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150話

 「うぅ~疲れた!休憩っ!」


 トリビア監修のもと新たに増えた領地、ヘリオストスやらユール、水帝王から奪った孤島の各所に人員を派遣し集落を作っていく。なんだかんだで砂漠の集落に集まる人が多く、あぶれてしまう住民もいるわけでそういう人達には新たな土地へ渡ってもらい開拓を任せていった。

 新たな住民たちの中には砂漠の領地が潤ってきているから来た人達と、私が治めている土地だから来たという人達の二種類が居る。


 前者は自分達の生活を改善したい人や、住民の冒険者でプレイヤーと組んで攻略報酬を狙う形の人などですね。住民の冒険者の例で言うと金に汚い感じを受けるかもしれないけど、そういうのを狙える程度の実力を持っている。中にはここを拠点にしているプレイヤーより強い住人もいるからね。

 そういう住民と交流することでプレイヤー側は新たな知識や情報を得ることが出来、住民側は死んでも生き返るプレイヤーを味方につける事で自分の安全や報酬面での利を得ることが出来る。

 とはいえトリビア曰く、こういう人達は現在の状況で来ている人だから新天地開拓には向かないらしい。


 続けて後者の私が治めているからこの領地に来た人達だけど、最初から最後まで協力的です。

 砂漠の領地に空きがないと知るや否や新しい領地は無いのかと質問が飛んでくるほど。

 それに対し私達が、新たな領地の開拓メンバーを探している旨を伝えると我先にと応募が殺到してくるのだ。ぶっちゃけ何故ここまで私の領地というだけで人が来るのか意味が分からない。


 「アイリ様を慕ってこちらに移ってきた住民たちですが、他の土地でアイリ様がこなした依頼結果に満足し、それが積み重なってこちらに来ていただけた人達でしょう。つまりアイリ様と直接の面識はありませんが、アイリ様のお人柄などは十分に吟味しているはずです。ですので、彼らを裏切るような真似をされては領地の衰退に繋がりかねませんのでこれからも行動にはご注意くださいね」


 領地持ちでギルドのクエストをこなしているだけで住民の好感度が増えていたってわけですね。

 てっきり、そういう好感度云々は自分の領地内だけの事かと思ってたよ。片手間とはいえ行く先々でクエストを受けておいて正解だったね。


 と言う訳で私を慕ってきてくれた新しい住民さん達に挨拶を済ませて、それぞれの希望地へ送っていく。

 ヘリオストスとかユールならこの砂漠の集落……今となっては砂漠の街になりつつあるけど……に居るプレイヤーに依頼を出せば受けてくれるからいい。

 だけど孤島の開拓をしてくれる人が向かう港町の途中には大型モンスターの生息する場所を超えなくてはならないので私達が護衛をしていった。



 そういえば今その港町にはエレノアが居るんだよね。先日のエレノアとのPVPの後、負けた方は勝った方の言う事を聞くという条件で戦い、私が勝った。エレノア自身は不意打ちが決まれば勝てると踏んでいたけど、不意打ちするまでに魅了されてはどうしようもなかったんだよ。


 そんなエレノアにお願いしたのが、一カ月間港町と孤島間の船の旅の護衛をしてもらう事。

 あくまでも都合のつく限り協力してもらうという口約束でしたが律義にもエレノアはその廃人プレイ時間を有効活用し、一度の不備もなく付き合ってくれてます。


 あの時は負けたことで多少文句を言ってきたとはいえ、エレノアからしても海域に出現するモンスターならソロで倒せるし、経験値の割もいいので最終的に了承した。

 なお船の旅自体は数日に一回程度の頻度なので船が出ない時は自由に過ごしてもらってる。港町周辺の大型モンスターはスキルのレベル上げに最適な強さだとかで、ここをすっかり気に入ったエレノアは期間が終わった後もこの辺りにこもり続ける気らしい。

 ちなみにスキルのレベル上げに最適なだけで大型モンスターを倒す力はないらしく、滞在費を稼ぐために倒す事が必要になれば港町にいる冒険者かプレイヤーと協力するつもりらしいよ。

 エレノアって外面は良いからなぁ。昔ボッチじゃないの?って言ったのをまだ気にしてるのかも……。



 孤島に付いた私達はすでに建築されつつある集落規模の建物前に連れてきた住民たちを集めて、これからの指針を指示した。


 「皆さんにはこの孤島の鉱山や森で採れる素材を採取し販売することで、私の領地に貢献していただきたいと思ってます。地上部分には港町にいる冒険者を雇えば倒せる程度の魔物しかいませんので安心してください。ただし地下部分には高品質素材が多々ありますが、ここには凶悪な魔獣(弱体化したとはいえ水帝王)が湧きますので、基本的には立ち入り禁止です。もしこれを破り被害を被ってしまっても責任は取れません!よろしいですね?」


 住民(移民?)たちを見まわし、ちゃんと理解しているか確認する。住民たちのほとんどが赤面しているものの真面目な顔で見てくるのでちゃんと理解はしてもらえたと思う。

 あとはここの代官をしてる集落長に引き継いで割り振りをしてもらった。


 「ねぇ?プレイヤーは入っていいのよね?」


 住民たちが名残惜しそうにしながらも解散した後、エレノアが話しかけてきました。


 「エレノアは勝手にすればいいよ?流石に私の領地とはいえプレイヤーの行動までは咎める権利ないもん。潜って王種に挑み力及ばず死に戻ろうが全く気にしないよ?」


 「アイらしい答えね。ところで前から気になってたんだけど集落にあるあの渦巻は何なのよ?わたしが触れても何の反応も示さないんだけど?」


 「あれは私が設置した条件付きの転移装置だよ。領地内ならあれが設置できるんだよね~。ここから砂漠を経由すればヘリオストスだろうが以前会った大河だろうが私の領地になっている町や集落なら一瞬で移動できちゃうよ。ちなみに使いたいならエレノアは私の領地のギルドを本拠地に設定しないといけないよ」


