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185話

 コトノの指示のもと、ギルド【女神を愛でる会】の戦闘員たちが宝金王ギャラルホルンの統治するエリアへ雪崩れ込む。まあ雪崩れ込むって言ってもフルメンバーより一人少ない五人に加え、私とその家族たちと言う少人数だけどね。


 「ヒャッハー!ようやく俺様の獲物が来やがったかっ!てめぇらぁ、大人しく俺の糧になりやがれぇぇー!!」



 ギャラルホルンの言葉遣いは相変らずでテンションは常にアゲアゲみたいだね。最初はコトノ達に任せて私は援護に徹しようかな。元々私はコトノに同行を頼まれて付き合ってるんだし……まあコレに挑むことになったのは私の一言が原因だけどさ。【女神を愛でる会】の戦闘メンバーは乗り気ではあるんだしいいよね。

 そう思っていた中……ギャラルホルンは最後尾にいた私を見つけて余計なことを口走ろうとした。


 「ひゃはっ!?後ろにいるてめえは前に俺を倒した王s「行って、クルスっ!」……グベラッ!」


 ふぅ、危ない危ない。あのまま言葉をつづけられてたら私の正体がコトノ達にバレちゃうところだったわ。ついつい、クルスを突っ込ませちゃったけど、まあ大丈夫だよね。


 「あの~アイリさぁん?最初の一撃は私たちが入れるはずだったよね~?」


 作戦と違う行動をした私にジト目を向けながら講義をしてくるコトノ。私は目を泳がせながら謝罪する羽目に……。


 「あ、ごめんなさい。どうやら先日私に倒されたことを根に持ってたみたいで以前同様言葉攻めにされそうだったから、つい鬱陶しくて……」


 「あっ、そうだったんですか~。前回の戦いは言葉による精神攻撃までしてきたと……アイリさんがそこまで嫌がる内容が気になりますけど、そういう事なら仕方ないですよね~」


 とは言ったけど言葉責めなんてされてない。というかAIの王種がそんな厭味ったらしい人間のような言葉攻撃なんてしてくるはずがありません。くっ、ギャラルホルンめ。私に嘘をつかせたこと後悔させてやるんだから!



 「ヒャッハァ!許さねぇ!てめえだけは許さねぇぞぉ!!【岩石地獄】」


 クルスの一撃で言葉を遮られたギャラルホルンは怒り、私に対して岩の塊による遠距離攻撃を放つ。完全にギャラルホルンのヘイトは私に向いてしまったようです。まあだからと言ってあわてる必要は無いけどね~。


 「……ここからは予定通りいきましょう。ルドラお願いね」


 「グルァッ!!」


 ギャラルホルンの攻撃をあっさり受け切るルドラは相変らず鉄壁の防御力です。ちなみにコトノ達は初めて見る王種の攻撃に「おぉ~」とか「弾幕ゲーかよ!」とか「さすが女神様自慢のドラゴン(ルドラ)は堅いなぁ」とかいろいろな感想を述べている。……貴女たち、ここに何しに来たんでしたっけ?



 「コトノ達ー、見てるだけじゃなくてボスに攻撃してほしいんだけどー?あ、イリスも支援してあげてね」


 「クポッ!!」

 

 「「「「あっ!!」」」」


 あっ!じゃないよ?まったくもぅ。

 私に攻撃意識を向けているギャラルホルンに攻撃を加え始めたコトノ達。属性攻撃にも物理攻撃にも耐性を持つギャラルホルンの体力は極わずかずつしか削れていない。そして何度も攻撃を当てていると次第にヘイトが分散していくのは仕方のない事。一応資格を奪われてしまっているとはいえ、システム上において相手は王種だし、普通のモンスター相手にするようなヘイト管理をしてる程度じゃ到底ひきつけ続けるのは無理。なので…


 「ルドラ、【竜の咆哮】」


 「グルアァァァァァ!!!!」


 ルドラはすぐにギャラルホルンに対してスキルの使用を行う。ルドラが使用したこのスキルは格下相手には恐怖のバッドステータスを、格上相手にはヘイトを集める効果を持っている。ちなみに発動確率はどちらでも100%です(ただし恐怖耐性持ちには無効)。

 ルドラのモンスターランクは5に対し、王種であるギャラルホルンは王種の最低ラインである6なのでヘイトを集める効果の方が適用されるわけです。まあ効果時間は短いんでしょうけど、コトノ達に攻撃目標が向かないのならそれでいいと思う。


