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112話 閑話 【光の領域でのあれこれ】

暇だからってポチポチしすぎた。

前半は会話多めです。


あっ、土曜日は更新無し確定です。次は日曜日か月曜日にできればいいな。おそくても火曜日には……。

 サービス開始から三カ月が経過した光の領域ガイアの街の某店内に5人の男女の影があった。

 その中の一人は人族の女性でこの五人を取りまとめている立場のようだ。その女性、コトノが口を開く。



 「私たちの女神様が闇の領域を探しに行くと宣言し、その姿が見えなくなってもう二カ月が経過しようとしています。このギルド【女神を愛でる会】のメンバーによる捜索を行っているのものの、その所在は全くの不明。このことに関して皆さんはどう思いますか~?……まずはランド流布さん」


 「ズズズッ……ふぅ。答えは光の領域の大損失でありますな!コトノさん、いやギルマス、その事だけど女神様がログインしていること確かなんだよね?」


 「えぇ、その通りです~。ログインの方もほぼ毎日定刻に確認されていますが現在位置表記が【???】のため、メッセージ機能が使えない状態なんですよね~。おそらくこの【???】というのは私たちが発見していない地名の為、連絡する機能が働いていないと判断してます~」


 「ズズズッ……。なるほど。それではやはり女神様は私達が探索に赴くことができないエリアを探索し、そこに定住されているのでは?この二カ月で数度あった細かいアップデートにより大きな町や村が急増している事は私たちも確認していますし」


 「そうだとしたらおかしいのですよ~。それらの大きな町に滞在しているなら町と街をつなぐ転移装置を使えばこのガイアへ戻ってくることは簡単なはずです~」


 「ズズッ……なるほど。確かにそうですね……となると、光の領域に転移できない町や村に滞在しているということになるのでは?」


 「実は私も~その方向で考えていますよ~?女神様は宣言通り闇の領域への道を発見した、だけどそこで予想外の事に巻き込まれ光の領域に戻ることが出来なくなった……とか~」


 「ズズズッ……もしそうだとしたら私たちのやる事は一つですね?一刻も早く闇の領域への道を見つけ女神さまを救出し戻ってきてもらわないと。女神様成分が足りなくなりそうです……いえ、事実枯渇しつつあります」


 「あはは~そうだよね~。早くア……じゃなくて女神様に戻ってきてもらわないと、預かってた素材で作った装備品とかを引き取ってほしいですし~。……預けるだけ預けて自分はさっさと探索に行くとか何考えてるんですかねぇ~あの銀髪の女神様は~ブツブツ……」


 「ギ、ギルマス?途中から愚痴になってますよ?」


 「いいんだも~ん。ランド流布さん、貴重な意見をありがとう~。じゃあ次は~はったりさんお願いします~」


 「むっ?拙者でござるか?拙者から言えることは一つ。探索範囲を広げたくともレベルが足りぬでござるよ……」


 「あ~レベルかぁ~。確かにそうだよね~。今の光の領域のトップは誰でいくつだっけ?」


 「それは撲殺聖女ことジュリエイト殿と迸る剣閃や勇者と呼ばれているアーサー殿のレベル52のはずでござる。あのお二方はそれぞれ別のパーティを組んでいるのでござるが、彼らのパーティが通った後にはモンスターがいないとさえ言われているでござるよ」


 「あぁ、ジュリさんとアーサー君かぁ~。そういえば少し前に装備を作ってほしいって店に来たよ~。珍しい素材を持ってきてたから満足のいく装備ができたのを覚えてる~」


 「そうでござるかぁ。拙者はまだ45レベルでござるからまだまだ彼らには及ばぬでござるな……」


 「レベル上げは自分のペースでやるしかないからしょうがないよ~。はったりさんからは以上なの~?」


 「そうでござるな。他は特筆して報告すべき内容はないでござる」


 「そっかぁ~。じゃあ次はリリカさん~」


 「私ですか?そうですねぇ……特にありませんわねぇ」


 「あららぁ~、じゃあ最後アルビノさん。何かあるぅ~?」


 「おぅ!女神さまに関する情報は皆と同じくない。だが、最近ガイアとかハルトムートの街周辺に設置された初心者ダンジョンと呼ばれる場所の最深部で、すっげえ危険なモンスターが出現していて近寄ったらヤバいっていう情報があったな。なんでも巨大な狼とか巨大だけどつぶらな瞳の柴犬だとかいう噂だ。だが見た目に拠らず相当凶悪らしく、近寄ろうものならすぐさま殺されるらしい」


