162話
突然ですがあと数話投稿した後しばらくの間、エタらない程度に更新を停止します。
詳しい事は停止する時の前書きでお知らせいたします。
アーシェはバフ重視の支援型、ディアスは攻撃特化で所によりデバフを覚えるという教育方針を決めたけど、いざそれを実践するとなるとどういう風に鍛えればいいのか分かりません。
なので、アーシェはイリスの後ろに付きイリスがする支援を見て感じをつかんでもらい、ディアスにはカエデのデバフの使い方を見て練習してもらおうと思う。
現在いるのはアスベスト霊山の五合目のセーフティエリア。ブレイブソウルが引き返したのは三合目付近で、ここにも道を外れた先に進めば《精霊たちの遊び場》という精霊系モンスター(妖精型・自然型)が多く出現するダンジョンがあります。こっちのダンジョンはすでに最下層まで踏破済みであり、精霊系の配下が一気に増えたことを報告しておきます。
そしてドロップ目当てのプレイヤーが沢山集まっているのは霊山の麓と言っても問題のない場所で難易度的に言えば言うまでもなく一番低いエリアですが、一部強力なボスも配置されているのでそれにやられるプレイヤーも多くいるとの事。
話を戻して五合目から山頂まではまだまだ長いのですが今回の目的は山頂ではないのです。私が目指しているのはこの霊山の六合目から七合目付近にあるダンジョン《ドラゴンズホール》。
ここの浅い階層に出現する竜種はレベルは高いけど火属性のブレスを吐いてこないのでカエデのレベル上げにも最適なの。そのついでにアーシェとディアスのパワレベをして竜種の攻撃で死なないようなランクまで上がったら、二人に関しては【モンスター派遣】による育成をしていく予定。
今までの子のように私が連れて育てる場合とモンスター派遣をして育てた場合の成長の差異を調べる意味もあり、これから先も増えるであろう《幸せ家族計画(仮)》の為の礎になってもらう。
《ドラゴンズホール》
その昔、この地をおさめていた竜王が戯れで作った竜達の鍛錬場。だが時が過ぎ、竜王が別の場所へ巣を移したあとは、この地を訪れてまで鍛錬をする竜種も少なくなり今となっては、当時自分で行き先を決めることが出来なかったはぐれ竜たちの子孫が巣くう場所となった。
ドラゴンズホールにたどり着いた私たちはさっそく一番浅い階層でレベル上げに入った。
今回のメンバーはセツナ・ルドラ・イリス・カエデ・アーシェ・ディアスの六名。
セツナがドラゴンを倒していく攻撃役で、ルドラは言わずもがな生まれたてのアーシェ達の盾役。イリスとカエデはアーシェ達の見本となるべく、セツナを補助をしてドヤ顔を決め……じゃなくて方向性を示す。
「セツナ、この階層の敵は氷属性が弱点なのは覚えてるよね?アーシェとディアスに攻撃を入れさせたらすぐに片づけて」
「グルァッ!」
「イリスとカエデは敵の動きとセツナの邪魔をしないようにタイミングを見てアーシェ達に攻撃を指示すること、もちろんセツナへの補助は今まで通りするように」
「クピー!」「ガササッ!」
「ルドラは敵の攻撃を絶対に後ろに通さないようにね?この階層のドラゴン相手ならルドラが攻撃を受けてもかすり傷一つ負うのか微妙な相手だから心配してないけどね」
「ギシャーッ!」
よし、これで指示は出し終わった。あとは私が竜達に【麗王の覇気】を使ってスキル封印状態に陥れることが出来れば物理攻撃しか使えなくなった竜達相手に安全に育成が出来るって寸法です。
そしてその作戦はうまくいき……
《個体名アーシェのレベルが40になりました。新たな進化先が表示されました》
《個体名ディアスのレベルが40になりました。新たな進化先が表示されました》
わずか十分でアーシェ達が進化できるようになりました。倒した竜の数は最初の一体目で条件であるレベル20を余裕で越えたんだけど、コウガ達の進化したレベルが最低でも30だったからそこまでは上げておきたいと考え、二体目を倒したら予想を超えて40まで上がっちゃった。
さすが有名な竜種だけあり経験値が超ウマーでした。
それじゃ早速とばかりに確認してみたところ、二人ともランク4まで一足飛びに進化できるみたい……。
だけど、ここなら余裕でレベル上げが出来るんだから一段階ずつ進化させてスキルを増やしておきましょう。
アーシェのランク2になる選択肢は二つ。妖精型のフェイズフェアリーと自然型のアスターネイチャーのどちらかだけど、バフ系を覚えたいから選ぶのは妖精型。その進化先はフェイズフェアリーで新たに覚えたスキルは仲間を支援する時に対象を絞る事でスキルの威力が2割上昇する【援護術】というもの。
その後もレベルを上げてランク3でプルーフフェアリーとなり、支援効果上昇率は下がるが支援スキルの範囲を広げるアクティブスキル【支援拡大】を取得。次のランク4でフェアリーホープとなり、【聖魔法】を覚えた事で回復能力を得た。これでアーシェはバフと回復を両方使えるようになり、イリスの下位互換となったわけですね。戦闘においての役割は同じと言う意味の下位互換であり、イリスとは覚えてるスキル系統は全く違うので状況に応じて指示をしないといけない。
