表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
125/195

122話

 地壊王から飛び出したのは小型の地壊王みたい小鳥の群れ。自我ではないものの単純な命令には従うらしくそれらがクルスへ殺到する。これって軍勢じゃないの?って思ったけど違うみたい。

 クルスは遠く離れているものは爆撃砲で撃ち落とし、爆撃砲では対処が難しいと判断したものには回避をしたり、羽を飛ばしたりして迎撃していく。

 小型の地壊王はどうやらスキルらしく見た目は鳥だけど何かに接触すると爆発する効果があった。……いうなれば地壊王ボムって感じかな?


 「うわぁ、生身の鳥かと思ったら実は生体爆弾だったとかすっごいシュール……」


 クルスの戦闘の様子を見ながら私はそんな感想をいわざるを得ない。でもまあ爆発する鳥を出すという攻撃方法が分かっただけでも収穫はありだよね。

 地壊王のこのスキルはクールタイムが少ないらしく、撃ち落とされた後、すぐに補充するかのように次々と生産していく。


 「クハハ。逃ゲテバカリデハ俺様ヲ倒ス事ハ出来ンゾ!」


 いつまでもこんなのが続くと鬱陶しいよね。クルスとしてもこんなことが続くのは嫌なはず。

 私が一つ指示を出せばこの展開から抜けられるけど好きにして良いと言った手前、前言を撤回するのはちょっとね。まあ流石にクルスが追い込まれるようだったら口出しをするけどさ。


 クルスは地壊王ボムから逃げながら地壊王との距離を詰めるべく、策を練っている。能力が下がっていたとはいえ、もとは王種だったんだし今の状況を打破するくらいしてくれるよね。


 「クエェッ!?」


 と思い見守ってたらクルスに地壊王ボムが直撃した。な、なんで避けないの!

 そう思ってイリスを向かわせようとしたけど、爆発の煙の中から現れたのはほぼ無傷のクルス。どうやら岩纏を使用して防御能力を増やしていたらしい。


 「ふむ、クルスはあのスキルの威力を確かめる目的で態と食らったと言っておるぞ……ステータスが上昇し、今使っている岩纏があればあの程度の爆発など問題ないと言っておるようじゃ」


 なんだぁ。ふぅ、心配して損した……。


 「ホウ?俺様ノ攻撃ヲ食ラッテ元気ナママ(ピンピンしている)トハ、俺様モ少シバカリ認識ヲ改メネバナランヨウダナ」


 「クエッ!クケェッ!!(地壊王の攻撃とはこの程度なのか……温い温すぎるぞ!)」


 「ナンダト?ヌルスギルダト?キサマァ……コノ俺様ヲ甞メルノモイイ加減ニシロヨ?

 主菜メインディッシュデアル王種達ノ前にキサマ如キ雑魚ト遊ンデヤッテイルノガ、マダワカランノカッ!」


 どうやら上ではそんな舌戦が始まっているらしい。ロアンの通訳なのでクルスの鳴き声と通訳の文字数が遭わないのは仕方のないことなので気にしないように。

 とりあえず今わかったのは、クルスが地壊王の攻撃は話にならないくらい弱いと侮辱したらしい。そしてその売り言葉に買い言葉で地壊王も怒ったという事だね。

 ブチ切れしちゃった地壊王はその後クルスに対し今までにない速度で攻撃を仕掛ける。


 具体的に言うと地壊王と言われているように大地を一撃で破壊せしめるほどの純粋な力と速度が乗った物理攻撃。特に空高くからドリルのように回転して突っ込んでくる嘴による攻撃は周囲の地面が半径10メートルくらい一緒に削れるほどの威力があった。これは文字通り《ドリルくち○し》だね。

 その削れた地面の欠片が私たちの方にも降って来たけどルドラがその堅い体でしっかり守ってくれた。コウガやセツナも自分たちの方に飛んできたり振ってくる礫を弾いたり、尾を振って楽々と叩き落している。


 そんな威力のある攻撃ですらクルスにかすりもしない。クルスの純粋なステータスで勝負してたら、さっきのドリルく○ばしは避けれなかったかもしれないけど、二倍にしてる今のステータスなら余裕でかわして反撃にも転じることが出来るみたい。なんとなくだけど地壊王のステータスの想像がついたよ。

 物理能力が1700位で魔法能力は多くて1000程度だね。攻撃力が高いと言っても2000を超えてるということは無い。2000を超えてたらクルスの岩纏を貫通してくるからね。


 一方、クルスの放つ反撃は的確に地壊王をとらえ、傷をどんどん増やしていく。

 ……これはもうエクスチェンジを倍率変更しての掛けなおしとか考えなくてもいけそう。地壊王って思ったより強くない奴だったのかぁ。


 もしかしたら地壊王って死霊王よりも弱いんじゃないかなぁ?