 「うわぁぁ、それは怖いですねぇ……その追加情報はないんですか~?」


 「あぁ、それなら追加でこちらが放つすべての攻撃を無効化するドラゴンが居たとか、空を飛ぶ巨大で光り輝く魚がいたとかそんな程度か。もちろんこいつらもバケモノ級だって噂だぜ」


 「……それは怪しいですね~?その特徴に当てはまるモンスターを連れてる人にすごく心当たりがあるんですがね~」


 「ズズズッ……それはつまり?」


 「その凶悪モンスターを連れているのは女神様じゃないかと思う訳です~」


 「は、ははっ、そんなばかな。女神さまの連れていたモンスターは犬2匹と鳥と空飛ぶ魚……あ、あれ?目撃された特徴と似てる……けど、モンスターをけしかけてくる理由がわからねぇ……」


 「そういう訳でその最深部に確かめに行くのでレベル50以下のメンバーは全員集合してくださいね~」


 「限定しなくてもこのギルドには50超えてるやつはいないんだが?」


 「あっ、それもそうでしたね~。それじゃあ今から……は、もし女神さまが犯人だった場合ログアウトする時間ですから明日にしましょう。奥まで潜るために装備はきっちりそろえておいてくださいねー。ないのでしたらウチのお店で安く売りますよ~」


 「ズズズッ……レベルに合った装備を付けてるつもりだから大丈夫です」



 そして翌日、時間を合わせて集合した彼らは最深部を目指し進んだが、一度目の探索では奥に着くまでに瓦解することになった。

 同日、二度目の挑戦は外部から支援系の応援を呼び探索を再開。その応援に呼ばれた支援職がエリスだったあたり、意図せずともアイリと関係のあるプレイヤーが選出されていた。


 コトノたちの探索はうまく進まず、どうしても最深部に行く手前のボスエリアで全滅してしまう。


 「攻撃力のある人と遠距離攻撃ができる人がいた方がよさそうだね~」


 コトノはそう言うと敵の攻撃をそらすパリィを得意とするシノア、主に装飾品を作る生産職でありながら狩りに出ることができ、戦闘では遠距離攻撃を得意としているルグートを勧誘してきた。ルグートは最初こそ渋っていたけど、奥の方の素材なら金策ができるというと喜んでついてきた辺り扱いやすいやつである。


 そしてフルメンバーで突貫し問題だったボスも倒してたどり着いた最下層。

 コトノ達が入って来た扉の逆側にもまた大きな扉があり、その前に陣取る複数の影。


 そこにいたのは噂通りに巨大な狼が一頭と柴犬が一頭。そして怪鳥と呼んでもいい程大きな鳥に光り輝く空飛ぶ巨大魚、それにいかにも堅そうな体のドラゴン、そして何より今まで出会ったことなどないほどの威圧を放つサーベルタイガーみたいな白い体毛の巨獣。

 その横にはなぜかボンテージ姿の羽の生えた女性がいるけど、そこは気にしないことにした一行。女性に関しては相手にしたらダメな気がヒシヒシと伝わって来たからである。そしてそれは正しい判断である。


 コトノ達がゆっくりと近づいていくと柴犬と狼が威嚇をしてくる。柴犬の方の唸り声はクルルッという感じなので怖くは無いけど、声や見た目からは信じられないほどの強者の気配を感じる。

 狼の方からは見た目、唸り声共に脅威を感じる。ぶっちゃけこの場に居るのがおかしい位の力の差であることは一目瞭然。


 コトノはあるものを取り出しつつ恐る恐る前に出る。すると狼たちも戦闘準備をするかのようにかがむ。


 「待って。コウガとセツナ、それにクルスとイリスだよね?私はコトノだよ分からない?」


 「グルル?」


 コトノの呼びかけに威嚇を一瞬やめた狼たち。コトノはこの時点でこの狼たちがコウガ達と判断できた。

 なぜなら、その中の空飛ぶ魚……イリスがコトノの持っていたあるものに引き寄せられたからである。

 そのあるものとは……シオリ特製の最高級生姜焼き定食だ。


 「ピヒュ~」


 光の領域に居た頃は、シオリの料理が好物だった。それが今、目の前にあれば思い出してしまうのは仕方のないことだ。決して釣られた魚と言うわけではない。…はずだ。


 イリスはコトノの手にあった生姜焼き定食を素早く奪い取りコウガ達の元へ戻る。その早業にコトノもびっくりするがそのまま様子をうかがっていると、コウガ達の後ろにあった扉がわずかに動き誰かが出てきたように見えた。


