132話
予告してた月曜日に投稿できずに申し訳ありません。
あまりにも筆が進まず、今日投稿する分を書くので精一杯でした。
「ひょーひょっひょっひょ!このワシを怒らせた愚か者めがっ。この【木秘術】を食らい、ワシの邪魔をしたことを死んで詫びるがよいわぁぁ!【秘樹・魔貫砲】!」
人型に変身した樹齢王が手を銃口のように形作り、放ってきたのは【木秘術】という聞いた事のない魔法(?)だった。攻撃の内容自体は、なんちゃらカノンというだけに砲撃系なんですが、その軌道(弾道)を見極めるとかは無理そうですけど、樹齢王の手がこちらを向いているので、どの辺りを狙ってるか絞るのはたやすい。
この木秘術が魔法に属するものだというなら私が出るべきなんだろうけど、これが実は物理&魔法の複合効果とかがあったら物理ダメージ分が貫通してくるので私は即死してしまう。ですので念のためルドラに【マジックカウンター】を使ってもらい、秘術というものが魔法攻撃か複合かもしくは木秘術という物理属性なのかどうかを試してもらうことにしたのです。
これでカウンターできたら魔法攻撃ですから私が直撃しても死ぬことは無い……はず。
王種の中でも魔法特化型だった死霊王の魔法攻撃力がおおよそ3000位だというのは以前軽く話しましたよね?仮に樹齢王の魔法攻撃力が死霊王を上回っていたとしても、私自身のCHAの値も死霊王と戦った時とは比べ物にならないくらいに上がっているのでダメージを食らうことは無い……に違いありません。
……えっ?そんな説明よりも気になるのがルドラの扱いがひどい事ですか?
私もこういう目に見えて生贄にするような形はとりたくない(はずなの)ですが、私の盾になること自体は本人が喜んでくれるのでいいんじゃないでしょうか?
樹齢王の放った【秘樹・魔貫砲】は、樹齢王の魔力を収束し、直線範囲上に効果を及ぼす魔力砲という類のもののようです。
どこでも瞬時に守りに行けるよう傍にいたルドラに【秘樹・魔貫砲】の軌道予測を伝えると素早くその位置に移動し、【マジックカウンター】を発動、狙い通りそこに樹齢王の攻撃が来る。軌道予測に関してですがこれは コソコソと隠れているティアに頼み【念話】で樹齢王の攻撃範囲を【予測】して教えて貰う形をとった。まあその内容も確実性は高くないけど、相手の行動とティアの【予測】があれば大体の確定情報を導き出すことが出来る。戦闘で役に立てなくても、こういう補助能力もあるから使えるところでは使ってあげないとね。
「ギッ、ギシャアァッッ!!」
私が思ってたより威力が高い攻撃だったのか苦しそうな声を上げるルドラ。体力を確認するとジリジリと体力の数値が減っていくのが見える。うちのルドラの体力を削るなんて流石といったところかな?
「ひょひょひょ。無駄じゃよ。ワシの【秘樹・魔貫砲】は防御に優れたものにすら一定のダメージを与える事が約束された魔法じゃ。そこのドラゴンも耐えようとすればる程、余計なダメージを食らうのじゃぁ!」
なるほど、ご丁寧に効果の説明をしてくれました。そういう事なら……ルドラの能力を増加させて樹齢王の魔法に接触している時間を減らせばいいだけよね。
「【エクスチェンジ】使用、対象はルドラ、付与値はCHA200!」
「ギルルッ!?……ギシャァァ!!!」
自分の体に力が満ち溢れてくるのを感じ、樹齢王の【秘樹・魔貫砲】を反射するべく、気合を入れたルドラ。
その甲斐あって、ルドラはようやく今まで使う機会がなかった【マジックカウンター】を発動させることが出来た。カウンタースキル発動により、明後日の方向へ飛び散っていく樹齢王の魔法。
「ななっ、なんじゃとぉ!?わ、ワシの木秘術をドラゴン如きに跳ね返されたじゃと……在り得ん……ワシが長い時を生きてきた中でも、このような事実は一度もなかったのじゃぁぁ!」
さっきから五月蠅いなぁ。この老いた樹人。私はスキル発動できたルドラをほめてあげたかったのにそのタイミングを逃しちゃったじゃないの!
