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10話

今までの投稿分、この先の予約分を含めご指摘いただいた箇所を修正しました。

勿論まだまだおかしい所は出て来ると思いますがよろしくお願いします。

 【Eternal() Story()】サービス開始2日目。


 いつもどおりの時間に起き、講義が始まるまでの時間つぶしにログインした私は昨日フレンド登録したコトノに素材の買取をしてくれるか聞いてみました。

 その返事がまずは物を見せて欲しいという事なのでコトノが現在居ると言う各種生産施設を備えた建物にむかったのである。


 「アイリさん。わざわざ来て貰ってありがとう~。施設利用始めたばっかりだったから離れられなくて……」


 「気にしないで良いよ。ログインした場所からそんな離れた場所でもなかったし……ねぇ、コウガ・セツナ。良いお散歩になったよねー?」


 「「ワンワンッ」」


 2匹がそうだとばかりに吠える。コトノはここでようやく私の足元にちょこんと座っている2頭の犬に気付いた。


 「あっ、昨日抱いていたワンちゃんたちですよね?」


 「ワフッ!」「オンッ」


 「あうあぅ~~。ラブリーすぎますよ~。アイリさーん。お願いですからどっちかくださいー」


 「だ、ダメに決まってるでしょー!」


 突然トチ狂った事を言い出したコトノを警戒した私は急いで2頭を抱き上げ守備態勢を取る。猫に例えると背中の毛を逆立ててフシャーと威嚇してる感じです……たぶん。

 そんな私の様子を見てコトノは「冗談ですよ~」と笑った。

 けど聞こえてたんだよ?あなたが小さい声で「半分は……」って追加で囁いてたこと!




 「冗談はさておきアイリさんが持ってきた素材を見せていただいても良いですか?」


 「えぇ、これなんだけど買い取りできそうかな?」


 私が出したのは森で出会った鳩のモンスター《ポポ》から取得した鳥の羽と尾羽があわせて20枚前後、ウサギのモンスター《コラビー》から取得したウサギの毛皮とウサギの耳がそれぞれ30個ほど。コウガ達が森を出る前に結構倒して素材が溜まってたみたい。

 それに加え、高山下層部の蛇の鱗や毒袋、猿の尻尾、昨日のメインモンスターであったイノシーの毛皮などを取り出していく。もちろんお肉はありません。なぜならすべて美味しく頂きましたから(コウガ達が)ね。



 「にょおぉぉー。なにこれ!見たこと無いのも含めてすっごい量ありますね~」


 前半部分の素材を出している間はウンウンと満足そうに頷いていたコトノでしたが、高山下層部の素材をポツポツ出した辺りから「えっ?もうこんなにあるの?」みたいな顔になっていて少し面白かった。


 「そう?でも昨日一日分だからこんなものでしょ?他のプレイヤーみたいに途中で売るとかいう事がなかったし」


 「うーん。いやぁ~、異常とは言わないですけど初日の成果にしては多すぎるんじゃないでしょうか」


 コトノいわく私が出した高山下層部の素材も売りに来る人はいたが、パーティ単位で数個程でここまで纏まった量で売りに来た人はいないみたい。

 蛇は噛み付きから毒を与えてくるモンスターだから解毒アイテムが必須、しかも解毒剤は意外と高価なのである。

 猿にしても少し戦い、不利を悟ると逃げ出します。その逃げ足が速いからそもそも数が倒せないらしい。

 だから高山下層部を訪れたプレイヤーは今はまだ割に合わないとして早々に引き返して別の場所に行ったのだという。



 「へぇー。そうだったの?私の場合この子達があっさり倒してくれたから分かりませんでしたよ」


 私が楽に感じたのはきっとコウガたちが持っている【種族連携】のおかげなんでしょうね。

 出会った時から2頭で行動してたし、狩りに慣れてたのかな。高山の下層部でセツナがあの毒を持っているという蛇に攻撃されそうになった時もコウガが気付いていたらしくカバーに入ってたし(当然ながら私は気付いてないです)ね。


