187話
お待たせしました。なんとか一カ月ぶりに更新できました。話の流れはなんとなく用意できてるんですけど中々文章にするには難しくて結局これでいいのかと思いながらも投稿することにしました。
これからもこんなペースですが頑張っていくのでよろしくお願いしますー。
あ、気分転換の新作も作ってますがこっちは意外と筆が進むんですよね。まあすぐにネタギレなりそうだけどwまあ良ければ読んであげてください。評価は…中身がアレなのでしなくていいので…
コトノ達に魔唱歌による強化を施した後は、前回戦った時の注意点と今回新しく出してきたスキルに関する注意点を簡潔に述べておく。
コトノはデバフスキルと魔法を使えるので中~後衛担当、アルビノさんはプリーストなので後衛、はったり半蔵さんとシオリさんはバリバリの前衛扱いでいい。残ったランド流布さんは弓なのでやっぱり後衛。
こう見ると中衛というか遊撃キャラがいませんね。一応ギルド内には中衛の役割をする人もいるみたいなんですけどね。
「クルスとイリスは前衛たちが攻撃すると同時にカバーに入るようにして。イリスは回復の役割も忘れちゃだめだからね?!
ルドラはさっきバカにされて怒ってるなら前に出ていいけど、気にしないというなら引き続きあっちの後衛やバフをかけてる私を含めた壁役をしてほしいんだけど、どっちがいい?」
「ギルルッ!!!」
ルドラはこちらに残る事を選んだ。まあルドラの事だからこうするとは思ってたので驚きはない。でもどちらを選んでも良いようにルドラの活躍の場を用意するつもりです。
続けてカエデには私の魔唱歌では上昇しないバフを範囲展開してもらう。私の魔唱歌で上がるのはあくまでも攻撃面だけ。防御面は上がらないのでそっちが必要になるときは別のバフ要員が必要なのです。
「ヒャッハァァァ!!雑魚が何人こようと無駄・むだ・MUDA・ムダァァッ…ッウグッ!!!!?」
ギャラルホルンがコトノ達に攻撃しようとするたびに上空からのクルスの攻撃でつぶされていく。ついでとばかりにイリスも体当たりやロケット頭突きっぽい攻撃を重ねている。
イリスとクルスに関してはイリスの使ったバフもかかっているのでその威力は計り知れないものになっている。このゲームのバフって結構乗りやすいんですよね。
ステータスやダメージに対する加算値と乗算値の二種類がありまして、私の魔唱歌はステータスの基本値に対する乗算値で、カエデのバフはダメージ倍率への乗算値。イリスのバフはステータスとダメージへの最終加算値が多めですね。
要するにかけようと思えばすべてのバフが最大限発揮できるようにバフがかかるわけです。さらに弱点属性があればさらに上がる。
ちなみに効果が優先される順番は四則演算と同じようにかけ算からです。
順番的には私の魔唱歌で最重要なステータス倍率が上がり、イリスのバフでステータス加算補正、それにカエデのバフでダメージに補正が掛かり、さらにイリスのバフのダメージ加算値で底上げも出来ちゃう。
まあとにかく強くすることには事欠かないという事だけ把握してくださればいいかと。
そんなバフをコトノ達にかけているものですから失礼な物言いだけど元の基礎能力が多少低めだとしても十分にカバーできていると言う訳です。とか言いながら魅力の数値以外は間違いなく私の方が低いんですけど。
「女神さまの加護を得た私たちは無敵ですよ~!」
「確かにこの様な女神のバフは常にほしいでござるな!」
「女神の補助を受けた俺の矢に貫けぬものなど無いわっ!」
「へぇ、このステータスなら能力不足で使えなかったあの技がつかえるかも!よし、この王種は私のフライパンのサビにしてあげるわ」
とまあそれぞれバフを受け、その能力上昇値を認識し昂っているのか、私の事をもう女神呼びすることを隠そうともしない人たちの姿があった。ちょっと能力値倍率高すぎたのかな?
てかフライパンのサビって何…?