 まあ私が地壊王と戦いになったらすぐ負けちゃうから一概にそうとも言いきれないけど、私にとっての死霊王のように、やっぱり戦闘の相性って言うのがあるんだね。

 ちなみに今のクルスが死霊王と戦えばまだ若干死霊王が有利かも知れない。威力のある魔法のあの弾幕はクルスの岩纏があっても防ぎきれないだろうしね。あっ、でも魔法攻撃にも強くなったルドラと組ませたら普通にいけそうな気がする。

 参考までに死霊王のステータスも想像してみた。多分物理能力は900前後で魔法能力が2200~2700位だろうね。明らかに魔法特化の能力だから概ね間違っていないはず……。


 ……あっ、攻撃後の無防備な背中を晒した地壊王がクルスの威力は高いけど当たりにくい技の一つである雷撃衝を食らってこちらに墜落し(おち)てきた。



 「ソ、ソンナ馬鹿ナァッ!?俺様ハ誇リ高キ地壊王ノ名ヲ持ツ王種ダゾ!ソレナノニ、タカダカ、ソコラノ雑魚如キニ追イツメラレルナンテ……アリエンッ」


 「地壊王よ。我からお前に一つ教えてやろう。お前は地壊王と言う名を誇りに思っているようだが、今までの地壊王を含め王種の中で最弱の代名詞である。氷獣王たる我を含め、他の王種がお前を相手にしなかったのはいつでも倒せる弱者をいたぶる趣味がなかったまでの事。まあそれをお前たち歴代の地壊王は自分を恐れての事だと思ってふんぞり返っていたらしいがな」


 「ウソダッ!?俺様ハ……地壊王ハ破壊ヲもたらス、大空最強ノ覇者ダゾ!ソンナ戯言ヲ信ジラレルカァ~!」


 墜落した地壊王にロアンが言い放ち、ショックを受けた地壊王はそのままロアンに向かって例の一番威力のあるドリルくちば○を放った。いつもより多く回転している感じがする攻撃だ。しかし……


