179話
難産の結果、結局グダってしまったかもしれません。
作者の表現力と語彙力ではこれ以上は難しいのであきらめてください…。
鳥王を倒し、ついに王種への進化が可能となったクルス。私はその進化先を見て驚くことになる。進化可能先として表示されたのは2つ。もちろん通常進化と王種進化です。
其々の進化先と説明文を確認しクルス本人や、王種への進化を見守っていたコウガ達家族にも説明をしていく。
「クケェ!ふむ、待ちに待った王種への進化だというのに以前と同じ種族にはなれないのか…」
クルスが呟く。
クルスが王種だった時の種族はロッケン・バルディアという種族でバーディ系の上位形態ですね。しかし、今回進化先として表示されているのはその種族ではなかった。クルス自身は以前の種族に戻りたい願望があったみたいだけど、表示されてない以上はどうしようもないのも事実。
「この新たな王種へ進化するかこのまま通常進化をするか、クルスが決めてね。私からは情報の提示以外はしないから」
「クケェ。主殿、我が選ぶ進化先など王種以外に在り得ない。王種となりて、弟を圧倒できるまで鍛えてくれた主殿へ再度の忠誠を誓おう」
クルスが言うには鳥王を倒し王種を奪還する事は私の家族になって居なかったら在り得なかった未来かも知れないとの事だった。私とクルスが初めて会った《ノースガイア山》に来る前、クルスは王種の地位を奪われ焦燥感に苛まされて生き急いでいた。力が落ち、今まで倒していたモンスターにすらやられかける日々の中、王種でなければここまで自分が弱い存在だったことに絶望していた。
そんな中、山で私と出会い旅を続けて行くうちに私の能力の影響もあり、進化して行く度に自分が一人の時には感じ得なかった力の上昇を認識できるようになった。
そして力を取り戻して行く毎に、封印していた王種へ返り咲きたいという願望……いや、野望が沸々と鎌首をもたげたのだ。その結果、クルスは一人で王種である鳥王を圧倒した。
「そう。クルスが決めたのなら私に異論はないよ。それにクルスが王種になってくれた方が私の力も増すからね?」
「我はこれからも主殿の剣として戦おう。それに主殿は我にのって空を飛びたいとも言ったな。それも叶えようではないか」
「え?ほんとに乗せてくれるの?少し前は嫌そうな顔してたのに?」
「無論!我が王種となった暁には主殿を乗せて飛ぶことなど容易いだろう。あとは主殿の誤解を解いておきたいのだが嫌がっていたのではなく、今現在の我だけならば兎も角、空中での戦闘の際に主殿への危険が及ぶと思ったからだ。断じて乗せたくないわけではないのだぞ?」
そういう事だったんですね。嫌われてたわけではなく、ただ心配されてただけだったというのが分かって良かった。確かに空にもモンスターは出現するんですから考えを及ばせておくべきでした。特に私の場合クルスに騎乗してる時に敵と遭遇し、クルスが急な回避行動を取った際に振り落されないで済む程のSTR値はありませんからね(あくまでもカエデを装備してる時のSTR値は戦闘中での数値なので素の値は1なのです。あるのか知らないけど竜騎士とかそういうのみたいに片手に槍とかの武器を持って戦えるほど私自身は器用じゃない)。
……さて、それじゃそろそろクルスの現在のステータスと進化先について触れていきましょうか。
名前 クルス
種族 メティオール・バーディ♂ 鳥種ランク5
LV 70(65225/1585000
スキル 【岩石魔法30】・【砲翼奥義25】・【奇声50】
【岩石纏10】・【雷撃衝29】・【一撃必倒】・【爆撃砲27】
【風翼波26】・【岩流衝21】・【バーディ・ダンス15】・【ブリューナク3】
パッシブ 【超飛翔】・【狩人の根性】・【振動感知】
【危険感知】・【スキル封印中】・【小宇宙力35】
強さ
物理能力 2855
魔法能力 2133
進化可能先
レベル60~70鳥種ランク6:ブレイブ・バルディア
レベル70鳥系複合種ランク6(王種):ロシェ・ルー
ブレイブ・バルディア:勇猛果敢な性格をしている鳥系モンスター。だが猪突猛進な部分もあり、強い割に個体数が少ない。敵の攻撃に怯んだりしない敵に回すと恐ろしい相手。【勇猛鳥の突進】を習得。
