171話
様々な視点変更?があるので読みにくい可能性があります。
誤字脱字などがありましたら報告をしていただけると助かります。
遅ればせながら謝罪。更新を停止する前から更新再開後にコメントをしてくださった皆様へ。
コメントや感想はしっかり読ませていただいておりますが、返事の方は返せていません。申し訳ないです
これから先にコメント・感想をくださる方へ。
これから先も余裕が出来るまで感想などを頂いても返事をしない可能性が高いですけど、それでもよろしければぜひともコメントをください。
無害そうな顔をして寄って来たクリステラさん達を撃退し、オークキング達のコロニーをいくつか殲滅しハルトムートに戻ってきた私達。
そんな私たちが向かったのはまず冒険者ギルド。本来の目的であったオークキング達の討伐報酬をもらうためです。そんな冒険者ギルドでのやり取りもいつもの事で顔を赤らめた受付の人に「いつも助かります」と声を掛けられつつ、報酬を受け取る。
だけど今回の討伐依頼達成で光の領域での冒険者ランクが中級の上位まで上昇した事で新たな王種の情報を得られるようになりました。冒険者ランクを上げるには依頼の数をこなす事でも上昇するけど、自分より強力な敵を倒す事でも高い評価を得ることが出来る。私の場合は、この街で受ける討伐依頼はほぼ全て達成すれば高評価になるので、他のプレイヤーよりも依頼数が少ない状態で中級上位まで上がった事になりますね。
「今回知りたい情報は王種モンスターについてでよろしいですか?」
受付に再確認をされ肯定の返事を返すと受付さんは2種類の王種モンスターの情報を提示してくれた。
その二種とは《精霊の森》にいる【精霊王オベール・ケイロン】、《降石の谷》にいる【鳥王エンベラス】のこと。
精霊王に関しては先ほどクリステラさんが口に出していたので、そろそろ情報が手に入ると思っていましたが、問題はもう一つの王種ですよね。
そう、ようやく私の家族の一員であるクルスの宿敵、鳥王の生息地情報を得られたのです。これには小型化して鳩サイズになって肩に乗っていたクルスも興奮と喜びを隠せなかった。耳元でクケェー、バッサバッサと騒がれて耳がキーンとしたよ。もちろんクルスを叱る事は忘れない。まあクルスは叱られたことなど気にしてなかったけどさ。
あ、そうだもう一つ聞いておかないとね……。
「あと賞金首ランキングというものについて知りたいんですけどここで分かりますか?」
「賞金首に関してですか?それでしたら各ギルドの奥にあるお知らせ掲示板に張り出してありますよ?こちらの記事の更新は一週間に一度ですので、もし賞金首モンスターを討伐したい場合には受付で討伐済みか否かの確認を取ってくださいますようお願いいたします」
「わかりました。ありがとうございます」
受付の人にお礼を言い、その足でギルド奥にある掲示板へ向かう。そこには大きな紙にデカデカとした文字で賞金首モンスターや賞金首プレイヤーの名前などが書かれていた。当然冒険者ギルドで把握している分だけの表示だけどね?
コウガとセツナの順位は確か……43位と62位だったね。……あぁ、まだ一週間も経過してないから更新されてないや。でもコウガに関してはもっと前から賞金首になってたから探しておこう。
リストを見ていくと、1~20位までの上位には時空竜だとか皇獣と呼ばれる存在がいることが分かった。王種モンスターとどっちが強いのかは不明だけど気を付けておこうと思う。ちなみにプレイヤーのPKランキングトップはバルバロッサという名前で順位は187位。そのままリストをみていくと……
「……えっと~、あ、あった!コウガは103位だったのかぁ。……なになに……巨大な犬型モンスター。王種の危険性あり……ね。他の特徴部分が空白って事は詳細は広まっていないってことかな」
当たらずとも遠からずと言った内容でしょうか。でもコウガは大き目の犬だけど巨大といえる大きさじゃないよね?この事から微妙に書かれている内容に齟齬があることが分かった。
「まあとりあえずは、すぐにコウガが狙われてくるっていう危険性は少ないって事がわかったし、いっか」
そういえばあの三人衆は前々からPKしてたようなことを言ってたから、もしかしたら賞金首だったりしたのかな?あ、でもあの三人の名前とかもう忘れちゃったしなぁ。クリステラさんはイエローやレッドネームじゃなかったから報告しても無駄だろうし、この話はここまでだね。
冒険者ギルドを後にしたあとは、私のベースでもあるコトノのお店に戻り、部屋の中で作戦会議。
もちろん次の行動はほぼ確定しているとはいえ、家族との相談は大事だよね。
「さてと、次の行動だけど精霊王と鳥王の情報が手に入ったわけだけど、どっちから行きたいかな?」
「某は主様の武器として常に共にっ!」とカエデ。
「もちろんアイリ様の決定に従いますとも!」とパーシヴァル。
「私は~戦えませんので~、今回の内容についての情報収集をさせてくれる方がうれしいです~」とティア。
「我は主の行き先ならば、何処でも構わぬぞ?」とロアン。
まあわかっていたけど意思の疎通が出来る子達からはそういう返答されちゃうよね。問題は残った子達です。
「コウガ達はどう?精霊王と鳥王のどちらから行きたいか聞くから、希望する方に反応を示してね?」
