115話
突発的に他の人の話を織り交ぜてみました。せっかくの初心者ダンジョンで出会いとか交流がないのもおかしいと思ったので。以後の話に出てくるかは未定。
最近進行がマンネリ気味なので、120話前後を目安に更新を停止させていただきます。
停止期間は一ヶ月以内のつもりです。
クルスを進化させたので初心者ダンジョン深部にレベル上げを兼ねてやってきました。
なぜいきなり深部に来てるかと言うと、進化後のステータスを見てわかるように、イリス達の時とは違ってクルスはレベル1にしては強すぎるんだよね。それこそ深部のモンスターを相手にしても立ち回れる位には。これって元王種だった称号が関連してるのかな?ランクが上がる度にステータスの低下割合が減ってきてるし。
ここに来るまでに遭遇した中級エリアにいる敵もちゃんと片付けておきましたよ?
とはいえ体力的なものは低いらしいのでルドラを盾に使いつつ、爆撃砲で削り倒していく戦法を取っている。空を飛びながら爆撃砲を放つクルスはなんか生き生きとしてた。
きっと昔の事を思い出しているんだろうね。私もクルスが王種の時に使っていた戦闘方法を見れて指示の幅が広がったと思う。……きっと。
「クエエエェッ!」
最後の塊だった深部のモンスターに爆撃砲が炸裂し、その経験値が参加したルドラとクルスに割り振られる。二人で倒したことによりいつもより多めの経験値を得た。これによりルドラもレベルアップし、さらに体の硬さが上がったことだろうと思う。
一時間程度この二人で戦闘を続けた所、クルスのレベルも上がり現在は5レベル。
事故で一撃食らっても大丈夫となったので今度は私とクルスの二人で狩りを開始。そう、次はクルスの隕石魔法の確認です。出会った敵は私が魅了して無力化、そのまま連れ歩いて数を増やしていく。
いい感じに集まったところで隕石魔法のメテオ・ストライクを使ってもらった。ダンジョン内部なのに空から隕石が来る不思議さには目を瞑るとして、二十秒ほどで魔法の効果が発現し、私が居る場所に向かって降り注ぐ隕石群。
魅了されてるモンスター達が差し迫る危険に反応できるはずもなく、次々と隕石につぶされ消えていく。ちなみに私はクルスの隕石魔法すら無力化できるステータス値だから効かない。というか主人には当たらないんだけどね。
メテオ・ストライクの余韻が治まるとそこに立ってたのは私とクルスのみ。どうやら今のクルスの魔法能力でも十分強いみたいだね。この戦闘でまたクルスのレベルが上昇した。
この調子ならレベル二桁までは今日中に行けそう!私たちはそのまま深部で狩りをつづけた。
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その少し前、初心者ダンジョン入り口周辺で狩りをしていた大勢の初心者プレイヤーは、奥から響いてくる爆音に戦々恐々としていた。奥でどんな怪物が暴れているんだろうと……そしてそれを相手にしているプレイヤーってどういうやつなんだろうという思いを馳せていた。
その中のある新規プレイヤーは、その疑問が気になって仕方がなくなり、一緒に組んでいた相手に提案した。
「ねぇエミル。奥の方に様子見に行かない?」
「やめとこうぜ。いくら音が聞こえるからって近くにいるとは思えないって……」
「もうっ、そんな腑抜けたことでどうするのよ!この凄い音の正体、気にならないの?」
「そうじゃないけどさ、俺達まだレベル9だぞ?奥まで行けるわけないって!」
「そんなのやってみないとわからないじゃない!さあ行くよっ!」
「あっ、おいシェリー。待てって!……しかたないなぁ。アイツ一人で行かせるわけにいかないか……」
こうして初心者エリアにいた初心者二人は中級エリアへ足を踏み入れた。離れた場所にモンスターは見えるが一つだけきれいに掃除されている通路があったので二人は迷わずその道を選んだ。
そして全く敵に遭遇することなくたどり着いた深部で二人は大量のモンスターを引き連れた銀色の髪の女性プレイヤーと空に羽ばたく大きな青い鳥の戦闘風景を目撃することになる。
女性プレイヤーが指示を出すと鳥のモンスターは魔法を詠唱し、隕石を呼び出していく。
自分達が居るところは効果範囲外らしいがそのせいで戦闘の様子が丸見えなのである。
女性プレイヤーを攻撃しない大量のモンスターも不思議だけど、それらを一回の魔法で全滅させる鳥のモンスターの恐ろしいことと言ったらない。
「クエェッ!?」
一瞬自分達と鳥のモンスターの目があったけど、鳥のモンスターは私達のことを気にしてないとばかりに顔を背け魔法を放っていた。
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「クエェッ!?」
クルスの鳴き声で何かを発見したらしいことに感づいた。一瞬向けたクルスの視線を追うと明らかに初心者だと思える装備をした二人がコソコソとこちらを見ていた。
「あぁ、もしかして私たちが倒したエリアを通ってここまで来ちゃったのかな……。この辺は深部で危ないからさっさと引き返した方がいいと思うんだけどね」
このまま放っておいてもやられちゃうだけだし、初心者エリアまで送ってあげた方がいいよね。
同じ闇の領域のプレイヤーを見捨てるのは偲びないし。光のプレイヤーだったら放置してたかもしれないけど。
クルスに指示を出し周辺モンスターを倒し終え、感応スキルで周辺モンスターの分布状況を確かめてから二人の元へ向かった。遠目からだったので分からなかったけど男女の二人組みたい。
「ここで何をしてるの?見たところ新規さんだよね?この辺は深部エリアで危ないよ?」
二人のプレイヤーは14~5歳くらいだね。男の子はなんか私を口を開けたまま見てくるし、女の子は近くでみるクルスの姿に感動しているようです。うん、クルスの青い羽は遠目からはもちろん、近くで見ても綺麗でしょ?