【勇猛鳥の突進】:即死級の攻撃でない限り動きが止まることが無くなる。使用中と使用後数秒間は即死以外の状態異常無効。
ロシェ・ルー:ロシェは岩を示す言葉、ルーは光の槍を使っていたとされるある神話の神の名称。
頭から胴体にかけて岩のような堅い骨格を持つが動きは恐ろしく速い……が後方は骨格強度が並程度しかない為、背後への攻撃には比較的弱い。王種らしく威風堂々とした覇気を放つ。
種族名的には関係がないが、相対する種族が交わり突然変異で誕生した鳥種霊鳥系に属するユニーク個体。この先の進化でもユニーク個体になる事が確定している。
【霊鳥王の覇気】・【神鳥の系譜】・【???】習得。
【霊鳥王の覇気】:覇気を放ち、対象のSTRとINTを減少させると同時に怯む効果を与える。個体とのレベル差により減少値と状態異常発生率が増減する。
【神鳥の系譜】:二つの種族に分かれ、薄れていた本来の血が交わり合い、本来の力を取り戻しつつある。ランク5までの種族スキルを覚える事が可能。進化時にステータス減少率低下。
前衛として動くクルスの場合、今の状態で覚えるスキルとしてはバルディア系進化の方が良い気がする。 だけど王種進化先の【???】……これはカエデの【武器化】の時みたいに進化の際に本人が望むスキルが出現する可能性が高い。王種進化はどっちかというとサポート寄りスキルなんだけどすでに攻撃力面では家族内でもトップクラスですからこういう進化もありでしょう。ですので、ここはクルスの希望するスキルを信じるとしましょう。
そう言う訳でクルスの進化開始。ロシェ・ルーを選択し進化開始を選択するとクルスの体は光に包まれ進化が始まった。
「クルオォォォッッ!!」
クルスが雄たけびを上げ、その姿があらわになった。3㍍弱あった体は4㍍ほどにシルエットが変化し、その翼は雄々しくも鋭利な感じに。種族説明にあったように頭から背中にかけてはごつごつしたような岩っぽい色感の羽毛が生えそろい、背中部分は抉れた様に凹んでおり私が乗って(入って)も大丈夫そうなスペースまで空いていた。よく見れば腕を通せそうなハンドルみたいな羽毛まである。ここに腕を通していれば早々落とされないから乗りまくってOKって言ってるようなものですよねっ!
名前 クルス
種族 ロシェ・ルー♂ 鳥種(王種)ランク6
LV 1(0/90000)
スキル 【岩石魔法30】・【奇声50】・【岩石纏10】・【雷撃衝29】・【一撃必倒】
【岩流衝21】・【バーディ・ダンス15】・【ブリューナク3】
【霊鳥王の覇気】new・【神鳥乱舞】new
パッシブ 【超飛翔】→【天翼飛翔】new・【狩人の根性】・【波動感知】new
【小宇宙力35】・【神鳥の系譜】・【超速移動】new
強さ
物理能力 2500
魔法能力 2000
まずはスキル面で統合が増えました。アクティブ面では【砲翼奥義】・【爆撃砲】・【風翼波】の三種類が統合して【神鳥乱舞】に。スキル的には近距離・中距離・遠距離の全ての攻撃がこれ一つで出来るようになったことです。
パッシブ面では【振動感知】【危険感知】に加え、【スキル封印中】だったところが【王勘察知】になりそれらが統合して【波動感知】へなった。これに関しては索敵系が強化されたという認識で良いんだと思う。今までもレベル上げの際には空から敵を探して貰ってたのでさらに効率が上がる事でしょう。
もう一つは単独行動に優れていた【超飛翔】がプレイヤー(私)を乗せれるように【天翼飛翔】へと変化した事でしょうか。これにより【超飛翔】時の速度を出しながら私を乗せれるようになった訳ですね。乗ることに関しては私の騎乗スキルも相まって色々楽しいことが出来そうですね!……きっと。
最後に【超速移動】……効果は読んで字のごとくです。【???】が変化した部分でカエデは武器化、クルスは私を乗せて飛ぶ事を望んだ結果、このようなスキルになったんでしょう。まあこのゲームの世界を見る場合そこまで速度を出して移動する必要はないと思うんですけどねー。だからあっても損はないはず。