ギャラルホルンの撃ちだす岩石地獄なども普通に避けて分身したうえで近接に持ち込む手数多めの手段を持つはったり半蔵さん、飛んでくる岩石を打ち砕いてさらにギャラルホルンにダメージまで与えるほどの矢を放つランド流布さん。
シオリさんは手持ちのフライパンで岩石を打ち返したあげくギャラルホルンにぶつけカウンターダメージを与えている。もちろんフライパンを持っていないもう片方の手で豪炎魔法とかいう物も使っており攻撃火力はピカ一です。
プリーストのアルビノさんも他の面々が被弾しないことで手持無沙汰の為、プリーストの持つ唯一つの攻撃魔法のホーリーボールを詠唱してはギャラルホルンの敵視を稼ぎ、他の面々の為に隙を作らせていく。
そして残ったコトノは旋風魔法を使い補助や攻撃など動き回っている。
風系統の魔法は地属性を持つギャラルホルンにはそこそこ効果が高いので、メイン火力になり得るけど今のコトノはギルドメンバーの動きを見て補助に専念しているというわけ。
コトノ達の連携がうまいのでギャラルホルンも攻撃を与えられずイライラが募っていく。
しまいには怒り狂って単調な攻撃しかしなくなるのだけど王種の怖い所はこの後なんですよね。
「ヒャハァァァ!てめぇらは俺を怒らせたぁぁ!もう許しはしねぇ!死にさらせぇぇ!【覚醒】」
と言う訳で体力を削られに削られたギャラルホルンが王種専用スキルである覚醒を行い、コトノ達との力量に差がなくなった。むしろ覚醒の方が上昇値が高いので若干負けてるかもしれない。
だけど此処には私の家族の中で随一の攻撃力を誇るクルスがいるのでギャラルホルン程度の攻撃など潰し放題。うちの王種を舐めないでほしい物です。
「ヒャッハァァ!【漸岩烈波弾】」
ギャラルホルンが広範囲に岩を降らす攻撃を行う。おそらく覚醒済みの威力は今のコトノ達のレベルだとかなりきついものがあると思うので阻む必要があります。
「クルスッお願いね!」
「任・・・クケッ!」
‥‥いや、ほんとクルス言葉に気を付けてよね…。ここで三歩歩けば忘れるとか言う鳥頭の発動とかしなくていいから…。
クルスは大地に降り立ち《王岩徐法》を発動。これは【地魔法】から派生をしていった結果最終的にたどり着いた【極岩魔法】で使える技の一種で範囲内の地属性を含む全ての攻撃(物理・魔法)を無効化するという物、全属性を含む攻撃ですら地の属性が含まれているという理由で無効化できる優れもの。チートですね。
あと、どうでも良い情報かもしれないけど【極岩魔法】以外にも【聖岩魔法】とかいうのも派生に出てたんだけど魔王陣営に聖属性持ちって似合わないと思うんだよね。
それとなくクルスに伝えてみたところ本人も聖属性は趣味じゃないと言っていたのでこちらにした訳。
なお、聖属性が似合わないだろうといいつつ、イリスの使う回復魔法には聖属性が含まれているので、そういうのはイリスだけで十分だと思うんです。
「ひゃはっ、そんな馬鹿なぁぁ!?」
ギャラルホルンの放った漸岩何たらとか言うのはクルスの王岩徐法によって完全無効化。名前の通り地属性(岩属性も地属性の派生ですからね)が含まれてたので問題なしです。
私はコトノ達に今の硬直の隙をついて体力を少しでも削るような攻撃するように言うと、言われた以上の働きをするのが信者?というもの。
「皆~いっきますよ~?巻き込まれないでくださいね~《風化衝》」
「遊びは終わりでござる。これを食らうと言いのでござる忍術《影斬討滅》」
「俺の全てをこの一矢に賭ける!《鳳凰貫矢》」
「私のフライパンが敵を料理せよと叫ぶ!食らいなさいっ《最後の晩餐》」
「《ゴッドブレス》!あっ皆さん行動が早いですよ。私のバフを待ってからでも良かったじゃないですか!今回は間に合ったからいいですけど‥‥」
