表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界立志伝  作者: 遊路
4/16

第三話 逃亡




 さて、何を習得しよう。何を習得したら素晴らしきチート人生を送れるかな?


「スキルポイントってどうやったら得られるの?」


「レベルが上がれば10SP得られますね」


「え?それは固定?」


「はい。固定です」


 それは、最初に1000SPで習得するスキルが超大事だな。


「ちなみにSP初回1000って、勇者にはよくある話?」


「はい?なんですか?そんなことあるわけないじゃないですか。レベル1なら初回は10SPに決まっているじゃないですか」


「えっと・・・さっき共有した情報をよく見てくれる?」


「さっきのスキル一覧ですか?全スキル習得可能とかありえないですよね」そう言って、凄い顔で睨んでくる。なんか怒っていらっしゃるようだ。


「いや。なんでそこで怒っているのかわからないけど、現在のSP見てくれる?」


「・・・ばかなの?全スキル習得可能な上に初回1000SPって、何なんですか!!」


「いやだから、怒っても困るから。私のせいじゃないし!」


「全スキル習得可能で1000SPもあったら、レベル1から剣聖とか、賢者とか、暗殺者とか、大魔術師とかやりたい放題じゃないですかっ!何それ羨ましい!!」


「そうなんだぁ。そんなに色々極めていけるのかぁ。まあ、そうだよなぁ。普通ならレベル100でようやく1000SPだもんなぁ」


「レベル100クラスのスキル持ちのレベル1とかどこの魔王ですか!」


「え?じゃあ、魔王って私みたいに称号なしのやつが?」


「知りません!適当に言いましたから!!」


「だから、なんでそんなに怒っているんですか!」


「うるさい!ばーかばーか!奴隷を買って強引に押し倒して逮捕されろ!」


 なんかわからんけど、暴言を吐かれて泣きながら部屋を出て行ってしまった。なんでや。


 あ、これってこのままここに居たら、良いように軍事利用されるパターンじゃね?魔王を倒したとはいえ、魔王国はまだ三魔将とかいう魔王並みに強い将軍たちが残っているそうだし。スキルをあれこれ支持されて習得した後、暗殺行ってこいとか言われる感じだよね?


 なんとなく身の危険を感じたので、とりあえず城から抜け出すことにした。幸い、異世界とはいえ日系な顔立ちの人が多いようで、王様なんかも日本の大御所俳優に居そうな感じな髭のおっさんだし。シズカさんもドSな女優さんって感じだし。士官用の部屋のタンスに平服が何着か置かれていて助かった。最初の部屋で着替えた服なんて、いかにも貴族というようなひらひらのいっぱいついた生地な上にテカテカだったし。士官用の平服はその辺の兵士が鎧の下に着ているヤツと同じみたいなので、それに着替えたら周りの兵士も非番のヤツと思ったのか、特に声をかけられることもなく無事に城を抜け出すことが出来た。


 初めて見る異世界の城下町は、中世の街並みをそのまま再現し、それに所々近代的な物が後から付けられている感じで、何とも言えない街並みだった。例えて言うなら、古民家に無理やり配線して電気を付けられている感じ?まあ、中世の街並みも古民家もテレビでしか見た事が無いのでうまく説明できないが。


 街中には車や馬車などは通っていないので、街を徒歩で移動するしかないのかな?と思ったら、所々に駅地下入り口みたいなものがあって、そこに転移所というのがあるようだ。文字が読めないので近くの人の会話を盗み聞きして情報を得ているのだが。何とかなるな。でも、文字が読めないので辛い。スキルで理解できるようになるやつがあるかも知れないが、慎重に習得しないとスキルリセットなんて都合のいいものは無い可能性が高いし。でも、お金もないんだよなぁ。このまま城下町に居ても見つかる可能性が高いから、どこかは離れた街にでも移動するだけのお金を稼がねば・・・。


 巡回中の兵士に田舎者の振りをして質問したら、日雇いギルドを教えてもらった。ただ、ギルドにプロフィールを提示して登録しないと仕事を紹介して貰うことが出来ないようだ。どうしよう?ユースケの名前と称号無しというのは特徴があり過ぎる。城の者が探していたらすぐに見つかってしまうだろう。そう思って、ブレスレットを触ってプロフィールを触ってみる。すると、名前をクリックすると名前が変更できるようだ。え?何これ。もしかして、これが称号無しの能力なのかな?もしかして、称号の部分をクリックしたら・・・やっぱり!称号がずらっと出てきた!好きな称号に変更出来るじゃん!何これ。マジでチートな能力じゃん!よし!これで勝てる!でもまあ、人相書きなり、顔写真なりが出回る可能性もあるので、なるべく早くこの街を離れなくては。