「ギシャァ~♪」
だけど当の本人は樹齢王を視界に捉えつつ尻尾を振り喜びを表現している。うん、体がゴツ(くても)可愛いよっ!すぐに褒められなかった事は、後でノシを付けて可愛がってあげることでご褒美としよう。
さて、それじゃ相手の攻撃のターンが終わったから私たちのターンだよね?覚悟なさいよ?樹齢王!
★☆★☆★☆ ➀ ★☆★☆★☆
一方その頃、同フィールド内で活動しているコウガ達仲間モンスターの様子はというと……
「わふっ(これで大方片付いたであるな)……?」
「ク、クワァッ(油断するな、そうでもないようだぞっ)!」
コウガの独り言に、クルスが応えながらコウガの背後に迫っていた魔蟲モンスターをロックブラストの魔法で押しつぶした。
アイリの指示のもと、樹齢王の呼び出した軍勢の処理をしているコウガ、セツナ、クルス、ロアンの四人は被弾を少なくすることと効率よく狩るためにコウガとクルス、セツナとロアンの組に分かれて掃討作戦に当たっていた。
コウガ達が居るのは最初に軍勢が百体程度、魔蟲を中心として魔樹、魔粘体などのモンスターが出現したエリアである。詳しく言えばアイリたちが居るのが南部から中央にかけてで、コウガ達が居るのは北部だ。
その軍勢が呼び出されたのは遡る事、十分くらい前。だが今となっては動いている存在はコウガとクルスだけとなっている。
「わふんっ(むっ、すまぬであるな。俺としたことが背後を取られてしまうとは……なのである。だが一応言い訳をすれば、あの攻撃程度では俺はやられなかったのであるよ?)」
「クワァッ(ふむ、無論あの程度の攻撃でやられるお主ではないことくらいは分かっておるが、主殿が言っていた毒とやらを使うモンスターだったからな)」
「きゃぅん(そ、そうだった。ご主人様は毒のモンスターに気をつけろと言っていたのである。モンスターの討伐が順調すぎて忘れていたのである)」
「クケェァ(まあよかろうて。次から気を付ければいいだけの事よ。この程度のモンスター共相手に我らが傷を負おうものなら主殿が怒り狂ってしまうかもしれんしな)」
「わふふっ!?(傷くらいじゃ怒らないと思うのである。これも王種との戦いであるからして、無傷で勝てとは流石の御主人も言わないはずである……いわない……はずである」
「く、くけぇ!?(な、なぜ二度言った?)」
「きゅぅんきゅぅん(大事なことは二度言うように、とご主人様が言っていたのである)……」
この後ミスティがこの広場に来るまで二人(一匹と一羽)はご主人についていろいろと話し込んでいた。
★☆★☆★☆ ⓶ ★☆★☆★☆
場所は変わって、東側に広がるフィールドにてセツナとロアンの二人が協力して殲滅に当たっていた。
ここに現れた樹齢王の軍勢モンスターは北側と違い魔樹系統が多めで魔蟲や魔粘体のモンスターは割合で少ないと言えた。
「ふっ、ほとんどが魔樹か……我とセツナ、氷魔法の使い手が二人もいれば他愛もない存在じゃな」
「ロアン、油断をしてはいけませんよ?いくら王種だからと言っても負ける時は負けるのですからね?」
「うむ、わかっておる。我もお主に不覚を取った身じゃからな。二度同じ失敗はせんわい」
話しながらも二人は氷魔法の行動阻害の効果を上手く使いながら確実に魔樹系のモンスターの根を凍らせたりして自分たちが倒しやすいように戦場を操作している。具体的に言うと纏めて凍らせやすい魔樹タイプの足元にフロストフィールドという魔法を使い、移動に手間取っているうちに、その余波を食らった周囲の魔蟲や魔粘体を次々と倒していった。
特に魔粘体は氷属性の魔法で一定確率で凍結の状態異常になるので耐性があるはずの打撃系ダメージも通りやすくなったりするのでロアンが喜んで殴りに行ったらしい。
もともとのランクの差があったというのも大きく東部の軍勢は駆逐された。
最後の方でなぜかイリスが飛んできていたが、敵が居ないのを確認したのち、ロアンたちの回復をしてアイリの元へ帰っていった。