「ワンッ!」「ガルルゥ!」「クポッ!」「クケェ!!」「フシャー!」
精霊王から行き私の強化をしてから鳥王に行くか、まっすぐ鳥王から行き、クルスを王種化してから精霊王に行くかを質問する。その結果は……
精霊王2、鳥王2、どっちつかず1という事だった。ちなみにクルスとコウガは鳥王に行く方に賛成していたけど、他のセツナ、イリスの二人が先に精霊王に行くことに賛成、残ったルドラは決めかねているという反応を示した。
結局私の判断次第でどちらに行くか決まっちゃうわけなんだけど、どうしたものかなぁ。
精霊王の居る地域と鳥王の居る地域はハルトムートの街を中心にして考えると正反対だからどちらかに決めなくちゃダメ。
「クルスが一刻も早く王種に返り咲きたいと思ってることは分かってるんだよ……。レベル自体も鳥王を倒せば王種進化できる条件はそろってるし、私もクルスとおしゃべりできるようになると嬉しい。そういう事で今回は鳥王から行きましょう!」
「わんっ!!」「クケェェェ!!!」
私の決定にコウガとクルスが喜びを表現すべく、私の胸に飛び込んでくる。それをしっかり抱きしめながらフワフワの羽毛や、つぶらな瞳を向ける柴犬をモフりまくる私の姿が居た。
ちなみに精霊王推しをしていたセツナ達だけど、特に不満を示す事もなく私の決定に従う。たぶん、この二人は少しでも私の能力を上げておいてほしいという事から精霊王側に票を入れたのだろうからね。
次の予定が決まった所でいったん休憩するべくログアウト。ベッドから起き上がり、台所に立つ。
料理のできないはずの私が台所に立つ理由……それはもちろん花嫁修業……などであるはずがない。
「今月お財布事情が厳しいからコンビニ弁当とかを買ってる余裕はないんだよね」
こういった理由から自炊することにしたのです。もちろん手元には実家から持って帰って来た古臭いレシピ本。発刊年月日は今から12年程前だったりするけど、そこはまあ気にしちゃいけない。
なぜこの本かという理由ですが、簡単に言えば包丁の扱いから食材の切り方などを図解して載っていたからです。猫の手とか、小口切りとか、乱切りとか、千切りとか、みじん切りとか…そういった謎の言葉の羅列に四苦八苦する私だけど1時間ほどかけてようやく調理終了。
出来上がったのはお茶漬けと卵焼き……。えっ?野菜を切っていた形跡がほとんどないって?
うん、そうだよね。本の通りに切ったはずなのに最終的に残った野菜が指先程度しかなかったもん。知らなかったよ野菜って切ったらこんなに可食部分が減るんだねぇ、不思議だよねぇ?(棒)
ちなみに炊事場の野菜くずを捨てるコーナー部にはゴロゴロと残骸が残っていたりする。
そんな食事を終えるとアルバイトの時間。毎度の事ながらお客さんの入りが多く、大変でした。休憩時間に入り奈緒ちゃんや小枝子さん、その他アルバイト先の先輩方に聞いたところによると、週に何回かこのように忙しくなるんだって。
うーん、私も忙しくない日にシフト入ってみたいなぁ……。
そういうと、皆して「え?」っていう顔をしていたのが不思議で仕方ない。
その後後半戦が始まったのですが、相変わらず人が多い。なんでこんな小さめの店舗にこんなに人が来るんだろう。若い男子学生のグループなんて待ち時間が数時間程あるっていうのに、私達がいる受付のある待合室で待ってるんだよ?10分も歩けばここよりも時間つぶしに最適なカラオケ店とかあるのになんでだろうね?ちなみにそっちのカラオケ店の値段もうちの店とそう大差ない(むしろこの店が少し高め)……やっぱり謎です。
★☆★☆ その頃、裏の休憩室で愛梨に関しての雑談をしていたバイト仲間たち★☆★☆
「あいちゃんったら、相変わらず鈍感よね……あの子達どう見ても、あいちゃんに対応してもらう事を目当てに来てるのに……」
「お姉ちゃん、そこはまあ愛梨さんだから仕方ないよ。愛梨さんがそこまで気が付く人だったら、あんな「忙しくなさそうな日に入りたい」だなんていう言葉を言ったりしないよ……」
「そうだよなぁ。あ、そうだ知ってたか?うちの店長、響さんが入店してから彼女目当てで来る学生連中への学割パック料金の改定に動いたらしいぜ」
「あ、それ知ってる。ナゲッキーに参加してるウチの店長をフォローしたらわかるんだけどさ、響さんが入ってる日は通常の映像を、そしてシフトに入ってない日は響さんが店長に頼まれ撮影?したお店の宣伝を流しまくってることが分かった。そのせいで響さんの美しさに目がくらんだ学生連中が来店することが増えたんだよな。たまにとはいえ響さんが提供に来る可能性もあるという事でサイドメニューの注文数もうなぎのぼりだとか……いやぁ店長の作戦勝ちだわ‥」
「あはは、もしあいちゃんがここをやめたらどうなるんだろうね…」
「そうだな……困るよなぁ。売り上げが上がったおかげか時給も上がってるし‥」
そんな感じで噂されているとは露知らず、絶え間なく来店する若い男性客グループを捌くが、徐々にキャパシティオーバーしていった愛梨に助けを求められ、休憩していた仲間たちは各々の仕事に戻っていった。
★☆★☆★☆★☆
「あぁ、つかれたぁ。今日も忙しかったなぁ」
ぼやきつつ帰宅した私はシャワーを浴び、すぐにエスにログイン。疲れた体と精神をコウガ達で癒しつつ、《降石の谷》にいる鳥王を目指し行動を開始した。