アルビノさんが急いでバフをかけ、コトノは風系統の魔法、文字からして無機物系特化効果をもってそうな魔法を発動し、ダメージを与えつつギャラルホルンの防御を大きく減少させる。
ギャラルホルンが苦痛で仰け反った隙をついてはったり半蔵さんが背後へ一瞬で移動し二刀流の小刀をクロスさせるようにして切りつける。
さらにランド流布さんが叫びをあげるギャラルホルンの口の中へ向けて継続ダメージ効果を持つ燃えさかる矢を打ち込み、シオリさんがジャンプしてギャラルホルンの頭から足元までをひたすら乱打で叩きまくっていく。……滞空時間長いですね、空飛んでるみたいですよ、シオリさん。
シオリさんの攻撃が終わるころにはギャラルホルンの体力は僅かドット単位で残るのみ。
「終わりね」
私がそういうと同時にランド流布さんの矢の効果で残っていた体力を削り切る。
「ひゃ・・はっ・・。俺がこんなやつらにぃぃぃぃ!」
最後の断末魔をあげギャラルホルンは爆散。コトノ達の王種初討伐のテロップと討伐報酬のドロップ云々が表示された。
「やりましたよ~。私たちも王種を倒せました~!」
「感無量でござる・・・・」
「ズズズッ、ふぅ・・。リリカッ俺はやったぞぉぉ!」
「あら、このドロップ品はフライパンの素材になりそう。優先して貰えないかな、かな?」
「いやいや、皆さんお疲れさまでした」
コトノ達が喜びで盛り上がる中、私達はと言うと・・・。コソコソと岩陰に移動しカエデを武器化させて装備しなおす。
「まずはコトノ達への補助お疲れ様。イリスもクルスも良くやってくれたわ。でもクルス、他の人がいる場合は、ちゃんと言葉に気をつけてくれないとだめじゃない」
「クケッ、主殿よ済まぬ。未だに王種に戻れた喜びのあまり演技を忘れてしまうのだ」
「うん、喜んでいるのは分かっているわ。次からは気を付けてくれればいいよ」
「うむ、気を付けよう」
「ギルルゥッ‥‥」
悲しそうな声に振り向くとそこには声音の通りいじけそうなルドラの姿があった。それを見て私は…
「あぁっ、約束してたのにルドラの見せ場を作るの忘れてた~~。…ごめんね結局最後まで壁をさせちゃったね。次こそちゃんとルドラの良い所を目立つような指示を出すから許して」
「ギルルンッ!」
私がルドラに抱きついて謝るとそれだけで機嫌よくなってくれました。うんチョロくて可愛いよルドラ!
とはいえ今回の戦いでルドラの見せ場を作るのは正直難しかったと思う。ルドラはその巨体から動きが遅いので攻撃手段は近接よりもブレスによる範囲攻撃が多い。でもブレスをむやみに打つとコトノ達の連携も崩れかねないので自重せざるを得なかったのです。
「アイリさーん」
コトノの声が聞こえる。皆を引き連れて戻ると丁度分配が終わった後らしい。私の分の分配ですか?
あ~それはドロップはパーティごとに分かれるので私に割り振られる分はすでにインベントリの中に入ってますよ。前回もだけど、ギャラルホルンのドロップは大型宝石核なんです。
使い道は無機物タイプの従魔の強化。私の場合は配下のギアゴーレム系やドールマスター系に使えます。
前回分の時はどちらかを優遇するわけにもいかないので取っておいたんですけど、今回も同じものが手に入ったのでどちらも強化できます。とはいえ、今この場でする事じゃないので後回しで。
ぶっちゃけ、ギアゴーレムとかドールマスターの類を今この場で呼んだりするとコトノ達への説明が面倒だしね。
「お待たせ。この後は町に戻る感じで良いの」
「そうですね~。生産者たち向けに素材も集まりましたし、戻りたいと思ってますよ~」
「了解。それじゃ戻ろうか」
最下層から鉱山入り口まではアーシェとディアスを呼び出し、道中の討伐をしながら鉱山の入り口へ戻る。
そして鉱山の外に出た時、私たちは沢山の兵士に囲まれていた。