次にディアスはランクでデバフ型のミニデーモンと攻撃型のミニデビルが選択肢に出現したので後者のミニデビルを選択。ミニデビルで覚えたスキルは【連撃爪】。名前の通り連続して切りつける攻撃スキルですね。
ランク3では同じくファイターデビルに進化し、【獄爪繚乱】を取得。これは私の影響なのか低確率で魅了を付与する物理攻撃を放つのです。
続くランク4でスターデビルとなり、デバフ系魔法が多く存在する【暗黒魔法】を覚えた。
ここまでで分かったことが一つ。限界レベルを超えて進化した場合、物理と魔法能力にボーナスが付いてた。どういうことかと言うと20レベルで次のランクに進化した時より、40レベルまで育てて次のランクに進化した時の方が初期値が四~五割くらい違った。これに関してはテイマー検証スレに孵化した魔物のステータスが書いてあったから間違いない。情報を貰ってばかりじゃ悪いから私も今わかったことを書き込んでおきましょうか。
この結果から考えるとすぐに一足飛びで進化させてきたコウガ達には悪い事をしたかも……。進化できるからと言って飛ばさずにじっくり育ててあげれば今よりももっと強くなってたって事だもんね。過ぎた事はどうしようもないとはいえ、これから先に育てる事になる子達はじっくり鍛えていこうと再度心に誓った。
二人とも進化・レベルアップ中にもいくつかスキルを覚えたのでその結果をここで紹介しようと思います。まずはアーシェから。
名前 アーシェ
種族 フェアリーホープ♀ 精霊種ランク4
LV 1(0/2800)
スキル アクティブ【応援20】【風魔法15】【聖魔法1】【支援拡大】【悲鳴】
パッシブ 【支援強化18】【取得量増加】【精密魔力】
強さ
物理能力 350
魔法能力 750
悲鳴:大きな声を上げて広範囲の相手を驚かせスタン状態にする。成功率はレベル・ランクに影響される。
取得量増加:敵を倒した時のドロップアイテムの量が気持ち増える。
精密魔力:魔法を使用する際に必要最低限の魔力で最大効率の魔法を放つことが可能となる。
ランク1から一足飛びでランク4にあげていた場合のステータスは計算上、上記ステータスより三割前後下がるみたいなのでさっきも言ったけどレベルの限界を超えつつ、きっちり段階を超えて進化させた方が良いね。
次にディアスのステータスはこちら。
名前 ディアス
種族 スターデビル♂ 悪魔種ランク4
LV 1(0/3600)
スキル アクティブ【麻痺爪20】【刹裂1】【連撃爪12】【獄爪繚乱9】【暗黒魔法1】【眠りの魔眼】【貼付の魔眼】
パッシブ 【囁き15】【魔眼成功率上昇】
強さ
物理能力 880
魔法能力 500
刹裂:引っ掻きからの派生スキル。このスキル自体は高威力の物理攻撃だが、別の状態異常系の物理スキルを使用した際に対応した状態異常にしやすくする。
眠りの魔眼:目があった相手を確率で眠らせる。確率は高め。
貼付の魔眼:目があった相手の足を止め行動を封じる。足を封じるだけで攻撃は可能。多足生物には効きにくい。
魔眼成功率上昇:魔眼スキルの成功率を一段階あげる。
やっぱりディアスはアーシェよりも成長率が高いようです。同じ敵を倒し同じ量の経験値を得ていたのにこのような差が出たのはさすが王種候補生(?)と言うだけはある。
ランク4のレベル1でこれだけ強いのなら少しレベルを上げれば物理・魔法能力値がそれぞれ1000を超えるのも時間の問題。
二人で行動できるようになればあとは【モンスター派遣】をして戦闘経験というか様々な敵と実践訓練するだけ。私の都合次第だけど数ヵ月も経たないうちにコウガ達に並ぶかもしれない。
まあ数カ月も経ってたらコウガ達の育成に手を伸ばしてるだろうし、差は簡単には縮まらないだろうけどね。
こんな感じの日々が過ぎ、アーシェ達の安全の目処が付き丁度良いと思われるダンジョンへ派遣をした後の事。ようやく本腰を入れてカエデの育成をすることが出来ると思いながら《ドラゴンズホール:中層》へ向かった。
カエデの物理攻撃力は今現在でスキルの補正込みで2050~2550、補助スキルを使えばさらに、二~三割上昇する。エクスチェンジを使えばその三倍……。ここでは使わないけどね?中層に出るドラゴンの物理能力は大体2400~2600なので攻撃能力は竜達の方が上。なのでカエデのデバフ付きの木の実攻撃で弱体化させ、どれだけ早く打ち倒す(ラッシュする)かで効率が変わる。
「さあ、お待たせだったね、カエデ。今日からカエデを王種へ進化するための単独ブートキャンプを行うよ!覚悟はできてる?」
「ザワワッ!!!!」
「気合十分でよろしい!それじゃ、行くよ!頑張って私と話せるようになろうね」
「ブワッ!!!」
私と同様にカエデも私と完全な意思の疎通がしたいと思ってくれているのか、その日の経験値効率は今まででカエデのソロとしての最高値をたたき出したのであった。そして……
《個体名カエデのレベルが60になりました。称号《王の器》を得ました。《王の器》を得た事により王種への進化が可能になりました》
ドラゴンズホールに引きこもる事数日、一番レベルが低かったカエデのレベルも60を超え、王種への進化が可能になった。




