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異世界立志伝  作者: 遊路
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第二話 下げからの上げ




 翌朝、柔らか過ぎるベッドや枕で若干寝不足な状態での目覚め。一般庶民がいきなりこんな豪華な部屋で寝られるわけがない。というわけで、部屋を用意してもらったのだが、まだ豪華な部屋だったのでもっとグレードを下げてくれるようシズカさんにお願いをして・・・また豪華な部屋だったら困るな。


「あの。シズカさん。兵士用の個室って空いてます?」


「兵士用ですか?恐らく空いているとは思いますが・・・」


「なら、その部屋に移れるようにお願いできないでしょうか?」


「わ、わかりました・・・」


 シズカさんは少々戸惑いつつも、上司?に報告して許可を取って来てくれた。


 案内された部屋に行くと質素な感じではあるものの、まだなんか豪華だな・・・。


「あの。シズカさん。ここって本当に兵士用?」


「はい。士官用の個室です」


「士官よりも下の兵士の個室は・・・」


「ございません」


「そうですか・・・」


 無いのならしょうがない。諦めてこの部屋にするか。


「あの・・・」


「はい?」


「ユースケ様は何がご不満なのでしょうか?」


「え?ああ。実はね。使わせてもらったベッドが柔らか過ぎてさ・・・」


「ああ。そうでしたか。それでしたら、ベッドを交換することもできましたのに」


「いや。それだけじゃなくてさ。あの部屋の調度品。高過ぎてなんか怖いんだよね」


「怖い?」


「何かの拍子で壊したりしたら・・・ね?」


「・・・ぷっ」


 あ、シズカさんが口を押えて笑いをこらえている。まあ、そうだよなぁ。勇者として召喚された人物が庶民発言してたらなぁ。勇者をテレビで見ている有名人に置き換えて想像したら、私でも笑っちゃうな。


「勇者なんて言われても、もともと思いっきり平民だからねぇ」


「そ、そうだったんですか・・・」


「そもそも勇者の力って持っているのかな?どうやったら調べられるんだろ?」


「それでしたら、ブレスレットで確認できますよ」


 そう言われて、ブレスレットを操作するとプロフィールから確認出来た。だが、称号の欄に勇者の文字は無い。


「あれ?称号の欄。空欄なんだけど?」


「え?そんなはずは・・・」


 シズカさんによると、称号というのは産まれた時から誰しもが必ず持っているもので、その人の才能を示し、職業にも大きく関わるものだそうだ。ちなみにシズカさんの称号は事務官だそうだ。秘書や文官、会計士に事務員といった職業に適したものだそうな。メイドも事務系の仕事があるので助かっているそうな。そんな大事なものなのだが。


「本当に空欄ですね・・・」


 シズカさんのブレスレットにプロフィール情報を送信して確認してもらったが、私の称号の欄は空欄だった。


「勇者召喚で呼ばれた人で空欄だったって人は・・・」


「聞いたことありません。ほとんどの場合勇者の称号をお持ちで、勇者の称号が無いとしても影響力の強い称号をお持ちの方ばかりだと聞いております」


「えーと。一応、王様にこのことを報告しておいた方が良いかな?」


「はい。初めての事ですので陛下がどういう対応をなさるかはわかりませんが・・・」


「まあ、もしもの場合は城を出ればいいか」


「いえ。さすがに召喚しておいていきなり城から追い出すことはされないと思います」


「いや。こっちが居づらくなるからねぇ。何の能力もないのに厄介になるというのもね。こっちに来た意味がないし」


 元の世界に居たのと変わらない立場はさすがに嫌過ぎる。変える為にこちらの世界に来ることを望んだわけだし。


 称号が空欄という前代未聞な状態と言われてもピンとは来ないが・・・。本来なら誰でも持っているものなのにないというのはどういう事なのだろうか?まあ、答えは出ないだろうな。それよりも朝食を食べたら家庭教師の人がこの世界の常識について教えてくれる約束だ。はやくしないと待たせているだろうからな。


 家庭教師の先生は美人女教師ではなく。よぼよぼなお爺ちゃんでした。一応、王宮筆頭魔導師の偉い人だそうな。名前は・・・憶えてない。先生で済ませてるからなぁ。しかも、資料をいくつか渡されて、これを読んでおきなさい。で終ったし・・・。つか、こっちの世界の文字読めないんですけど。と言ったら、「メイドに読んでもらえばいいじゃろ。わしも暇じゃないんだ。それじゃあ失礼するよ」と言って帰って行った。あれかな?称号なしなのを聞いてぞんざいな扱いをされているパターンかな?


