴様らが王の言っていた悪魔の仲間だな!お前達を連行する。抵抗せずについてくるんだっ!」


 鉱山から出た私達を囲んだ兵士たちが詰め寄ってくる。その数は三十人ほどで当然ながら手には武器を持っている。


 「それは私の連れているこの子を見ての判断と言う事ですね?それならこちらの人達は関係ないですよ」


 彼らは私の連れているディアスを見て言っているようなので何を言っても無駄そうだけど、一応反論じみた事を言ってみる。

 どちらにせよコトノ達は無関係なので抵抗するつもりなのですけどね。最悪あまり使いたくは無いけど奥の手を使ってでもこのような面倒事は切り抜けたい。


 「えっ?アイリさん何を言って……?」


 コトノ達を始めとしてアルビノやシオリさんまでもが私に視線を向ける。


 「良いからコトノ達は黙っててね。この兵士たちはディアスとその主である私に用事があるみたいだから」


 「そんなことは出来んっ!一緒に行動をした時点で悪魔の仲間も同然!全員連行だ!」


 兵士たちは聞く耳を持たずといった態度を崩さない。私としても本当~にっ、かつ非常に不本意ですけどあまり使わないようにしてた称号をセットしてしまいたいと思います。

 その称号とは言うまでもなく【魅惑の美姫】・【神をも堕としうる美貌】・【傾国の美女】、【世界を揺るがす美神】の事。これらをセットして対象を意識すればその時点で効果を発揮してしまうかなり悪質なもの。ちなみに対象を意識しなければ自分を中心にした広範囲に魅了効果をまき散らす事になります。

 まあ言ってしまえばそれが一種のバリアになるんですけど、それをしたらコウガやロアンと言った私の周囲を守ってくれる子達の仕事がなくなるので極力使わないことにしてる。


 闇の領域での活動中などは配下を増やすために重宝していましたけど最近はその必要もなくなっていたんです。と言うか今となっては素のCHAの数値だけで、大抵の対象を魅了出来ちゃうので余程のことが起きない限り必要なくなった。


 この効果を検証する際に闇の領域の自領で試した時、住民たちの態度が激変。

 完全に私に傾倒してしまい、女王に従うかの如く私の言う事がすべて!と言った態度を崩さなくなってしまいました。

 称号を外してから様子を見ると時間経過とともにマシになっていったのですけど、今もなおその影響が残っている住民もちらほらいるんですよね。

 そういう人達は大体うちの領主館で働いてもらっているので外に迷惑をかけてないはずですけど…。


 「うくぅ‥‥!?」


 称号をセットし、魅了の範囲を兵士たちに固定したところ、周りを囲んでいた兵士たちの表情が激変。

 やっぱり闇の領域だろうが光の領域だろうがこの称号は効果があるみたい。まあそもそもCHAのステータスが増えて取得した物なんですから、全世界で効果がないと困りますけど。


 「……我らが女神様、どうぞご命令を‥‥ハァハァ‥」


 ‥‥うん、神格化された。これも闇の領域で検証した時と同じです。最後の息が荒いのはきっと称号効果で動悸とかでも起きたんじゃないですか?兵士たち全員の表情が真っ赤で恍惚としたものになってるなんて私には見えてないし!


 「……それじゃ、誰の命令でここに来たか教えてくれる?」


 「はっ!それは人王ジークハルト様です。王がおっしゃるにはこの周囲で闇の領域の王種の配下と思わしき反応が出た為、調査するようにと。我らが出向いたところ女神様達が現れましたので、事情を聞こうと同行を願う(連行する)予定でした!」


 なるほど。人王おじいさんは私がこっちに再度侵入していた事を既につかんでいたんですね。あの御爺さんもなかなか鋭い。でも今の私には人王のお爺さん程度相手にする理由がない。そりゃ以前は逃げるのでいっぱいいっぱいだったけど、油断さえしなければ今は配下の物量・質の良さのどちらでも私が負けることはない。