 「お前の認識は間違っておるな。過去も現在でも大空の覇者と呼べるのは現龍王だ」


 「ソンナ……バカ……ナ……」


 ロアンは正面から足の剣で地壊王を一刀両断した。その様子はまるでハエを振り払うかのようだった。

 ステータス的にはロアンの方が低いが、戦闘経験で勝っているロアンが勝った。

 両断された地壊王は信じられないという顔をしたまま粒子となり消えた。


 「クエェェッ!!!(ぬぁっ!?ロアンおまえぇぇ!我の獲物を盗ったなぁ)」


 「むっ、すまない。クルスよ。ついつい足(手)を出してしまったぞい」


 「クエェックエエッ(そうなのか?それならば仕方ない。肉料理五回分で手を打とう)」


 「ぬぅ、わかった。今度我に与えられる肉を五回……は多いから三回分お主に譲るから許すのじゃ」


 「クケッ(……まあいいだろう。だが同じことをしたらこんなものでは済まさないぞ)」



 ……なんかよくわからないけど地壊王を倒しちゃったみたい。というか、最後ロアンが決めちゃったんだね……まあ地壊王がこっちに来たからしょうがないんだろうけど……。

 一つ言うとしたらロアンだったら殺さなくても無力化出来そうだったけどなぁ。倒しちゃったから地壊王に言うこと聞いてもらえなかったよ、残念。

 と言うかロアンって言葉尻に「ぞい」なんてつけるんだね。なんかわざとらしい……いや別にいいんだけどさ。


 そして流れるいつもの無機質な音声さんのインフォメーション。


 《あるフィールドにおいて、あるプレイヤーが王種モンスター《地壊王カラドリス》に勝利しました》

 《プレイヤー名:アイリが《地壊王カラドリス》に勝利しました》

 《プレイヤー:アイリが王種を倒した事で魔王の資質が強化され魔王の熟練度がⅣになりました》

 《プレイヤー:アイリの魔王の資質が強化された事で新しいスキルを取得しました【軍勢:死霊/精霊】【軍勢:魔粘体】さらに一部のスキルが変化しました》

 《プレイヤー:アイリの魔王の資質が強化した事によりステータスが上昇しました》

 《個体名:クルスのレベルが上がりました》

 《個体名:クルスは条件を達成したため新しい進化先を得ました》

 《個体名:ロアンのレベルが上がりました》

 《個体名:ルドラのレベルが上がりました》

 《個体名:イリスのレベルが上がりました》

 《フレンド:エレノアからメッセージが届きました》



 言うまでもなく一番上が光と闇の領域全体へのワールドアナウンスで、二番目が砂漠の西部と東部を対象にしたエリアアナウンス。三番目以降が私個人へのアナウンスです。

 ちなみにワールドアナウンスに関しては本来の討伐エリアで倒したわけじゃないからあるフィールドと紹介された。


 それじゃいつも通りステータスのチェックだよ!



 名前 アイリ

 種族 人族 

 適正 魔王 (Ⅲ → Ⅳ)・調教師

 LV 1(-/-)

 スキル

 【テイム】 → 【ナイステイム】

 【統治15】

 【感応9】

 【※エクスチェンジ】

 【覇気】 → 【麗王の覇気】

 【魔唱歌】

 【軍勢・魔獣/獣】

 【軍勢・魔鳥/鳥獣】

 【軍勢・魚獣/魚】

 【軍勢・亜人】

 【軍勢・魔樹/植物】

 【軍勢・物質/魔動機】

 【軍勢:死霊/精霊】

 【軍勢:魔粘体】


 パッシブ

 【好感(小)・魔人】

 【好感(大)・魔獣/獣】

 【好感(大)・魔鳥/鳥獣】

 【好感(大)・魚獣/魚】

 【好感(大)・死霊/精霊】

 【好感(中)・妖魔/堕天種】

 【好感(大)・魔樹/植物】

 【好感(小)・魔蟲/虫】 → 【好感(中)・魔蟲・虫】

 【好感(中)・魔粘体】 → 【好感(大)・魔粘体】

 【好感(中)・物質/魔動機】

 【好感(中)・亜人】

 【メイクアップ】


 強さ

 STR 1(+19)

 VIT 1(+12)

 AGI 1(+12)

 DEX 1(+1)

 INT 45(+21)   → 50(+21)

 CHA 430(+430+62) → 460(+460+62)


 装備

 バスターウィップ STR+5 攻撃後、出血効果が付くことがある(小)

 ヒマティオン・フェザー VIT+4 INT+7・CHA+12

 チャームネックレス CHA+4

 鬼樹のサークレット+2 STR+9、VIT+8、INT+5

 クイーンシューズ+3 AGI+12、CHA+15

 鬼姫の躯手 STR+5、CHA+6

 スカッドモノクル INT+5、CHA+5

 花鳥風月 【薫り立つ美】【見通す視線】【対人耐性:中】【※※】【※※】 内蔵スキルに依りCHA+20


 称号 闇勢力の切り札・気になるあの子・魅惑の美姫・神をも堕としうる美貌・傾国の美女、世界を揺るがす美神・虫嫌い・魔素を知る者



 思った程ステータスが上がらなかった。やっぱり地壊王が弱かったからなのかなぁ?まあ魔王としての階位があがったからいいよねっ!

 そんなわけでとりあえずスキルからチェックからスタートだよ!



