120話
後半の会話シーン、読みにくかったらごめんなさい。読みにくくても誤字とか言葉の使い方以外直しません(断言)
私が魔人王に狙われているとイザベラから聞き、ヘリオストスから一時離れることにした私たちはその足で最初の領地である砂漠へ向かっていた。
だけどここで問題が発生した。ホース君で砂漠越えが出来ないのです!やはり馬の脚は砂漠には適応していないらしく、ぶっちゃけ自分で歩いた方が速いと言ってもいいくらい速度が落ちた。
そういえば某戦略ゲームでも騎馬系ユニットは砂漠フィールドでは一マスしか進めないとかあったよね……。騎馬系をメインで育ててた私としては非常に苦労した思い出がある。
「ヒヒーン……」
悲しそうな顔をするホース君を回収し砂漠を行く。以前とは砂漠へ侵入する経路が違うので色違いのサンドワームやらサボテンやらを倒しながら自分の領地である砂漠東部へ向かってザクザクッと歩き続けた。
進めども同じ景色が繰り返され、私の砂漠歩きの気力もなえた所で一休みしていた時……
「あぁ……最近ホース君に乗っての移動ばかりだったから歩くという行動が億劫だよ……。ねぇ、誰か乗せてくれたりしない?」
何気なく口に出してみたひと言がこれ。ちなみにまだ砂漠西部の表示で先は長そうだから余計に口に出てしまった。
「ワフッ?(乗るであるか?歓迎であるよ!)」
「グルルッ(お兄様の背中では狭いですから、ぜひ私の背中に……)」
「ワ、ワフゥッ!(セ、セツナよ、なにを言うのであるかぁ!)」
「グルルゥッ?(はて?間違ったことを言っていないはずですが?)」
ロアン通訳でお送りしました。コウガとセツナの二人ともが私を乗せたいらしく喧嘩を始めてしまった。こんなつもりじゃなかったんだけどなぁ……。
「ふむ、まあ喧嘩をしている二人は放っておいて、主は我の背に乗るとよかろう」
「ほんとに乗っていいの?……ていうか乗れるの?」
「うむ。主は騎乗スキルをすでに持っているので、馬でなくとも動物系であれば乗ることは可能じゃな」
マジですかっ!?それはもっと早く知りたかった!これは要掲示板報告事項じゃないでしょうか?もしくはもう出てたりする?
あっ、ホース君に不満があるってわけじゃないんだよ?十分速い子だし……。でもやっぱりホース君はランク2のモンスターで成長の限界まで来ちゃってるみたいなのよね。だから今以上に早くならないし、一度に移動できる距離もそこまで長くない。懐いてくれてる気はするけどテイムが出来ないからこれ以上どうしようもないんだよ。
その点、コウガ達なら……いや、コウガは私の大好きな柴犬だから乗る気はないかなぁ。四メートル級の柴犬とはいえ、犬本体には乗るものではなく愛でるものだから!ここは譲っちゃダメよね!……あっ、なんかコウガが落ち込んでる……。
あっ、でも犬ゾリはOKだからね!今度そういう私が乗れそうなものを買ったらコウガに引いてもらうからぁ!……あっ、耳を立ててピコピコしてる。
そしてセツナのレッサーとはいえフェンリルと言う神々しい姿。やっぱり乗るには気が引ける。……セツナは砂漠を転がったりして自分の毛並みを汚して神々しさを消そうとしないようにっ!そんな程度では消えたりしないからねっ!……あらら、セツナもションボリしちゃったよ。うーん、セツナへのフォローが思いつかないよ。
で、最後ロアンは……年を取っているらしいけど体はドッシリとしていて大きく、安全に私を運んでくれそうだね。ただ足が剣なのが怖いけど、それはまあそういう物だという事で……。足が剣だと刃を突き立てたら崖とかでも登れそうで怖いよねぇ。
「む?崖を上りたいなら上っても良いのじゃよ?」
「あっ、そういう気持ちはないから普通でお願い」
「なんじゃ、我がお勧めする最高の崖スポットを紹介しようと思ったのに残念じゃのぅ」
うん、頼まなくてよかったよ……。そんな崖スポットなんて行ったら、ロアンにしがみつけるほど腕力(STR)がない私だと間違いなく落ちちゃう!あぁ、でも崖がある地域って山羊系のモンスターがいっぱいいそうだよね。崖登りはともかく、時間が確保できそうだったらそういうエリアに案内してもらおうかな。羊のモフモフはあって損はないはず……。
と言う訳でロアンに騎乗してみました。やばい!ホース君とは比べ物にならないくらい視界が高い位置に来てる!……まあ砂漠だから景色は一緒なんだけどね?
「クエェ!」
さっきから上空でクルスが大きな鳥と戦っている。かなり体が大きいけどレアモンスターかな?