 「もぅ、イリスったら、何勝手に餌付けされてるのさ?……えっこれシオリ作製の最高級生姜焼き定食?なんでこんなものがここに?えっ?貰ったの誰に?コトノがくれた?え~ほんとにぃ~?」


 イリスと話していると思わしき声は女性だった。そう、二カ月も聞けなかった声の主である。

 コトノは我慢できなくなって大声で叫んだ。


 「アイリさ~ん。こっちです!」


 「えっ?わっ?ほんとにコトノじゃない。なんでここに?ってか、久しぶり~元気だった?」


 モンスター群れの中から現れたのはコトノが作った装備をまだ身にまとっているアイリの姿だった。その手には二つの魔獣の卵が抱えられている。


 「ちょっとアイリさん!私はすごく心配してたのにその反応はひどいと思うんだけど~!」


 「え?なんで?なんなの?」


 「……ダメだこのアイリ……感動の再会がグダグダになるの確定だよ……」



 光側の知人が勢ぞろい(一部知らない人もいるが)しているので彼女たちと楽しく話すアイリ。


 コトノ達が話を聞いていると、アイリは次のように話した。コトノ達に闇の領域を探しに行くとメッセージを送った後、探索中に転移トラップにかかり闇の領域に監禁されていたと(もちろん大ウソ)。

 だが、通りがかったイケメン剣士が救出してくれて(やっぱり大ウソ)、お礼に結婚しろと言われたの断ったら今度はその剣士から追われ(どうみても大ウソ)たが、何とか撒けてこのダンジョンまで逃げてくることが出来たと。


 嘘まみれの説明だがコトノ達は信じた。ぶっちゃけコトノ達にとっては経緯よりも今目の前にいるアイリが心配だったからである。アイリの視線が泳ぎまくっていたのを見て理解していてもそれを信じてあげた。

 そもそも結婚システムはないので嘘だという事はバレバレである。断じて頑張って嘘をついているアイリに見惚れていたわけではない。むしろアイリと結婚できるなら自分が立候補すると息巻くコトノ達であるからして。



 「ところでコトノ達はどうやってここまで?この辺りは闇の領域側よね?」


 「え?私たちは初心者ダンジョンに光の領域側から入ってボスを倒しただけですけど……もしかして!?」


 実はこの初心者ダンジョンは空間を捻じ曲げて作られており、両端に入り口がある瓢箪みたいな作りで光側と闇側どちらからも最終的に中央の細い部分(つまり現在地点)に到着するような作りになっている。

 コトノ達が苦労して倒したボスが光側の最終階層。アイリたちがいたのは光と闇の交わる場所だった。

 ちなみに闇側のボスは、ボスらしい仕事も出来ずに攻略されている。むしろコウガ達の経験値の足しになっている程度の強さなのでボスとすら認識されていなかったのである。


 それを聞いたコトノ達はアイリが出てきた闇側の扉を抜けようとするが扉が開いてるにもかかわらず中に入る事はできない。アイリは両方自由に行き来しているが。


 「なるほど。この初心者ダンジョンを通じて光と闇の領域の行き来ができるのね。転移ができるようになるまでは、ここは使えそう」


 アイリは一人嬉しそうな表情を浮かべていた。コトノ達もなんとなくその表情を読んで理解した。

 そしてコトノ達は思う。この場所が消えるまでは闇の素材を手に入れるチャンスじゃね?と。

 そう、コトノ達はアイリに頼んで闇側の素材を手に入れる気満々だったのである。コトノも、ルグートもこの場にいないシオリさんもやっぱり生産職だからその辺の欲は強い。


 「え?いやですよ?私はしばらくゆっくりしたいからそんな両方を行き来して、しんどい思いで素材集めなんてしたくないです。やるなら自分で闇の領域を見つけてやってよ」


 アイリはそういうが内心、光の領域に移動できるようになったことで色々計画を立てているがコトノ達はそれには気づかなかった。コトノ達が異変に気付くのは光の領域で王種が連続して倒されたというアナウンスが流れる今より二か月後の事であった。

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