110話
本日より作者都合の為不在です。土曜日か日曜日まで次話更新がありませんが、一応携帯でポチポチやってみる予定なので感想などは目を通すと思います。返事は帰ってからさせてもらう形になると思うけど。
ご了承ください。
お店で上級鑑定士から受け取った鑑定済みの武器と装飾品の合計三点。もちろんその内訳も説明して貰っている。
まずは直近に預けた《暗鬱なる洞穴》の六層にいたイカのボスからもらった武器と装飾品から。
スパイラルトライデント:水の属性に強くなる三又の槍。装備している間【水属性特攻】のスキルを得ることができる。なお一定期間装備を外すことなくこの槍を使い続け、使用率が100%になった時【水属性特攻】を習得できるようになる。装備レベル制限40~ STR+38、DEX+15。現使用率0%
スカッドモノクル:装備すると目の前に羽で羽ばたくレンズが現れる。顔を激しく動かしてもズレる事がないし、なぜかピコピコ動く羽が気にならないのが特徴。装備すると知的な感じが増しその手の人達からアプローチが来るかもしれない。心なしか色気も上昇する。INT+5、CHA+5
これはなかなかいいんじゃないかな?早速ゼリンを呼ばないと。と言う訳でさっそく……。
ゼリンはちょうど野良パーティでどこかに行くところだったらしいけど、武器に槍があるよと言うと急いできてくれました。たぶん野良パーティの人は文句いってそう。顔も知らないけど謝っときます。私のせいでごめんね?
で、数分後やってきたゼリンと相談しました。その結果……
「どう見てもこちらの槍の方が高価なんですが、本当にこちらを貰ってもよろしいのですか?」
「いいよ~。私としてはこっちのモノクルの方が可愛くて好きだからね!ていうか槍をもらっても装備できないし……」
「えっ、あのっ、そのごめんなさい……」
ゼリン自身もパーティを組んだことで私のレベルがおかしい事に関しては気づいているはず。面と向かっては聞かれてないけど、あの激しい戦闘を潜り抜けてもなおレベル1の表記である私に気づかないはずはない。
まあそういう事を聞いてこない時点でゼリンの事は気に入ってるんだよね~。
とにかくこれで清算は終了だね。ゼリンも私も自分の役に立つものが手に入ってホクホクだし。アクセサリは基本的に装備レベルに制限がつかないから私の能力増強のために集めるもの良いかもしれない。見た目が可愛いのとかあるだろうし。
「それでは私は野良のパーティを待たせているので失礼しますね」
槍を受け取ったゼリンは嬉しそうにヘリオストスの雑踏の中に消えていった。あの槍は今出回っているどの槍よりもSTR補正値が高いから役に立つはずです。
「さてと……次が本命なんだよね」
そう、トリビアの研究所でもらった装飾品の事です。トリビアが死蔵していたんだからよっぽどの効果のはず!
花鳥風月:身に付けたものに様々な加護をもたらす美しい装飾のなされた腕輪。【薫り立つ美】【見通す視線】【対人耐性:中】【※※】【※※】
【薫り立つ美】:野に咲く香る花のようにそこに在るだけで周囲に注意を引く。CHA+20
【見通す視線】:スキル【鷹の目】や【梟の目】などの効果を併せ持つ視覚系アクティブスキル。昼も夜も関係なく周囲の状況を把握することができる。町の中など人が多い場所で使うと住民と会話をする際に相手が喜ぶ選択肢が出ることがある。
【対人耐性:中】:人型との戦闘時のダメージをそれぞれ軽減する。
現時点においてまさかのトリプルスキル付きの装備でした。そういえばトリビアが装備品をひろったのは古代魔王種の居た場所だって言ってた気がする。その古代魔王種が装備していたものだったのかもしれないね。……まだ二種類ほど非表示のスキルがあるけど鑑定しきれなかったのかな?
CHAが上がるのと対人系、あとなんかよくわからないけどすごそうな効果が付いてるね。
見通す視線って住民限定なのかなぁ。もしかしたらプレゼントをするときに相手の好きなものがわかるとかそういう類?……まあ機会があれば確かめればいいかぁ。
「申し訳ない。私にも鑑定しきれない能力があって、結局分かったのはその三種だけなんだ。残りの二つを知りたければメリュジーヌ寺院に行き特級鑑定をしてもらわないといけないだろう。あっ、メリュジーヌ寺院と言うのはね……」
メリュジーヌと言う場所について説明を受ける。ティアがまだあそこから帰還しておらず情報不足だったから助かるね。……ティアの事?まだ今この瞬間も経験値がすごい勢いで増えていますがそれがなにか?