 でもこれ以上しつこく追ってくるようなら対処しないといけないかもしれないね。

 とりあえず、うちの配下達にガイアの街にちょっかいをかけるように仕向けてこっちに気が向かないようにしておけばいいかな。


 「そう、わかったわ。人王にはあとで私から会いに行きます。まあそちらに会う余裕があれば・・・・・・・・いいんだけどね?」


 「はっ!ではそのようにお伝えします!」


 そういって兵士たちが去っていく。コトノ達は私の様子に首を傾げながらも大人しくしてくれてたようです。まあ仲間内でのパーティチャットくらいはしてたかもしれないけど。


 「えっとアイリさん~結局あの人たちは誰だったんですか~?なんか急に女神様呼びし始めたり頭おかしいんですかね~?」


 えっ?よりにもよってコトノ達がそこにツッコむの?何て考えはおくびにも出さずに答える。


 「うーん、ほら、このディアスって悪魔じゃない?光の領域にいるはずのない悪魔系モンスターだからガイアの街にいる人王が危険視しているみたい。だから私が後でガイアまで説明に行くって言って帰ってもらっただけだよ。あの人たちの目的が悪魔系のディアスである以上、コトノ達に迷惑をかけるわけにもいかないからね」


 セットしていた称号を全部外してからコトノ達へと向き直り、私もよくわからないような素振りで返答をする。称号を外したのはさっきの称号をセットしたままプレイヤーに向き直ったら魅了効果で様々な状態異常が発生してしまうから。効果もだけどその他諸々についてもフレンドとはいえ光の領域の人に知られるわけにはいきませんからね。


 一応称号をセットして意識しなければ効果は長く続かないことは理解してるけど、ただでさえコトノ達に好かれているみたいだからそういう僅かな効果でもコトノ達にはすごい影響を与えかねないので称号を外した次第です。


 プレイヤーに対する状態異常発動云々に関しては闇の領域にいる時にエレノアやギンちゃん達とバトルをした時にこれらの称号効果を使った私が驚くほど効いちゃって圧勝しちゃったんだよね。


 エレノアは爆風系の魔法で視界封じをした後に素早さを活かして攻撃よりもボディタッチをしようと襲ってくるし、ロアンとの修業が終わった後に立ち会ったギンちゃんもなんか私を相手にしているというより、「アカンッ、アカンでお嬢っ!」とか言いつつ何か別の物に襲われているような奇声を上げてました。


 戦闘後に理由を聞いても二人とも顔を赤く染めてそっぽを向いて答えてくれなかったしさ。多分怒ってたんだと思うけど、あの後からこの件で話を振ると逃げようとするから私から振るのをあきらめた経緯もある。



 「そんなに気を使ってもらわなくても大丈夫なんですよ~?とはいえ流石アイリさんですね~。なんだかんだで光の領域の王種である人王に会いにいけるだなんて~」


 「そうは言うけど、さっきコトノ達はその王種の一角である宝金王を倒したわけじゃない?だから全然大したことないよ」


 「あっ、そういえばそうでした~。二番煎じ以降とはいえ、王種を倒したプレイヤーって数が少ないから自慢できそうです~」


 光の領域の王種を倒したことがあるのは宝金王を初見で倒したガウェインと言うプレイヤーと鳥王をたおした私くらいですね。サービス開始して光の領域の王種がたった二体しか倒されてないのが不思議ですね。まあこれから先ドンドン倒されていくと思いますけど。


 少なくとも人王と精霊王は所在がわかってるから…残るは獣王、竜王、大海王、霊樹王だったとおもう。


 獣王はコウガとセツナの為に、大海王はイリスの為に倒しておかなければならない。ロアンとクルスが話せるようになり、他の皆の意見も聞けるようになってから彼らの目的と言うか目標を知ることが出来たのはすごく大きいね。竜王など他の王種に関してはまあ追々ってかんじかな。闇の領域で言う龍王と同じく情報が全く入ってこないし。


 分配も終わり問題になりそうだった人王の兵士たちも去ったので私達もハルトムートへと戻った。そして町の入り口で‥‥


 「アイリさぁん、今日はありがとうございました。またこういう感じで誘っても良いですか~?」


 「もちろん、私の都合がつくならたまにはこういうのも良いと思うからぜひお願いしたいな」


 「良かったです~。では今回はここで解散しますね~」


 コトノ達と別れた私はそのままギルドへ向かった。ログアウトするまでに次からの流れを考えておかないといけないしね。


 そして冒険者ギルドで集めた情報を整理して次の標的として精霊王に行きたいと考える。

 あー、でもあまりすぐに王種を倒しすぎたらマズいかなぁ?とも思う。私の場合鳥王を倒してあまり時間が空いてないしね?