 とりあえず。名前を適当に変更して、称号を剣士にしてみた。剣術系のスキル習得にボーナスが付くようだ。習得ポイントが軽減されたり、剣術レベル1の習得可能状態が早まったりするようだ。ついでにスキルも習得しておくかな。


 一時間ほどスキル一覧を見てああでもない。こうでもないと考えた結果。以下のスキルを習得しました。


・スキル習得軽減(500) ※かっこ内の数字は習得に必要なスキルポイント

スキル習得に必要なポイントを10分の1にする。常時発動スキル。


・取得経験値1000倍(1000→100)

取得経験値が1000倍になる。常時発動スキル。


・取得SP1000倍(1000→100)

取得スキルポイントが1000倍になる。常時発動スキル。


・神速(1000→100)

敏捷を100倍にする。レベルアップ時にボーナス。常時発動スキル。


・神力(1000→100)

筋力を100倍にする。レベルアップ時にボーナス。常時発動スキル。


・ダメージ軽減(1000→100)

受けるダメージを10分の1にする。常時発動スキル。


 剣術スキルや魔術スキルを極めても良かったのだが、全スキル習得が出来そうな初期スキルをと考えた結果こうなりました。防御力100倍になる神壁とダメージ軽減のどちらを習得するか悩んだが、防御力が高くても魔法で攻撃されたら意味ないかな?と思ってダメージ全般に効果のあるダメージ軽減スキルにしました。


 ちなみに物理無効と魔法無効があったのだが、5万SP必要でスキル習得軽減を習得しても5000SP必要だったので諦めました。普通に習得しようとしたら最低でもレベル5000必要とか習得するのは無理じゃね?10分の1にして取得SP1000倍ならレベル5あれば習得可能になっているんですけどね。つまりレベル10から無敵になります。防御だけだけど。でも、SP貯まったら速攻習得します。習得しないとかありえないです。生きていたいです。


 状態変化無効(10000)も1000SPになっているので習得しておきたいなぁ。このスキルはあらゆる状態変化を無効にするので、毒や麻痺に呪いに凍傷にと。とにかくありとあらゆる状態変化を無効にするので、物理と魔法と状態変化の3つを無効に出来れば魔王も怖くなくなる・・・はず。さすがに全部のスキルを把握することは難しいので、習得可能なスキルとこれ絶対欲しいというスキルしかまだ見てないです。落ち着いたら、他のスキルも確認したいなぁ。


 準備が整ったところで、さっそく日雇いギルドに登録をする。名前は適当に変更したのでゴンベーになっている。次の街までしか使わない名前だからねぇ。東国の影響が及ばなさそうな西国にでも行ければ元の名前に戻しても良さそうだなぁ。


 紹介して貰った仕事は西国とまではいかないが、中央にある聖都までの商隊護衛だった。称号の剣士が評価されたようだ。登録には名前と称号と連絡先だけでその他の情報は個人情報として保護されている為によっぽどのことが無い限り開示命令はでないそうな。まあ、見られていたら明らかにレベル1のステータスじゃないので怪しまれていただろうなぁ。でも、レベル1なのに護衛って、いくら剣士の称号持ちでも無理じゃないのかな?と思ったのだが。人数さえ揃っていたら、モンスターや山賊も寄ってこないらしい。まあ、その分賃金は安いのだが。1日5000エルンで三食付の五日間である。ただ一緒に居るだけで25000エルン稼げるのだからかなり美味しい仕事だろう。物価がまだ良くわからんが。


 比較的安全なだけで絶対ではないということは注意された。まあそうだろう。それと、襲われて命を落としたとしても、商隊に責任は一切ないことを了承する書類にサインさせられました。まあ、武器や防具も安物だけど護衛中は無料で貸し出しされるそうなので何とかなるだろう。


 明日からと言われたらどうしようと思ったのだが、今日の午後から出発する商隊であと一人がなかなか決まらなかったようだ。まあ、聖都まで行く仕事を並行して受けているか、何かしらの用事でもない限り、こういった護衛任務に就く者は減っているらしい。昔はいろんなところを観てみたいと人気の職だったと、商隊のじいさんに語られた。


 よくある物語やゲームなんかだとこの任務中にモンスターに襲撃されたり、山賊に襲われたりとイベントが起きるのだろうが。五日間何事もなく聖都に着いたのだった。移動手段もトラック(動力は魔力っぽい。排気ガスが出てなかったし、音もガソリンエンジンよりもずっと静かだった)だったし、途中途中の休憩ポイントには宿場町があったので、野宿をすることもなかった。まあ、団体部屋で雑魚寝ではあったが。


 まあ、そんな感じでぬるい感じで聖都に無事到着しました。戦闘が一切ないのでレベルも1のままである。大丈夫かな?いや、危ない事が無いのは良い事なのだが・・・。




次回。果たして、戦闘シーンは来るのか!?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