 「ヒャッハー。弱ぇドラゴン如きが俺様に対してイキりやがって……。望み通り、てめぇから沈めてやるぜ……えっ?」


 ゾクッ……周囲を氷に囲まれたかのように底冷えするかのような冷気(麗気)が満ちてくる。


 「ふ、ふふっ?うちの子が弱い……ですって?」


 コトノ達ですらその冷気(麗気)の主の様子の変化に攻撃の手を止め、示し合わせたわけでもないのに全員が壁際に退避する。このままこの場にいては大変なことになると感じ取ったのかもしれない。

 まあ一部の女性は恍惚そうな表情を浮かべてその主を注視しているけど、今は触れないでおこう。


 ギャラルホルンは言葉を間違えた。よりにもよって家族を愛する魔王の前でその家族を貶してしまったのだ。結果がどうなるかなど火を見るより明らかである。


 「ふぅん、以前あなたの言うドラゴン如きの防御を貫くことが出来なかった雑魚がどの口をきいてるのかな?かな?」


 怒りのせいか、冷気(麗気)の主……私の言葉がおかしくなっている。私自身が強いわけじゃないけど、数多くの王種を倒してきた私の方がギャラルホルンより格上の王種である事はシステム的にも確立されている。でも本来なら内心では思っていても表立って雑魚扱いするという、はしたない言葉をだすはずがない。

 

 「ひ、ひゃはっ……ま、前は復活したてで調子が悪かっただけだぜぇ。く、食らいやがれ【白光・宝竜波】!!」


 一瞬の怯みの後、ギャラルホルンは前方大範囲に影響を及ぼすであろう広範囲レーザー攻撃を放ってくる。

 私はあわてず騒がず、ルドラに【大防御】の指示を出しルドラの陰に隠れる。いや、さすがに物陰に隠れておかないと被弾したら死にますからね?ちなみにコトノ達はギャラルホルンの後方壁際で観戦モードに入っている。すでにやる気を感じられないのは誰のせいかな?まあいいけど。


 それにしても先ほどギャラルホルンが一瞬とはいえ怯んだのはなぜでしょう?AIが恐怖したという事を再現したんでしょうか?それともAIではなく、このギャラルホルンの中に別の誰かが?……そんなはずは無いよねー。うん、無いない。無い……よね?


 レーザーが止み、ルドラの体力を見ると大防御で大幅に防御力が上がってるにも拘らず半分近くまで減っていた。ボス王種との再戦時って実は強化されるの?でも樹齢王の時は弱いままだったから……偶々だよね。


 とりあえず、攻撃が止んだので攻撃に転じる事に。

 クルスは最初に突っ込んで以降、回避に専念していたので無傷。そもそもレーザーは上方向には飛んで行かなかったから避ける必要もなかったので、攻撃指示を出しておきました。

 イリスに関してはなぜかコトノ達と観戦を楽しんでいる……あぁっ、違う。シオリさんから料理貰ってるぅぅ!!とりあえず回復役を任せておいたのにコトノ達に買収された件に関しては後でお説教だね‥‥。


 イリスの回復が当てに出来ない以上、クルスの高火力スキルで一気に決めたいところ。

 

 「私も前に出るからルドラもクルスと協力して攻撃に参加して」


 「グルォッ」


 「そうそう、忘れるところだった。カエデ、武器化解除。魔法で攻撃に参加して」


 「了解しました、主様」


 武器化を解除したとはいえ、カエデは王種でありながら小枝サイズで以前のように自力行動は出来ないのでその点では弱体化している。ちなみに武器化しているときは、私のINTかSTRを上昇させてくれているがカエデの判断で行動不可。しかし武器化解除すればカエデ自身の意志で進化前に覚えていた【樹魔法】やら【伸縮自在】、その他にも既存スキルから派生した【実弾爆撃】という攻撃スキルが使用可能となる。進化前に持っていた【ワン・ツー・フィニッシュ】などに関しては武器化中は使用可能で、解除された現在は使用不可能となっているのはまあ仕方ない事だよね。自分で動けないんだし。



 「ヒャハっ、このままやられる俺じゃねぇぇ!!【金色の輝き】」


 おぉっと、指示を出してる間にギャラルホルンが行動可能状態になっちゃったようですね。まあクルスがそこそこダメージを与えてくれたようなので良しとしましょう。


 ギャラルホルンの放ったスキルは視界をつぶすタイプの妨害系らしい。状態異常は無効化できる私以外のメンバーは目を潰されたらしくもがいている。でもこういう事も対応できるようにブートキャンプで鍛えておいたから戦闘に問題はありません。


 視界を潰してチャンスと思い込んでいるギャラルホルンに引導を渡すとしましょうか‥‥。

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