上級鑑定士から聞いた内容によると、メリュジーヌは古から続く寺院を中心に発展した土地で、古くから伝わる技術や文学などの研究がされている学者の土地だそうです。
最近はメリュジーヌの地下に強大なモンスターが出現する遺跡が見つかったとかで高いレベルの冒険者もふえているんだとか。
多分そういう背景があるから私は入れてもらえなかったんだろうなぁ。でもそれだとティアも……いや、もうあの子の能力の事は気にしちゃだめだ(気にしちゃ駄目だ、気にしちゃダメナンダ……)
とにかくだよ。メリュジーヌにいって上級鑑定より上位の鑑定をしてもらわないといけないって事がわかっただけで十分だよね。
できればプレイヤー辺りでその辺を鍛えてくれてる人がいればいいんだけどなぁ。いないよねきっと……。
上級鑑定士の店を出た私は、次回以降の目的を決めようと思い、家族全員で話し合いをすることに決めた。
当然メリュジーヌに行って何かに励んでるティアも強制招集ですよ。
「ふあぁぁぁ!?あ、あれ?マスター?強制招集なんてしてどうされたんですか?」
わかってたよティア。そういう事だって事は……。そうティアの姿が堕天のボンテージからバスタオル一枚になっていたのだ。見る人が見ればわかるまさに事後の姿……じゃないかなぁ。なんの事後かについては私はまだ経験ないから分からないけどきっとお風呂だよね~。
色々聞きたいけど気にしないって決めた私は、平静を繕って強制招集した理由を話した。
ティアも報告に戻ろうと思ってたらしいので丁度良かったとか。で、気づけばバスタオル姿から堕天のボンテージ姿に戻っている……っと。いつの間に……ていうかどうなってるんだろうあれ。
その後ロアンの通訳のもと、皆と意見を交換。
結果、今回暗闇の山で修業したクルス・イリス・カエデの三名は進化先を聞き、そのうちのイリスとカエデは進化を希望、クルスはまだ見送るとなった。クルスの希望は特になしとのこと。
コウガ・セツナ・ロアンの三名は強いモンスターと戦いたいらしく新しい場所を目指したいという。
残ったティアとルドラの希望は次の通り。
「戦闘は皆さんにお任せしますね~。レベルを上げるだけではスキルが増えにくいという事だけは分かったので当面はどうすれば求めるスキルが手に入るかの情報を集めたいと思います~」
ルドラもスキルが封印されると耐久力が厳しくなるという弱点が判明したので集中的にレベルを上げて基礎能力を鍛えたいと言い出した。一番手っ取り早いのはやはり進化だけど、今の項目に堅くなりそうなドラゴンの名前は存在していなかった。なぜかロックリザードと言う名前はあったけどドラゴンからまたトカゲに戻るのは私がちょっと嫌だよ……。
それにしてもみんなやりたいことがバラバラだね。こうやって意見を聞くと今までよく私に付いてきてたと思うよ。きっと自分の意見を言っても通らないからついてきてくれてたのかなぁ。少し自信喪失……かも。
「主よ。心配はいらんよ。こやつらはワシを介してとはいえ主と意思の疎通ができるようになって喜んでいるだけじゃ。主が道を示せばそれについて来るのは今までと変わらぬよ」
そっかぁ。皆のわがままだったのかぁ。姿は私より大きい子ばかりだけど甘えん坊で可愛すぎるよっ!
でも皆は先に進みたいって言ってるけど、私としてはこの辺りで一息ついておきたいんだよねぇ。ほら、ロアンを仲間にした時の放送で一部地域に名前バレしたじゃない?
そのあとはもう掲示板で面白いように有名になって、高原のダンジョンの前でゼリンに名前を呼ばれたことで私の容姿もアップされちゃったわけ。だからってゼリンを恨んではないよ?いつかはバレるものなんだから。
だからある程度落ち着くまでは目立つ行動はせずに過ごしたいわけ。
と言うことを皆に言ってみると、ならばあそこに行こうと提案されたのが先日のアップデートで実装された初心者を迎えるためのダンジョン。
あそこの1~50までの所に行けば初心者は入り口周辺より奥に行こうとしたら淘汰されるだろうし、自分達より高いレベルの出る辺りで中級者も減っていくはず。残るは上級者だけど、その人たちも対応に難しいモンスターが出るところにいるわけだから私のことなど気にかけてる余裕はないよね。
確かにそう考えれば、全部の希望が叶うんじゃない?
奥に潜れば潜るほど私の希望である目立たない活動ができるし、コウガ達の希望である強いモンスターも出るし、それを倒すことでルドラの育成も出来る。イリス達に関しても進化した後に、しばらく前半でレベルを上げておけば深いところまで潜っても即死はしないはず。最悪ルドラが守るはずだし。
一度そう考え納得しちゃうともうそこしか思いつかない。
「私たちはイリスとカエデの進化を終えた後、新しく設置されたダンジョンに向かうよ!皆、いいよね?」
私の声に全員が返事を返す。よし、決まった!
それじゃあさっそくイリスとカエデの進化をしよう。もう二人は進化先を決めているみたいだけど、一応ちゃんと表示はしておかないといけないよね。どういった経緯で進化したか私も気になるし。