 【ナイステイム】:テイムよりも仲間に出来る確率を増加されたスキル。(注:すでにアイリのテイム能力の限度は取り除かれているため仲間になる確率のみの上昇となります)


 要するに私は最初の質問時にテイムスキルに関する制限を解除(仲間モンスターの収納数とかそういった機能の事らしい)してもらってたから仲間にする確率しか上がるものがありませんと言う事ですね。でもこれだけでもありがたいですよ!モフモフ……また増やせるといいなぁ……。



 【麗王の覇気】:覇気が進化した複数ある形の一つ。魅了だけでなく対象のスキルをランダムで一つ封印することが可能となった。素のCHAの数値によって変動するが、対象とする相手のスキルを知っているといないとでは封印成功率が大きく変わる。


 魔王の覇気かと思ったら麗王の覇気だったとか……。これってやっぱり説明文から察するにCHAの影響を受けた変化って事だね。麗の文字にそれ以外の意図は含まれてないはずっ!

 それにしてもこれは……魔物鑑定とかのスキルが欲しくなるね。もちろんこのまま王種を倒しCHAを上げて力押しで封印するのもいいと思うんだけど、やっぱり成功率が違うのなら相手の事を知れるようにはしておきたいよね。

 そういうスキルを私が覚えられればいいんだけど……無理だよねぇ。どうしよう。



 新しく増えた【軍勢:死霊/精霊】【軍勢:魔粘体】に関してはもう説明するのもあれなんだけど、《死せし者の共同墓地カタコンベ》や《暗鬱なる洞穴(グルーミーズホール)》で勧誘した子たちを呼び出せるようになったね。また落ち着いたらメリュジーヌ周辺で配下を増やそうっと。配下になるモンスター自身が強いから後々楽だしね。



 で最後にステータス。さっきも言ったけど上昇幅は多くはなかった。前回200も上がったから今回も50程度は上がると思ったら30だけだったという。INTも5あがっただけだし、しいて言う事は何もないよね。称号も増えてないしさ。



 次にレベルアップ組だけど、ここで言うのはクルスの進化先に魔鳥王と言うのが追加された。

 たぶんこの魔鳥王と言うのが地壊王の代わりの王名なんだと思う。


 「ねぇ、クルス?鳥王と戦う前に魔鳥王になりたい?」


 「クエェッ!(主殿の言う事でもそれは聞けぬ!我は鳥王であるからしてっ!)」


 「うん、わかってたけど一応確認したかったの」


 今更だけどクルスといい、ロアンと言い一人称は「我」なんだよね。王様だからかなぁと思ったけど地壊王は「俺様」っていってたしなぁ。そう考えると私は私で良いのかな?

 うーん、ちょっと自分の王種っぽい一人称を考えてみよう……。


 は…… うーん、なんか違うよね~。

 あちきは…… イメージじゃないと思う。この言葉を使うほど元気キャラじゃないし~……

 わたくしは…… この言葉を使うなら私のままでいいよね。

 わらわは…… うん、偉そうな感じ。でも私に似合うかどうかで言うと……どうかな?明日の大学の時に同じ講義を受けてる友人に聞いてみよう。


 え?なんか一つだけ具体的に気に入ってそう?気のせいじゃない?わら……私がそんな口調使うはずがないですわ~。おほほー。



 最後にメッセージだけどまあ、すぐに読む必要はないよね?どうせいつもの内容だろうし……ていうかエレノアの中では王種を倒すプレイヤー=私の図式が出来上がってるのかな?こんなすぐにメッセージを飛ばしてくるのは予想外にもほどがあるよ!何せメッセージが届いたのはインフォメーションの12秒後だったからね!この短時間で何文字入力してくるのかに関してはすごく気になるけど、読んだらすぐ返事を書きたくなる私としては落ち着く場所で読みたい。



 と冗談は半分くらいさておきまして、突然の遭遇には驚いたものの無事、王種の一角である地壊王を倒した私は、ロアンに跨り領地である砂漠東部を目指して進んだ。

 全力で飛ばしてもらった結果、地壊王を倒した三時間後にはトリビアの研究所に戻ってこれた。

 入室条件を満たしているのでそのまま研究所へ入り、トリビアがいるだろう最深部へ足を踏み入れるとそこには、血を流して倒れているトリビアの姿があった。

地壊王は雑魚でした!以上。

いやぁ、鳥王戦をまともに書くつもりなのにこっちで先に書いちゃうとネタギレして更新止まりそうだったし?(言い訳)。

まあその鳥王戦はいつなんだと言われたらわからないですけどね!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