 とはいえ、情報はあるに越したことはないのでギルドからの情報を集めた。それによれば精霊王が居るのは確か《精霊の森:深聖都》って言う場所。


 精霊の森はいくつかのフィールドに分かれていて《精霊の森:外周部》《精霊の森:中層》《精霊の森:深部》そして件の《精霊の森:深聖都》となっている。


 精霊の森は外周部だけでも高品質の魔力回復系素材が多く存在するので金銭を稼ぎたいプレイヤーからはすごく人気がある。だけど逆に戦闘面での実入りは、次にいう理由からかなり少ないのでその点では不人気でもある。

 それは精霊の森に出現する敵の大半はエルフ族であり、基本は普通に対応できる範囲の下位エルフ族ですが稀に次元が違う強さのエルフに襲われることがあるので、外周部が難易度が低いから安心できないのです。


 しかも苦労してエルフを倒しても得られるものなど皆無に近い。稀にドロップしてもその倒されたエルフが装備していた木製の弓やら簡素な布材程度。まあドロップ品の中にはレアリティや攻撃力が桁違いの世界樹の枝製の弓などが落ちる事もあるという噂だけど、そんな強い物を落とすエルフ族を倒すなど早々できやしないのが光の領域にいる一般プレイヤーの共通認識です。だけど…



 「ふーん、エルフ系の敵かぁ。そんなに強いなら私の配下にしておこうかな…」


 私ならこうなるわけです。ぶっちゃけ時間をかけてエルフ族の配下を増やして精霊王から離反させるのも面白そう。というか個人的には精霊王も配下にしたいくらいなんだけどね。まあその辺は追々って感じかな。エルフ系だから亜人系統だろうし、問題なくできるはず!


 そう言う訳で当面の目標はエルフ系統の配下を増やすために《精霊の森:外周部》と《精霊の森:中層》をマラソンすることにしましょう。ついでに森の素材を集めてお金稼ぎもしておかないとね。

 あっ、そうそう。人王についてなんだけど、多分ガイアには不幸が起きそうだからしばらく立ち寄らないことにしようっと。ふふっ。




 ー とある城内にて ー


 「‥…で、おぬしらは怪しげな対象を見つけたにもかかわらず捕獲することもせず帰って来たと言う訳じゃな?」


 「お言葉ですが、王。私達は彼の地において美しき女神様の存在を目には致しましたが怪しげな存在などは確認できませんでした!」


 「!?ふんっ、話にならんわ。近衛たちっ、この無能どもを牢に入れておけ!」


 王と呼ばれし者…人王ジークハルトは連行されていく多くの兵士たちを尻目に苛立ちを隠せぬままテラスへ向かい自身が治めるガイアの街を見下ろした。だがそこで見たものはいつもの平和な光景ではなかった。


 「…!?な、なんじゃあれはっ!」


 ジークフリートの目に映ったのは街の入り口からわずかに離れた森の中から数えきれないほどの闇の気配を放ちながら侵攻してくる死霊やゴブリンなどの魔物たちの姿だった。

 その魔物たちはあっという間にガイアの街の門に張り付くや否や、門を破壊し、ガイアの街へなだれ込んでくる。

 だがおかしなことに魔物たちはガイアの街を蹂躙せずひたすらにこの城へ向けて行動をしている。無論町を守るために出動したガイアの街の兵士などは魔物に飲み込まれその姿を消していき、街の破壊は進むが逃げまどう住民たちには目もくれていないのがよくわかる。


 「…おのれっ!まさか闇の領域の魔物たちが直接攻めてこようなどとっ!‥‥ぬうっ、まさかこの魔物たちはあの小娘の手先かっ!?だとすれば辻褄が合うか。

 先の兵士たちの報告の中に「女神様が後程会いに来られるとおっしゃられていましたがこちらにそんな余裕があればですけど・・・。」と言っておったな。こういう事であったか!

 じゃがワシや近衛たちが出れば十分に倒せるわい」


 そう判断したジークフリートはすぐに戦闘準備を整え、近衛たちとともに出陣。

 数時間が経過したとはいえ、街を破壊していた大半の魔物を撃退できた。だが…


 「‥‥あ、あり得ぬぞっ!ワシの槍術でトドメをさせぬ魔物がいるなどっ!」


 事実撃退しただけであり、ジークフリートの技では襲ってきた魔物の一体すら倒せていないのである。

 そう、最下級種族であるゴブリンですら‥‥。当然ジークフリートより劣る近衛たちも同じ結果である。


 「まさか最初から町を破壊し、ワシの動きを止める事が目的じゃったのか!?おのれぇ小娘がぁっ!!」


 その後も数度にわたり、魔物たちが押し寄せた事によりガイアの街は疲弊していく。

 ただ魔物たちは自分達に刃を向けたもの以外に対しては何の関心も持たなかったため、ガイアの住民たちはコソコソすることなくガイアの街を出て状況が落ち着くのを待つ選択をするのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