「えっと、入り口で戦ってたら奥からすごい音が聞こえてきたので確かめに来たんです……」
どうやらクルスの起こした戦闘音に興味が湧いてここまで来ちゃったらしい。私達のせいだったのかぁ。これはやっぱり責任を取って入り口まで送らないとね。
「そうなのね。音の原因は分かったのなら元のエリアに戻った方がいいわよ?……でも今の君たちじゃ戻れなさそうね」
この二人が通って来た道……私たちが掃除をした中級者用通路にはすでにモンスターがポップしていて戻れるものではない。私のせいでここまで来ちゃったんだし、また掃除しておかないとね。
「クルス、そこの通路の敵を倒して来てくれる?」
「クエェェ!」
私の指示で一声鳴いたクルスはものすごい速度で中級者通路に突っ込んでいきしばらく戦闘音が響いたのち、帰還した。
クルスにお礼を言い二人……エミル君とシェリーちゃんと言うらしい……を初心者エリアまで送り届けた。
「ありがとうございました!私もテイマーなのでいつかクルスさんみたいな強いモンスターを仲間にしたいと思います!」
「クエッ!」
シェリーちゃんに名指しで強いと言われまんざらでもなさそうなクルス。私もクルスが褒められて悪い気などしない。それにしてもシェリーちゃんはテイマーだったのかぁ。それなら……
「ところでシェリーちゃんは、テイムしたモンスターとか居るのかな?」
「いえ、いません。なかなか増やせなくて……」
「そっか、それならここの中級エリアにいるブルーラードボアがおすすめだよ。アイテムを拾って帰ってくるし、モンスター自身も強いから、今の二人みたいにスタートダッシュを狙うなら十分行けると思うよ」
このダンジョン内にいるモンスターは大体配下にしていて特徴はばっちり把握できている。それゆえのおすすめなのである。
「なるほど!頑張って仲間にしますね!」
うんうん、向上心があっていいね。そんな素直な良い子には私もお手伝いしてあげたくなった。
そういうとシェリーちゃんもエミル君も慌ててたけど、なんとか言いくるめて中級エリアへ。
ブルーラードボアとその他の群れを発見したので全てのモンスターを魅了し、目標以外をクルスに倒してもらった。魅了に関しては二人には装備品を使って状態異常にしているとだけ伝えている。
あとはシェリーちゃんが魅了されているブルーラードボアにひたすらテイムスキルを使うだけ。
テイムを使いつづける事約三十分。ようやくブルーラードボアはシェリーちゃんにテイムされた。どうやら私だけが仲間にしにくいわけではないという事が分かったので満足です。
「ブルーン、よろしくね!」
シェリーちゃんの名づけは単純なようである。まあ喜んでもらえて何より。
シェリーちゃんとエミル君は二人で行動する事が多いというのでテイムモンスターは多い方がいいとだけ助言し、別れた。
最初こそエミル君の方は初心者の中では抜きんでた能力で目立ったけど、同じようなレベルの人が増えていくとその他大勢に埋もれていった。
でもシェリーちゃんのテイムに関しては、彼女自身人に好かれやすい気質もあり今もなお、噂を聞くことが多い。その彼女は半年後には魔猪使い、イノシシライダーとして名を馳せていると風のうわさで聞いた。……あれれっ?鳥系モンスターは?