 まあ、爺さんに付き合って何時間も拘束されても眠くなるだろうから、シズカさんに読んでもらうことにした。


 お昼までの三時間。休憩をはさみつつも貰った本を読んでもらったのだが。理解できたのはこの世界ではアメリア教のみ存在していて、そのアメリア教が伝えた【騙すべからず・盗むべからず・傷つけるべからず】の三つがそのまま法律となっていて、細かい事は裁判官が判断をして罪状を決めているそうな。なんとシンプルでわかりやすい法律だ。そして、奴隷制度についても少し情報が追加された。


 期間奴隷には性交渉有り無しがあり。契約時に奴隷側から断る権利があるんだそうだ。まあ、性交渉有りは期間が短くなるので、よっぽど相手が無理な感じじゃなければOKする人が多いらしい。そして、永続奴隷は性交渉有りのみだが、無理やりは法で裁かれるのでエロゲみたいな展開にはならないらしい。思っていたよりも人権は尊重されているようだ。ちなみに召喚された勇者の中に永続奴隷を買って、いたそうとして逮捕されたのが数名居るそうな。こっちの世界をエロゲと混同したらダメだよねぇ。というか、一般常識習わなかったのかね?さすがにシズカさんもよその国の事はわからないそうだ。まあ、そりゃそうか。


 他にも色々読んでもらったのだが、国の位置関係だとか、街の名前だとか、人口とか正直覚えても意味が無さそうなのが多かったので、飛ばしてもらった。


 魔法については、基本的に軍事機密扱いだが、街に降りれば割と簡単に教えてもらえる場所があるらしい。というか、魔法ギルドで魔法の本を購入する必要があるそうな。一冊100万エルン以上するそうな。高いなおい。自然に出たりしないものなのかね?と思って聞いてみたが、スキルがあれば可能らしい。そういえばスキルなんてものあったな。まあ、私は持っていないようだが・・・。うん。称号確認する時にちらっと見たのよね。スキル欄。空白でした。えぇ。ただ、スキル欄の所にSP:1000というのが書かれていたので、まだ希望はある。SPがスキルポイントの略であればそのポイントを使ってスキルが習得できるに違いない!


「シズカさん。スキルについては?」


「軍事機密扱いですので、ここのある本には書いておりませんね」


「チッ」


 案外ケチだな。まあ、称号なしのヤツにそうそう軍事機密を教えるわけないか。城に居られるだけでもありがたいと思えって、そのうち言われそう。


「ですが。一般常識として、スキルポイントがあればスキルは取得可能です」


「やった!じゃあ。このSPってのがスキルポイント?」


「はい。ただし、取得条件を満たしていないと取得はできません」


「取得条件?」


「はい。例えば、剣術スキルを取得したいのならば、剣術を練習してスキルレベル1を取得してからでないとその次の剣術Lv2を取得することはできないんです」


「むむむ」


「スキル取得条件を満たしていれば、スキル欄のスキル一覧を見て頂ければ取得可能なスキルが暗い文字で表示されますので、それを選択してスキルポイントを振れば習得できます」


「ほうほう。で、軍事機密の部分というのは?」


「軍事に使えるスキルの取得条件ですね」


「ああ。なるほどね」


 というわけで早速確認してみるか。さっきのSPが表示の所の・・・ここだな。ポチッとな。


「あれ?なんか多くないこれ?」


「どうかしましたか?」


「いや。あのね。教えてもらったから、さっそく取得可能なスキルがあるか確認してみたんだけど・・・」


「まだないんじゃないですかね?称号無しですと恐らく・・・」


「いや。なんかその逆をいってた・・・」


「逆ですか?」


「たぶん。全スキル取得可能になってるみたい・・・」


「え?」


 シズカさんにブレスレットの情報を共有して確認してもらったのだが、シズカさんも見た事も聞いた事もないようなスキルがかなり表示されているそうだ。間違いないな。チートきたーーーーーー!




次回。スキル習得でチート生活か!?

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