ヤマタノオロチの過去
ーー力で勝てない相手にはどう戦えばいい?
これが、龍王様が最初に私に聞いた質問だった。
一般的の考えではここは【頭を使う】という考えに到るであろう。
しかし、圧倒的力を持っている相手だった場合、知略もそこそこ出来ているのが基本というものだ。
私は知略は苦手で攻撃特化な人材
それを踏まえて私が出した答えはーー
【力で勝てないなら次へ託す情報を集める】
たとえ、どれだけ弱かろうと、力が優れていようと、戦いにおいての有利不利は一つで決まる。
それは戦闘になるまでの【情報量】だ。
どんなソシャゲだろうが、存在する【相性】という機能。
火は木に強く水に弱い。
木は水に強く火に弱い。
水は水に強く木に弱い。
この様なものが果たして現実で知略の足しになるのだろうか?
現実では火や水などは関係なく、馬や槍、そして弓などに分けられる。
そんな時、馬と槍が戦闘になったらどちらが勝つのだろうか。
結果は一目瞭然、馬が勝つに決まっている。
なぜ槍と馬で戦闘になったのか。
それは、馬のチームは相手が槍だとわかっていて、槍のチームは相手が馬だとわかっていなかった、それだけである。
つまり、どれだけ凶暴で力も強く、そこそこ知略も冴えてる者に勝つためには【情報量】の多さが勝利の鍵を握るのである。
私は深い意味を考えずに答えたが、龍王様はそのことについて深く考え説明してくださった。
ーーだから、私は情報を集めようとしていたのに……
「オロチ、今日も勉強ですか?知識を深めるのもいいですけど、力がないといざという時にご主人様を守ることができませんよ?」
国の図書館の勉強室の隅で永遠と本を読み続けている銀髪と白髪の少女、ヤマタノオロチ。
彼女は龍王様の教えを何より守り、知識を高めるため、図書館に引きこもっているのである。
ワイバーンは、そんなオロチを見兼ねて、運動をしようと声をかけに図書館でオロチに声をかけたのである。
「別に……いい。知識が、あれば、どんな力にも勝てる……の」
ワイバーンの気遣いに冷たく返事をし、本のページをめくる。
そもそも、私に気を使う必要がないと思う。
私がいたところで、何が変わるわけでもないし、龍王様の教えを守りたい。
「……わかりました。そういえば、ご主人様がお呼びになっておりましたよ?」
「わかった、の」
愛想なくワイバーンに返事をし、本に栞を挟み、本を閉じて置き、龍王様の王城に向かった。
「オロチよ少し頼まれてはくれんかね?私の息子が、どうしてもドラゴンと戦ってみたいと言ってな。それに、強いドラゴンじゃないと嫌だと言うんだ。だから私の息子と戦ってくれんかね?」
龍王様は息子思いで、私達、龍達にも優しい王である。
龍王様の息子は無邪気で実力があり、将来龍王様より強くなられると言われている実力者である。
「わかりました。では、戦ってきます」
その実力者と戦えるなんて実に私は幸運であろう。
実力では劣っているかもしれないが、知識は誰にも負けないつもりでいる。
龍王様に言われたことを実行するに丁度良い機会を与えられてヤマタノオロチはとても喜んでいた。
「クソッ!何故当たらない!」
縦、縦、横、縦、横、横、横。
龍王様の息子様の攻撃は結構単調で避けやすい。
これも、龍王様が言っていた情報量の差が試合に響いていると思う。
それにーー
「遠距離攻撃が……痛ッ!防げない……ッ!!」
これも息子様についての知識の差だと思う。
龍王様の息子様は遠距離からの攻撃に慣れておられないので、大きく剣を振って攻撃してきた後、距離を取り、遠距離攻撃をすると当たる。
やっぱり龍王様の教えは間違っていなかった!龍王様は、私の全てだ!
大きく振った剣の攻撃を避けては遠距離を繰り返し、ついに、龍王様の息子様の剣を弾き飛ばすことに成功した。
「私の……勝ちです」
勝利を確信し、息子様に勝利宣言をした。
その時ーーーーッ!!
グアァァァァァァンッ!!!!
「ドラゴンの叫び声ッ!どこだ!」
物凄い大きなドラゴンの声がそこら中に鳴り響く。
そして、位置を特定し、その方向を見た瞬間、初めて【絶望】というものを感じた。
「なんだ……あの、ドラゴン」
全身が機械で出来ており、サイズが通常のドラゴンの5倍ほどあり、ドラゴンの上には機械で出来てありそうな輪っかがあった。
なんだあのドラゴンッ!見たことがない……どうすれば!
「息子様ッ!ここは私が食い止めますので、速く逃げてください!」
異常時には、次へ託す情報量を集める。
今は集められずとも、存在のことを龍王様に伝えることができれば、討伐隊を結成し、討伐に出ることができる。
これも、龍王様が教えてくださったこと。
それに、龍王様の僕として当然のことである。
でも、怖い……絶対、この状況では死ぬ……そんなの嫌だーー
「逃げる?私は次期龍王になるかもしれない男だぞ?部下に任せて逃げるなぞ、一生の恥!むしろ部下を逃して自分も生き残ってこそ、龍王に相応しいと思う!だから、オロチ!君が逃げろ!」
剣を取り、オロチの前に出て機械の龍に向かって構えながら格好をつける。
「駄目です!もし、息子様に何かあったら……」
「俺のことだッ!俺が責任を取る!だから速く逃げろッ!」
龍王様の息子様は、そういいながら、オロチを180度向きを変えて背中を押す。
そして、オロチが振り返ると、物凄い目力で、オロチを威嚇し逃げさせることに集中した。
息子様……ごめんなさいーーッ!
ついに、オロチは息子様を置いて龍王様のいる王城に向かい猛スピードで走った。
ーー見てるか龍王様!いや、お父様!今俺は、最高に輝いてると思うんだぜ!
「俺は次期龍王の座に就く男だ!全力でかかってこいッ!」
オロチが最後に見た光景は、機械のドラゴンに突っ込んでいく息子様の姿だったーー
ーー数日後、討伐隊を率いて機械龍を石碑に封印することが出来、息子様を亡骸を持って帰った。
息子様の葬儀にオロチは亡骸に向かってこう叫んだらしい
「息子様……私、絶対誰にも負けないぐらい強くないます!だから、少しの間待っててください!」




