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156話

 光の領域の第二の都市ハルトムートに到着して早二週間が経過しました。

 この間私はコトノの工房に厄介になりつつ、光の領域での知り合いに色々聞いたりした。なお、あちらからの質問にははぐらかしたりして、情報を取られないように頑張りました。

 このような対応をするとなぜか皆がトロンとしたような生暖かい視線に変化するからです。すわっ、魅了に新しい効果が出たのか?とも思いましたが、そういうわけではなさそう。



 先日の素材取引云々に関して詳細に言いますと、闇の領域の素材のやり取りについてはコトノとルグート。そしてガイアから離れないと言っていたらしいけど、私が居ると聞いてハルトムートに引っ越してきたらしいB=ルドラーさん、さらに例の生姜焼き定食の作り手で凄腕料理人になっていたシオリさん、以上の四名には闇の領域の中級素材以下を卸す事にしました。


 素材を卸す条件としてシオリさん以外には私の装備部位の一新をお願いしました。三人とも鼻息荒くして取りかかってくれたようで何よりです。

 コトノに関してはすでにいくつか以前の素材の余りで自主的に装備を作ってくれてたようですが新しい素材で作った方が性能もいいからという事で私に見せることなく破棄してしまいました。

 今更下級素材で作ったものを着させるわけにはいかないとかいってたけど、どんなのか見たかったなぁ。


 ランクが高いモンスタードロップである上級素材と一部の最上級素材(王種類)はカティちゃんに大半を卸しちゃったからね!そのカティちゃんはヘリオストスに帰らず工房を砂漠の集落に設置したまま居座っている。土地代を気にしてたけどヘリオストスも私の領地になってるから戻っても大丈夫なのにねぇ?土地のレンタル代金なんていくらでも安くしてあげるのに……私達の装備を優先してくれるならだけど。


 ちなみに再会したBさんに関しては、ただでさえ強面だったのに髪の毛の剃りこみ具合が上がってさらにいかつくヤーさんぽい感じになっていた。さすがの私もこれには驚いてヒッ!と声をあげてしまいBさんにすごく悲しそうな表情をさせてしまった。後日剃りこみ具合をあげた理由を聞くと髪の毛が長いと鍛冶の作業の邪魔になるからだそうです……それ以前に前以上に怖くなってるから工房を訪ね辛いんだけどなぁ。それは私じゃなくても思うはず……。



 シオリさんには例の特製生姜焼き定食の作成をお願いした……けど素材がないから無理だと言われちゃいました。どうしても欲しいものだからという理由もあり、素材になるモンスターの居る場所を聞いて討伐し、大量のお肉を納品するとシオリさんが感激してくれた。

 シオリさん曰く、対象のモンスターを狩るのはたやすいけどそこに行くまでが面倒でとの事。


 面倒な理由とは亜種のモンスターのドロップだから普通種のモンスターを大量討伐しないといけない。

 私でも最後の方はもう【軍勢】を使って普通種を倒し、亜種や特異種が出たらコウガ達に頼んで倒して来てもらうというものぐさ方法を取ったし。数組程プレイヤー集団に軍勢を見られたけど、私が使役しているとは思っていないと思う。だって近くに私がいなかったんだしね?これこそ完全犯罪……まさに魔王の所業です。


 その結果、手持ちには大量の生姜焼き定食や王鳥肉絲があるのでコウガ達だけの分じゃなく、現在孵化器に入れている二つの魔獣の卵が孵化した後の育成にも使えそうです。ちなみに孵化器に入れて結構立つので孵化までまもなくと言ったところでしょうかね。



 で、ようやく今日、冒頭の方でコトノ達に頼んでおいた装備が完成したと連絡を貰った。コトノの方は少し前に完成してたらしいんだけど、コトノ曰く「他のと一緒に受け取って装備してもらった方が映えるはずだからまだ渡せないんだ~」だって。

 なんだかんだで闇の領域にいる間も私の服装備はコトノに作ってもらったヒマティオン・フェザーから一切変わってなかったからね。不満があったわけじゃないけどやっと変更できるってわけ。楽しみだね~。


 あとルグートの作るアクセサリにも興味があるかな。とはいえ、今のアクセサリ枠には指輪枠に《花鳥風月》、首枠にはカティちゃんに作ってもらった《チャーミングネックレスα》がある。あと付けられる部位は腕か足に付けるブレスレットかアンクレットみたいな物だという事はルグートに申告済み。さてどっちを作ってくれるかなぁ?


 最後にBさんだけど、鍛冶で作るような装備を私が装備できるのでしょうか……すごく心配です……。

 まさかとは思うけど鉄製の鞭(どうやって関節部が動くかは不明)もしくはモーニングスター(STR値が足りないと思う)を作ってきたりはしないと思いますけど……。いやそもそも私は鞭しか装備できないわけじゃないから鞭から離れてもいいんだよねぇ。直接戦闘に参加したことが無いのに何で武器を持ってるのか今更謎です。武器の補正にはCHAが付くことはほぼないから装備しなくてもいいくらいだし。



 「アイリさ~ん、おっまたせで~す」

 「よっ、待たせたな。こっちで見た事のない闇の領域の素材だったから加工に苦労したけど納得いくものが出来たぜ!」

 「俺の方だが……まさかお前がまだレベル1とは思ってなかったから、趣向を変えてみたぜ?まあ見てみな」


 コトノ達が満面の笑みを浮かべながら作り上げたものを取り出した。そこには折りたたまれた服と、大きさや太さの違う輪っかが2種類。そしてごちゃごちゃとした物騒な感じの爪やら嘴やら……。