 「見た感じの可愛さだけじゃなくて強いワンちゃんなんですね~」


 「まあ本来の姿はもっと大きくてかっこかわいい(かっこいい+かわいい)んですよ!」


 「「ワフンッ!」」 (揃ってドヤ顔してるみたいに見える)


 「そ、そうなんですかぁ?……あとこの猪の毛皮とか初めて見ましたよ~。何処で手に入れられたんですか?」


 「蛇と猿と同じ場所だよ?ただし、ちょっと奥の方だけどね。この子達のレベルあげに使えるかと思って行ってみたら意外と普通に倒せたから昨日の後半は落ちるまでずっと下層部に引き篭もってました」


 「他の皆さんが諦めた所に籠もるってすごいです~。あっ、素材の詳細見せていただきますね……。

 この猪……イノシーの毛皮ですが、今までの素材よりは強度がありそうですので、ズボンとかマントに使えそうですね……それに蛇の鱗も周囲が柔らかく中心部に硬さがありますのでスケイルメイルみたいな感じ縫い付ければ売れそうです……」



 素材の山を見ながらコトノは使い道と買取計算を始める。さすがにまだ2日目が始まったばかりなので、全てを買い取れるほど大金を持っているはずも無く、コトノは欲しい素材を幾つか買い取ることにした。


 「申し訳ないですけど今回引き取りさせてもらうのはこの新しい素材にします。で買取金額はこれでどうですか?」


 コトノが選んだのは裁縫に使える蛇の皮と毒袋、猿の毛皮に猪の毛皮といった高山下層部の素材たち。勿論それらも全部を買い取れたわけじゃなく数個ずつ余っている。

 ……んっ?毒袋を服系統の装備に使えるの?と言う疑問もあったけど聞かなかった。だって私が裁縫するわけじゃないし。使い道を知ってもそうなんだ~程度にしか思わないからね。


 逆に始まりの平原で取れる、そしてよく市場に出てくるウサギの毛皮やら鳩の羽は買うのをやめたらしいのでまるまる手元に戻ってきました。


 「わかったわ。これで十分よ」


 提示された金額は5000D。相場は分かりませんが同じ量をNPCに売るよりは高く買い取ってくれたみたいなので満足かな。



 「それで他に余ってる素材で蛇の牙とかを知り合いが欲しがってるんだけど会ってもらえませんか?」


 どうやら買い取りきれなかった素材の幾つかはコトノの知り合いで欲しがっている人が居るみたいです。当然私としては、断る理由も無いのであっさりと了承。


 「ありがとう~。すぐに連絡つけるからちょっと待ってくださいね~」


 コトノは知り合いという人にフレンドチャットで余っている素材の名前を教えている。私にはフレンドチャットで何を話しているかはコトノの話す端々からしか推測できないけど、概ね良い方向に進んでいるのはわかりました。待つこと数分……


 「すみませんお待たせしました。相手もちょうど欲しい素材だったから是非買い取りたいって言ってます。ついでに施設内にいるみたいだからここに呼びました~」


 あっ、呼びつけたんだ。同じ施設内なら別に私が持っていっても良かったのに……。



 しばらく待っているとノックが聞こえた。コトノが中に入れるように許可を出すと一人のドワーフっぽい男性が入ってくる。見た感じはがっしりとした体格でいかにも鍛冶をしてます!って言う気配を感じますね。


 「待たせて悪いな。俺は妖精族ドワーフのルグード。適正は細工師だ。アンタが装飾に使える素材を持ってきた人なんだよな?」


 ……えっ?その見た目で鍛冶スキルじゃなかったんだ?コトノが防具だから知り合いは武器だと思い込んでたよ。まさかの装飾品で来るとは侮れないわね……コトノめー。


 彼が自己紹介後に私が抱いたのはそんな感想だった。

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