火を吐いたり、羽を飛ばしたり多彩な攻撃のオンパレードが続いている。
クルスならすぐ倒すと思って放置してたんだけど、既に十分も戦ってるところを見るとかなり強い個体みたい。
「ふむ?おぉ、あれは地壊王じゃな。もっと西にある山が住処のはずじゃが珍しく砂漠の方まで足……いや羽を延ばして来おったのか……」
えっ?あのでっかい鳥が地壊王だったの?てかそんな相手に一人で立ち向かってるクルスかっけぇ~。
じゃなくて危ないから一旦戻ってきてねー!私は強制招集でクルスを呼び戻すとクルスは少しばかり不満顔を見せた。
「クルス、少し戦ってたみたいだけど勝てそうな相手だったの?」
「クエェッ!」
ふむふむ、余裕ではないけど苦戦もしてないらしい。クルスさん、闇勢力の王種相手にそんな口きけるくらい強くなってたの?丁度あちらさんもやる気みたいだし、今回はクルスがメインでバトルだね。えっ?鳥王戦前の肩慣らしに丁度いいって?
ふ~ん、クルス~。相手は闇の領域の王種だっていうのに、そんな口きいたんだから負けは許さないよ?
「クッ、クエエェ!?」
さてクルスはなんと答えたでしょう……?(答え合わせはしません。あしからず)
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一方の地壊王はと言うと……自分の飛行(散歩?)を邪魔していた鳥が忽然と消えたので、少し気になり大地に目を向けると先ほどの鳥と、王の気配を持つ存在が二つあることに気づいた。
地壊王もまさかこんな辺鄙な場所で自分と同格である王種二体と遭遇するとは思っておらず、ここまで散歩に来た幸運を喜んでいた。先ほどの鳥はあの王種のどちらかの配下と言う事だろうとアタリを付ける。
地壊王は最近まで砂漠西部をさらに西へ向かったところにある自分の巣に引きこもっていたが、巣の周辺で大規模魔法をぶっぱなしまくる輩が居て苛立っていた。自分の巣は高い山の上にあるので魔法自体は届かないがうるさいことには変わりがないのだ。だから気分転換に外に出て発散しようとここまで来たのだが、自分が全力を出してもよさそうな王種が二体もいると来たもんだ。
これでテンションが上がらない王種がいるだろうか?いや、いない(反語。
(※注:アイリも対王種戦に限りかなりやる気を出すタイプです。……勝てそうならと注釈が付きますけど!)
「フハハ、マサカコノヨウナ場所デ二体モノ王種ニ会エルトハナ。ダガ、ココデ会ッタノモ何カノ縁。俺様ト戦エ!ソシテ俺様ニ破壊サレテシマウガ良イ」
地壊王はその体を静止させ、アイリとロアンに向かってこう言い放った。
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やっぱり地壊王も言葉をしゃべれるんだね。なら戦う前に会話を試みてもいいよね!
「えぇっ!あなたがあの有名な地壊王なの?」
「ソ、ソノトオリダ!俺様コソガ、カノ有名ナ《地壊王カラドリス》デアル。……ヌゥ、オマエカラ、凄イ力ヲ感ジルゾ。名ヲ名乗レッ!」
地壊王はノリがいい王種だね。もしくは単に尊敬してるっぽく言われるとうれしくてテンション上がるタイプ?ほら、褒めて伸ばすとか……これは、なんか違うね。
「私はアイリ。王種の冒険者よ。そしてこっちの子が私の仲間になった氷獣王のロアンよ」
「ナンダトッ!?キサマ、アノ暴レ者の氷獣王ヲ配下ニシテイルト申シタノカ!デハ、コノ中ノ一番ハ、アイリ!オマエナノダナ?(戦闘力ハ低ソウナノダガ、コレハ罠デハ無イカ?)」
「配下じゃないんだけど……まあいいか。それでさっそくなんだけど、私の仲間になってくれる気はない?今は王種の力が沢山必要なのよね」
っていうか、ロアン……若いころは暴れん坊だったんだね?今の様子からはそんなこと感じ取れないよ?
……ロアンがなんか照れてる。一応言っておくけど褒めてはいないからね?
「フッ、馬鹿ヲ言ウナ!力ノ証明スラシテイナイ者の仲間ニナド、誰ガ成ルモノカ!……逆ニ、オマエガ俺様ノ配下ニナルノナラ良イゾ」
「あっ、それは嫌です。私は魔王を続けるという目標がありますから誰かの下に付くなんてことはありえないです。ゆくゆくは大魔王とかになりたいと思ってますしね……例え自称だとしても(ボソッ」
「ソレハ俺様モ同ジダ!交渉ハ決裂シタ。早ク戦ヲ始メヨウ。報酬ハ勝者ノ言ウ事ヲ聞クト言ウ事デ良イナ?」
「その条件飲むわ。けど残念だなぁ……あっ、そういえば王種の戦いって軍勢で決めるって聞いたんだけど、そこの所どうなの?」
「フン、俺様ハ配下ナドニハ頼ラヌ。ダガ勘違イスルナヨ?配下ガ居ナイ訳デハナイノダッ!!」
どうやらガチンコバトルになるようですね。それなら遠慮なく全員を呼び出させてもらいますか……。
うーん、魔人王に狙われたから自分の領地に戻ろうとしたその途中で偶然、別の王種に遭遇するとかどういう展開なんだろうね。
ま、まだまだ止まらないよ!?いや止められないよ?
とりあえず地壊王戦を終わらせて、魔人王戦の準備段階まで進めないと。
一応魔人王戦はリフレッシュ後からと言う形になる予定です。




