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168話

あけましておめでとうございます。

今年ものんべんだらりと更新できたらいいなぁと思ってます。

 「セ、セツナッ!?」


 私は目の前の状況が信じられず声を上げた。だってどう見てもセツナがやられかけている相手は多く見積もってもランク5程度のハイオークキングだったからだ。今の状況になるまでにセツナに何かがあったことは間違いない。というか一緒に居たはずのクリステラさんがいないこともおかしい。


 私とPTを組んでいるのでクリステラさんの体力が残っており同じマップ内にいる事も把握出来てるし、私の【感応】スキルでもこの近くにいる事は分かっている。


 「って、考え事をしてる場合じゃないわね。クルスッ行って!」


 「クワァッ!!」


 どうでも良い考察なんて後回しにしてまずはセツナを助ける事を優先しないとね。


 クルスは私の指示を受けてすぐにトップスピードになりセツナを踏みつけているハイオークキングに突進、その速度と体躯の大きさを活かしてハイオークキングと共に空高く飛び上がり、高所から回転を付けて地面へ叩き落した。


 「ブヒィイィィ!!!」


 その一撃であっさり倒されるハイオークキング。私は続けてイリスを呼び出し、倒れているセツナを回復するように指示をして考察に入る。やっぱりこの程度の攻撃で死ぬような相手にセツナがやられるのはおかしいね。


 「あ、アイリ・・さん……」


 そこに茂みの方から、申し訳なさそうに出てくるクリステラさん。

 彼女の体力は約半分と言ったところだけど魔力に関しては酷く消耗しているように見える。


 「……クリステラさん。一体何があったのか教えてくれますか?」


 「はい。実は私達と戦っていたのは先ほどのハイオークキングとその配下と思われるハイオークの群れでした。ハイオークキングの相手はセツナさんが、ハイオーク達に関しては私が魔法で掃討していたのですが、何処からともなく飛んできた闇系統の魔法らしきものが戦闘中の私たちに降り注ぎ、私の体力は半分以下に、セツナさんはハイオークキングと組みあっていたため避けられず一撃を食らい、状態異常になりました。私はかろうじて」


 ふーん……セツナがあの程度の相手と戦っていたとしても別方向からの攻撃への警戒を怠るなんてありえるのか……。戦闘中に敵勢力からの攻撃に関してはブートキャンプでうちの家族たちの攻撃を通して行っていたのに?いやないわね。という事はつまり?


 「嘘をつかないでくださいね?うちのセツナがそのような攻撃をあっさり受けるわけがないでしょう?」


 「えっ?う、嘘なんかじゃ・・・って言っても信じて貰えそうにありませんよね?」


 「えぇ、信じられないわね」


 間髪入れずにクリステラさんに返答する。


 「……うふふっ、やっぱり女神さまと呼ばれるだけの事はあるのね。やはりもう少し様子を見てから動くべきだったかな」


 《プレイヤー名:クリステラがパーティーから離脱しました》


 クリステラさんから感じるのは敵の気配。クリステラさんがPTから抜けたという通知とともに放たれる複数の矢状の闇魔法。その魔法は言うまでもなく私を目掛けて放たれる。


 「巷で女神と呼ばれているあなたを倒せば私の知名度はもっと上がる!その為にPKされてもらうよっ!」


 「……そんな理由の為に私の家族を傷つけたんだ?へぇ、そう……」


 魔法を放ち、テンションが上がっているクリステラさんに私のつぶやきは届かない。そしてすでに発動されているクリステラさんの闇魔法は間違いなく私にヒットした。しかし……


 「ふふっ、私の放つ闇魔法は全て何らかの状態異常を付与するわ……それに道中で入手した魔法の威力を高める杖のおかげで魔法攻撃力は二倍になっているのよっ!」


 ご丁寧に説明をしてくれるクリステラさん。うん、闇魔法の使い手はうちの家族にもいるから十分わかってるよ?まあ基本は剣で攻撃する魔人族だけどね?もちろん自分の体力を半分にして必ずヒットさせる魔法がある事も知ってます。そう、クリステラさんの体力がちょうど半分なのはそういう理由ですね。


 それはともかくとして……まあこの行動から考えてクリステラさんがPKだったということは間違いない。だけどイエローやレッドネームになってないんだよね。という事は称号でそういうのを変化させないようにしているか、クリステラさんは指示をして自分の手を汚さないタイプのPKだということ。

 さっき倒した例の三人組のPK達とも共謀関係にあったんだろう。だからこそ、あの優しいお言葉をかけたんだと思う。まあ私が問答無用で倒しちゃったけどさ。


 それに私の《狙われる者》という称号効果はPKプレイヤーから狙われやすくするというもの、きっとこれに反応しちゃったんだろうね。PKプレイヤーからは私が輝いて見える(つまり獲得経験値が多いボーナスモンスターみたいな扱い)だから、手を出してしまった。


 とまあ色々考えちゃったけど、PK行為に至ったことなんてどうでもいいんだよね(バッサリ)。

 今の問題はクリステラさんがどうでも良い理由で私の家族を傷つけた事だしね。



 あっ、言うまでも無いけどクリステラさんの魔法は一切ダメージが通ってませんよ?この程度の魔法で私に攻撃しようなんて片腹痛いです。魔王たる私に魔法でダメージを与えたいなら今の魔法攻撃力を500倍位してきなさいって感じかな?当然ながらCHAのステータスが高い私にすべての状態異常は無効ですのでクリステラさんの狙いは悉く外れる。


 「う、うそっ!?なんで、ダメージが入ってないの?今の私の魔法攻撃力なら精霊王にすらダメージが通るはずなのに!」


 「残念だけど私に攻撃は効かないよ?私を倒したいなら私の家族たち全員を倒さないとね?でもそれは今のクリステラさんには無理。純粋にレベルと能力が足りないのよ。そういう事で次は私のターン……あら?セツナがいきたいの?そう、じゃあ不意打ちを食らわせたクリステラさんをやっておしまいなさい」


 「グルルッ!」


 「え、あっ、まって!ア……」


 クリステラさんは魔法使いタイプ。その体力は言うまでもなく低い。言葉を言い切る前にセツナの攻撃で粒子となった。


 《個体名セツナが賞金首ランキング62位に入りました》


 そしてずらりと並ぶクリステラさんの所持していたデスペナアイテム。もちろんその中には入手して喜んでいた例の杖も複数あった。まあ私自身も複数持っているので過剰在庫になっちゃうけど、しばらくはクリステラさんはPK行為に走れないはずだからまあ良しとしましょう。


 あ、そうそう、賞金首ランキングに関しても調べないとねー。どこで調べられるんだろう?

 まあとりあえず依頼はこなしたし、ハルトムートの街に戻ろう。



 「あっ、言い忘れてたわ、セツナ。あとでパーティメンバーだからと言って警戒しなかったことに関してお説教だからね?」


 「グルルッ!?キュゥーンキュゥーン……」


 「か、可愛く言っても駄目なんだからねっ!?」


 そんなやり取りをしつつ帰路につく私達だった。

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