 「な、なによそれ!?領地システムってそういうのまで設置できるようになるわけ?」


 「まあね~。ちなみに砂漠に設置しているどこでも移動できる転移装置なら一つ設置するのに10M、あの渦巻みたいな簡易転移装置は一つあたり1Mかかってるよ」


 「……いつも思うけどアンタはそのお金をどこから調達してるのよ……」


 「もちろん依頼と領地経営で!ついでにPKプレイヤー狩りもしてるかな?私って、称号効果のせいでPKに狙われやすいんだよ。なにせPKプレイヤーが私を倒せば数レベル位、一気に上がる経験値と大金を得られるらしいの。……メタル○ングとかプラチナキ○グになった気分だよ……どこで知ったのか問い詰めたら掲示板に情報が上がっててびっくりしたよ」


 「普通のプレイヤーがアイを倒してもダメなのね?(というかこの子を倒せるプレイヤーなんているのかしら?)」


 「だね。その場合は普通にPK落ちすると思うよ?

 ちなみにPK側が私に倒されたらレベルが5ダウン、隠しステータス的なスキルレベルの熟練度的なものが0になる。武器破損、防具破損、死に戻ってしばらくはPKプレイヤーの懲罰房に入る羽目になるってさ」


 此処で説明。隠しステータスに分類されるスキルレベルの熟練度というのはこういうのだよ。

 例えば剣術のスキルレベルが20で熟練度的なものが99だとしましょう。その状態で私にPKでやられると99の所が0になると言う訳。ちなみに熟練度が50以下の時はスキルレベル自体が-1される。

 このゲームはPKには厳しいから、その位の懲罰がないと他のまじめなプレイヤーが文句を言ってくるらしい。


 「そんな酷い設定なのに襲ってくる馬鹿(PK)がいるのね……」


 「まあそういう事だね。端から見たら私ってすごくねらい目らしいし……そういえば、ギンちゃんもPKになってたらしいけど、保釈金?みたいなものを支払って外してもらったって」


 「ふぅん、まあ別にギンジロウの事はどうでもいいわ(ねらい目って言うのはアイを倒した時の経験値じゃなくて容姿云々の比率の方が高いんじゃないかしら……悔しいからアイには言わないけど)」


 エレノア……。ギンちゃんが可哀そうだから少しくらい気にしてあげてね……。



 エレノアは私から聞くだけ聞くと、弱くなってるみたいだし水帝王に挑んでくるわねっ!といいながら地下へと下って行きました。……うん、わかってたけど、なんで一人で行くのかな?死霊王の時と言い、今と言い、エレノアは私と絶対にパーティを組みたくない理由でもあるのかなぁ?


 「まあ私は暇だからついていくんだけどね!」


 道中の敵はコウガ達が葬り去っていく。思ったより通常モンスターに邪魔されたなぁ。

 そう思いながらようやくたどり着いた地下部分で、すでにエレノアと水帝王が激闘を繰り広げていた。


 ……あれ?思ったよりエレノアが押してる?そっか、スキルレベルが高いから一撃あたりの威力が大きんだね。エレノアの得意魔法は火属性。だけど水帝王には火属性は効きが悪いから弓をメインに使ってるわけかぁ……。というかあの弓、雷属性付与されてる?なるほどだからかぁ。偶然か必然かは知らないけど相性がいい武器を装備してるなんてなかなかやるね!


 私の時はイリスがタクトマジックからの雷光魔法のコンボを数回しただけで倒してたから詳しい攻撃法を見れなかったんだよね。この機会にじっくり見せてもらおう。



 ……見学すること三十分……戦闘が終わった。


 「……厳しい戦いだったけどようやく王種を倒せたわね。レベルは……!?な、7つも上がってるじゃない。アイが強くなる理由も頷けるわね……ステータスの割振り考えないといけないわね……」


 満身創痍ながらもエレノアが勝利した。どうやらすごくレベルアップしたらしい。


 「おつかれ~、エレノア。王種に勝つなんてすごいじゃない!」


 「げげっ!?アイ。なんで来てんのよ!?領地運営するんじゃなかったの?」


 「げげっ?は酷くなーい?王種と戦うって言うから心配してついてきたのにさー」


 「誰も見に来てくれとも、手伝ってくれとも頼んでないわよっ!……まあ来てしまったものは仕方ないわね。でも見ての通り私でも王種を倒せるようになったんだし、ちゃんと追いついてブチのめしてやるから覚悟しときなさいよ?」


 「ふっふっふ。私の秘密を解き明かさない限りエレノアがいくら強くなっても私には勝てないんだよ」


 「……へぇ。秘密があるのね?どんな秘密か知りたいなー(棒読み)」


 「それもちろんステータスの……って何言わせる気なの!?」


 「チッ、いつものノリで口を滑らせると思ってたのに……上手くいかなかったわね……」


 「エレノア、今チッていったよね!?思いっきり舌打ちしたよねっ!?」


 「……なんの事かしら?そんな淑女にあるまじき行為はしないわよ?何言ってるのアイ?」


 「うぅ~絶対ウソだぁっ!!エレノアが淑女であるはずがないもんっ!」


 「ちょっと、それどういう意味よっ!」


 結局この後のやり取りはグダグダで口での罵り合いが続いたので割愛します……。

 この数日後約束の一カ月が終了し、エレノアは孤島と港町周辺でレベル上げを続け、暇を見ては水帝王を周回しているみたい。そのおかげでダブついた水帝王のドロップ素材が回り始め少しばかり私の領地が潤ったと言っておこう。

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