「クケェェッ!……我は今猛烈に感動している。以前の王種の時とは桁違いに体のキレが違うではないか……。無論前の体は前の体で愛着はあったのだが、今の体と比べ性能面では劣っていたのは間違いないようだしな…」
「そうなんだね?私も以前のクルスの王種の姿を見てみたかったけどしょうがないか。まあ種族名は分かってるんだし、ギルドの資料を見せて貰えば画像位は見れるだろうから確認はその時にすることにしようかな。
あっ、そうそう言うまでも無いけどステータスは進化前より少しだけ下がってるから、しばらくはレベル上げになるけど頑張ろうね。もちろん私の騎乗訓練も含めた内容になるから」
「クケェ!無論だ。そして以後の移動は我にまかせよ!コウガ達には悪いがもうソリの出番などないな。クケケェ!」
「わふっ!?」「グルルッ」「なんじゃとっ!?クルス、おぬし、主を独り占めする気かっ」
クルスの言葉に過敏に反応を示したのはソリ担当のコウガとセツナ。それに基本移動に乗せてくれていたロアンです。それぞれが私を乗せて動くことを好んでいてくれるからこその反応ですね。嬉しいです。
今度トリミングの時間をものすごく増やそうっと…。掲示板を見る限り、今でも十分長い感じだけど、全然問題ありませんよね。
「クケェ。我に乗ったほうが障害が少なくて済むのだぞ?主殿なら我を選ぶに決まっている!」
「わんわんっ!(俺達の操作するソリに乗ってる時のご主人様の笑顔を知らないのであるかっ?)」
「わかっておらんな。クルスよ。我に乗る事こそ、主にとっての至高じゃ。知っておるか?主は我に騎乗している間は我の毛並みを堪能していることをっ!
それにもし、主が高所恐怖症だった場合、お主の出番が皆無になるのじゃぞ?」
「クケッ!?高所恐怖症には考えがいかなかった。だ、だが主殿が乗せてくれと言ったのでその心配はないはずだ!」
「ふっ、主がその事に気づいてないだけかもしれんぞ?」
「クケェッ!?それはまずいな…」
……いつの間にか私が乗ってる時の状態についての言い合いになってる。特にコウガの言葉は理解できてないはずなのになぜか理解しちゃってる感が否めない……。
「こ、こらこら、喧嘩しないの。ちゃんと今まで通りコウガ達のソリにも乗るし、ロアンにも乗せてもらうからね。新しいフィールド移動に関してはコウガ達で。クルスには概知のフィールドを移動するに乗せてもらいます。わかった?」
「クケェ……主殿がそういうのであれば仕方ない。だが我はいつでも主殿を乗せて飛ぶぞ!」
「……主が意思表示をしてくれて助かったのじゃ。我の出番こそがなくなりかねんと思っておったからな」
何やらロアンが呟いていたけど、私が何か言ったの?って聞いても何でもないのじゃ、というので気にしないことにしました。
《プレイヤー名・アイリの配下メンバーに王種が増えた事により、【転移】スキルが【王種転移】へ変化しました》
……うん?スキル変化したんだ。それも転移スキルが?
早速調べてみましょう……お、おぉ!?これはすごい便利!
【王種転移】:通常の転移では同じ領域内の移動しかできないがこのスキルであればその垣根を越えて転移することが可能となる。ただし別領域への転移に関しては転移石使用数二倍、転移結晶の場合は変化なし。
取得条件:光と闇の領域における王種のテイム。
カエデとロアンが闇の領域に属する王種、クルスは闇の領域も混じっているけど光の領域の王種と判断されたのでしょう。
それにしてもクルスの飛行能力と言い、王種転移と言い、一気に移動系が便利になったねぇ。まあ、このスキルがあれば闇の領域でも吸血王から逃げ回らなくて済みそうですから近いうちに闇の領域の様子を見に行こうっと。転移結晶も欲しいし、トリビアにも最近会ってないしね。
とりあえず戻りながらこっちの王種素材に関してはコトノに渡すか、闇の領域でカティちゃんに渡すかじっくり考えよう。
「クケェ。主殿よ、我に乗らないのか?」
「いきなり本番はきついかなー」
「クケェ、残念だ」
そんな会話をしながら私たちは降石の谷を後にした。そんな私たちの姿を物陰から見ている存在がいたが私は気づかなかった。