 「えっ!?私がこれを着たり付けたりするの?」


 「「当然です(だろ)っ!!」」「っ・・・・・!?」


 私が服と輪っかを指さしながら聞くとコトノとルグートが声をそろえて答える。Bさんはコトノが見せるために広げた新しい服を見て口を開けて無言になっている。

 そんなBさんを見てコトノとルグートはニヤニヤしながら「おや?想像したね?このっこのぉ~」と肘でツンツンし、Bさんに怒鳴られていた。……このやり取りの意味がわからない、二人は何が面白くてBさんをいじってるのでしょうか。


 コトノが用意してくれたのはやっぱりヒマティオンなんだけど、今着ているヒマティオン・フェザーとは趣向が違っている。なんというか元の素材がいいからなのか、さらに高貴な感じをかもし出してるっていうのかな?

 フェザーが羽が生えてる天使のイメージ(自分で言うのが恥ずかしい)だとすると、この新しい服は羽がなくなった代わりに着ている者の見た目の印象をかなり上昇させそう。


 「アイリさん。その服の名前は《ヒマティオン・ミラージュ》だよ。メインに闇の領域の素材、繋ぎの副材料に光の領域の糸素材をつかったんだ。効果に関してはアイリさんが確かめてみてね~」


 「ありがとう。でも私はまたヒマティオンシリーズを着る事になるんだね……」


 「だって~アイリさんくらいしかヒマティオンシリーズが似合う人がいないんだもん!」


 「うぅ、私としては普通にドレスとかワンピース風なもので良かったのに……」


 「うんっ?そういうのもありますよ~?性能や機能性は度外視で見た目重視ですけどね~」


 「……後で着させてもらっても?」


 「ふひひ~いいよ~?他ならぬアイリさんの願いだからねー。アイリさんに似合いそうなもの見繕っておくね~!」


  コトノにお任せするのかー。まあハズレは出さないと信じてるからまあいいかな。

 それよりこの新しいヒマティオン・ミラージュの性能を確認しておこう!



 ヒマティオン・ミラージュ:ダークドラゴンの皮をベースにする事で外側は堅く内側が柔らかく加工されており、多少とはいえ物理攻撃に強くなる。繋ぎに使われた副素材はミラージュリザードの鱗繊維。このウロコには相手に幻覚を見せたりある程度能力を覚醒させる効果がある。

 効果 VIT+35 AGI+30 CHA+40 この装備を付けた対象に攻撃を仕掛けた相手に幻覚を見せることがある。発動確率は基本20%+CHAの数値による(最大補正値は50%)

 ➀素のVITが50以上の時、属性攻撃によるダメージを2割減らし、かつVITに+15の補正値が付く。なおVITが75以上だと3割減少とVIT+20、100以上だと4割の減少効果とVIT+25がある。最大補正効果は素VIT値が150で6割減少とVIT+35まで。

 ➁素のCHAが50以上の時、スキル使用時の攻撃力が25%上昇しCHA+10の補正値が付く。なおCHAが75以上だとスキル威力50%上昇とCHA+15、100以上だとスキル威力100%とCHA+20がある。最大補効果は素CHAが150のスキル威力150%上昇とCHA+30まで。



 現在ステータスの関係上、➀の特殊効果に関しては適用されないけど➁の効果に関しては着替えればすぐに効果が発現する。もちろんステータス補正値も言うこと無し。


 「一般的にみると大したことない効果っぽい(ただし私的には【チャームドレイン】の威力が向上しそうで嬉しいんだけどね)!」


 「大したことなくないですよ~!これって実はすごい効果なんですからぁ~」


 コトノは真っ先に批判されて悲しそう。ちゃんと私にとってはすごく役に立つ性能だよと言ってあげると一瞬でその悲しそう表情がなくなり、安心した顔になった。


 「前から思ってたんですけどアイリさんって~レベルが1から変わらないのに強いじゃないですかー?だからこのように補正値ボーナスが付くような作り方をした方が喜んでくれるかなぁって思ったんですよ~」


 「半年以上前にポロッと話した内容なのによく覚えてたね……」


 「そりゃもちろん大事なめが……いえ、お客様の情報ですから!」


 「……コトノォ?今めが(・・)……何とかと言いそうになってたよね?どういう事?私知りたいなぁ?」


 「き、気のせいですよ~。単に今日も大事なお友達のアイリさんの目が(・・)綺麗だなぁ……って言いかけただけですよ~?」


 誤魔化すのが下手ね(コトノのこと言えない上、アイリ自身も言い訳がバレバレな点の自覚なし)……。まあいいか。そういう情報集めならこっちでティアを開放すればいいだけだしね。その為にもこっち側の色々な町に行けるようにしておかないと。


 「ギルマス……いやコトノが作った物は気に入ってくれたようだな?次は俺だぜ!じゃっじゃーん!」


 コトノがギルドマスターをしてることはすでに知ってるから言い直さなくてもいいんだけどね?

 次はルグートの持ってきた装備品の径の違う輪っかが二つだね。すごく綺麗に装飾されてるけど……説明を求めるよ。

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