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169話 -閑話 新年➀ー

次話の➁は正月が終わってからになると思います。


どの位待たせてしまうかは未定ですが上旬中には書いておきたい。

 「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」


 「あけましておめでとう。ところで愛梨、そろそろ一人暮らしをやめて実家に戻っておいで~。女の子の一人暮らしはお父さんは心配なんだよ~」


 「お父さんはいきなり何をいってるの?まだ一人暮らしを始めて半年しか経ってないのに、実家に帰るわけないじゃない。冗談もほどほどにしてよね~」


 「あ、愛梨ぃ~……冗談なんかじゃ……」


 「愛梨、お父さんの事は放置してていいのよ。それよりもはい、お年玉」


 「えっ?お母さん、大学生になってもまだ、お年玉をもらうのはちょっと・・・」


 「良いのよ?お母さん達としてはちゃんと成人するまではお年玉をあげる事にしてるのだから。それに学費以外の援助をしてないのだから、これくらいは受け取っておきなさい?」


 「……ま、まあそこまで言うならありがたく貰うけど……」


 事実、私はアルバイトをしているとはいえ、家賃と食費、化粧品その他光熱費などを支払いをすれば残るお金なんてごくわずかです。だけど実家から解放された今の楽園を手放す気など全くないので、貰えるのなら貰おうと思う次第なわけで……。


 「ところで愛梨は初詣にいかないの?」


 「あっ、一応アルバイト先の子と約束してるからもうすぐ行こうと思ってるよ?」


 「そうなのね。ならよかったわ。愛梨、お母さんのお古になるんだけど着物があるから着ていかない?質はかなりの上物なんだけど」


 「へぇ?着物なんてあったんだ?まだ出発まで時間があるし、まずはどういう物か見せてほしいかな」


 「そういうと思って出しておいたの。これよ」


 お母さんが出したのは白地に色とりどりの模様のついた美しい着物。

 一目見て思ったのはお古とは思えないほどきれいだという事。


 「お母さん、着付け手伝ってほしい」


 「もちろんよ。こっちにいらっしゃい」


 私はお母さんと共に和室へ移動し、着付けを行った。もちろん着物に合わせたお化粧もしっかり教わったよ。まあ着付けに時間が掛かったのでお化粧に関しては着物を映えさせる程度の出来になったけど、十分だと思う。


 「ふぅ、流石愛梨ねぇ。我が娘ながら惚れ惚れするわ。……あとはゲームが関係する時に奇声を上げなければ完璧なのだけど‥」


 「ちょっとぉ、お母さん。奇声とかいわないでよ!ただ興奮してるだけなんだから!」


 「うふふっ、それじゃあそろそろ時間じゃないの?着物は動きにくいだろうから少し早めに出ておいた方が良いわよ」


 「あ、本当ね。それじゃあ行ってきまーす」


 「えぇ、行ってらっしゃい」



 愛梨が出かけた実家にて……


 「なぁ、母さん。俺はアイリの着物姿を見ていないんだが?」


 「リビングで待ち構えてるくらいなら声が聞こえた時に出てきたらよかったじゃない?」


 「いやそこは、父親らしく待つべきだと思ってだな?」


 「はいはい、どっちにしても家に帰ってきたら好きなだけ見れるのだから我慢しなさいな」


 「う、むぅ・・・」




 「うーん、なんかすっごく見られてる気がする……」


 小枝子さんや奈緒ちゃんと待ち合わせの場所にむかうにあたり電車に乗ることにした私。

 着物じゃなかったら普通にスクーターで行こうと思ってたんだけど着物だとヒラヒラして引っかかるからやめておきました。というか着物を着てスクーターとか言うダサい真似は出来ませんよね普通。


 で、その電車内で男性、特に同年代からちょっと上位の人達の視線を良く感じる。おじさんたちからの視線もあるけど、流石に隠すのがうまいらしく不躾な物では無い。

 とにかく大学内でも感じてる系の視線だから間違いなさそう。


 「やあ、綺麗な着物だね。もちろん着ている君もとても綺麗だ」


 そこに話しかけてくるチャラそうな金髪男モブ。やばいなぁ面倒そうなのが来たわ。


 「そうですか?ありがとうございます。それじゃ」


 「ちょ、ちょっとまったぁ!君暇かい?俺と一緒に遊びに行こうよ」


 「申し訳ありませんが暇じゃないんです。というかこの格好を見て行先その他諸々は察せると思うんですけど?」


 「うぐっ!?じゃあ、初詣に一緒させてもらいたいんだけど良いかい?」


 「申し訳ありませんが、大事な(友)人に勘違いされたくないのでお断りさせていただきます」


 「す、既に付き合っている人が?」


 「当然いるわけないじゃないですか?女がおめかしをして初詣に行く。それはつまりそういう事です。わかったら諦めてください」


 「……君みたいな綺麗な人と付き合っている彼氏に殺意を覚えるよ……。仕方ない諦めるとしよう」


 見た目はチャラそうだったのに意外と物わかりのいい人でした。

 チャラそうな人は私から離れるとまた別の乗客の着物女性に話しかけに行った。どうやらチャラ男は着物女性が好きなようですね。声を掛けている相手は皆着物を着てましたし。


 その後は電車の遅れや事故といった問題もなく、無事待ち合わせの駅へ到着しました。時間も20分前です。ちょっと早く着きすぎたかなぁ。まあいいか。携帯を取り出し小枝子さん達とのグループにメッセージを書き込んだ。

 そして待つこと数分液の出口から見知った二人が出てくるのが見えた。


 「愛梨さん!着物じゃないですか!すっごい綺麗……」


 「そうね。愛ちゃんと出会って半年たって慣れたつもりだったけど、着物を着ているだけでちょっとクラッと来ちゃうくらいに似合ってるわねぇ」


 奈緒ちゃんと小枝子さんがそれぞれ発言をする。そんなこと言われても私が照れるだけだからやめてください。出会った当初は奈緒ちゃんからは「響さん」というように苗字呼びされていたけど、今は普通に名前で呼んでくれる。


 「私の格好は良いとして、お二人は動きやすそうな格好なんですね」


 「えへへ~。愛梨さんと初詣に行く話になってから新しい服を買ったんですよ~」


 「奈緒ちゃん。似合ってるよ~。すっごく可愛い!」


 奈緒ちゃんはモコモコしたファーのついたボーダーとスカートにパーカーを羽織ってる。足元が寒そうとか思っちゃだめだよね。

 小枝子さんは落ち着いた大人な雰囲気を出しているダッフルコートとパンツスタイルかな?

 こうなると一人だけ着物な私が浮いてる気がしてならない……。まあいいか。


 「それじゃあ神社に行こう~」


 奈緒ちゃんが張り切って歩き出す。しかし……


 「こぉら、奈緒。神社は反対側よ?」


 「えへへ、間違えちゃった!」


 その可愛らしい仕草の奈緒ちゃんに抱き着いた私が居るのは仕方ない事だと思う。

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