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異世界立志伝  作者: 遊路
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第一話 勇者召喚?

プロローグの注意書きに同意してくれた人がここに来ていることを期待して、今後は前書きに注意を書きません。まだ同意してない人はプロローグの前書きからお読みください。




「おお。よくぞ召喚に応じてくれた勇者よ!」


 なんか、裸の状態でPCの前に居たはずが、目の前には髭のおっさんが両手を上げている。何この状況?召喚?あのサイトって、召喚用なの?


「あの・・・。何か着るものを・・・」


 おっさんの前でおっさんが全裸というのは嫌過ぎるので、服をさっさと持って来てほしいとお願いする。


「ああ。すまんすまん。おい!」


 髭のおっさんが使用人らしき人を呼んでくれた。首輪をした美女がメイドの格好をして服を持って来てくれた。だが、服はなんか布に穴を空けただけの簡素なものだ。頭から被って袖を通す。すると、メイドさんが腰の周りに紐を撒いてくれた。下着はないのかよ。と思いつつも着る物をくれただけでもマシかな?


「それでは、さっそくじゃがお主には・・・」


「陛下!大変です!」


「なんじゃ?いま大事なところなのだが・・・」


「魔王が討伐されました!」


「はぁ?」


 なんか、髭のおっさんは王様らしい。まあ、王冠を被ってたんでそうかな?とは思ったけどさ。そして、私になにやら話しかけようとしたところに兵士がやってきて魔王が倒されたという。ん?勇者って私の事を呼んでいたよな?という事は・・・


「あ~。なんかすまん。召喚しておいてなんだが、お主に頼みたい事が無くなった・・・」


「え?」


「いやな。うすうす感づいていたとは思うが、魔王を倒してほしいと思ってお主を召喚したのだが、西の王のヤツが半年ほど前に召喚した勇者達によって先ほどその魔王が討伐されたようだ」


「えーと・・・」


「うむ。知っているかも知れんが、勇者召喚は一方通行でな。元の世界に帰すことはできん!」


「いや。別に帰してもらわなくても良いですけど」


「そうか。まあ、召喚に応じた者はほとんど帰りたがらないとは聞いていたが・・・」


「そうですね。帰れないと書いてありましたから、ある程度覚悟を持った人しか来てないと思いますよ」


「ん?どういうことだ?勇者召喚はそっちでは常識なのか?」


「いえ。そうですね。なんといえばいいか・・・」


 PCについて説明してもわからないと思うので、召喚に応じる前に説明と試練を受けたということを話してみた。


「ほう。そちらではそういう風になっていたのか・・・」


「いえ。私がその今回の勇者召喚に直接関係しているのかはわかりませんが、向こうではそういう感じになっていたというだけです」


「ふむ。確かに勇者召喚は国が一年掛かりで挑んで失敗することもままあると聞く。お主が言うような人数がこちらに来ているとなるともっと騒ぎになっているはずだからな。少なくてもワシは西のヤツが半年も前に勇者召喚をしていたことは知らんかったが、それはヤツがうそつきのクソ爺というだけで、他の国はちゃんと報告をしているはずだ。成功したのは西のヤツを除けば10人くらいじゃったかの。もっとも、魔王討伐に行けそうな勇者はおらんかったから、今回ワシが勇者召喚を試みたのだが、西のヤツのせいで余計な国費を使ってしまったわ!」


「あの・・・。それで私はどうすれば?」


「うむ。そうじゃの。魔王が討伐されてもまだ魔王国の勢力が壊滅したわけではないし・・・。すまんがしばらくは様子見という事になると思う。そうじゃの・・・。この世界についてとりあえず勉強してもらっておいた方が良いかの?魔王討伐だけなら細かい事は必要ないが、生活するにはまずはこちらの常識を知って貰わんと困るじゃろう?他の国が召喚した勇者達の中には大した収入もないのに奴隷を大量に買って、己が奴隷に落ちた者もいたからの」


「ありがとうございます。お役にたてるようになるかはわかりませんが、こちらの世界について教えて頂ければ、何かできることが見つかるかも知れませんし」


「うむ。どうやら、お主ははずれではないようだな。勇者の中には横暴な態度で王に接して投獄された者もいたからのぅ」


 勇者召喚。異世界から勇者の資質を持ったものを呼び寄せるという魔法だそうだが、それを行使するには大量の魔石というのが必要で、その魔石というのはダイヤモンド並みに価値の高い物だそうな。ちなみに私を召喚するのにかかった費用は100億エルンだそうだ。1エルン=1円くらいだそうなので、100億円かかっているわけだ。今回、魔王が討伐されてしまったのでその費用は丸々無駄になったわけだが、私がその負債を背負うという事はないらしい。だが、その費用分くらいの利用価値があると証明できれば王様も助かると言っていたので、頑張るしかない。


 美人のメイドさんに案内されて、用意されていた部屋に入ると、どこかの高級ホテルの一室かと思えるような調度品が置かれた部屋だった。聞けば、花瓶が数千万エルンするとか。何かあったら怖いので、調度品などが無い部屋に変えてもらえるようにお願いしたが、その部屋を用意するにも時間がかかると言われて、今日一晩はこの部屋に泊まることになりそうだ。


 部屋にあるものは自由にしても良いと言われて、メイドさんが部屋を出ていくと思ったら、別の部屋を用意するように他のメイドに連絡したらすぐに戻ってきた。どうやら、私付きのメイドのようだ。ちなみにメイドさんの格好はミニスカートではない。超ロングだ。手も長袖で胸元も首まできっちり締められている。本物は秋葉原のメイドやアニメの中のメイドとは違うんだねぇ。


「ねえ。聞いても良い?」


 折角なのでメイドさんに質問してみた。


「はい。何でしょう?」


「その首輪は?」


 まあ、趣味ではないよね?


「これは身分が奴隷の者が産まれた時から身に着ける義務のある隷属の首輪というものです」


「隷属の首輪・・・」


「はい。この首輪は主人にしか外すことはできず。また、主人に害をなすような事を頭に思い浮かべただけでも懲罰として首輪が絞まる魔法がかけられております」


「主人というのが任意で絞めることも可能なの?」


「はい。ただし、それで死ぬようなことはありませんし、不当な懲罰は法律で禁じられております」


「ふ~ん」


 夕食は王様と一緒に取ること以外、自由にしても良いと言われていたので、部屋にあったちゃんとした服に着替えた後、そのままメイドさんから色々と話を聞いてみた。


 この世界はエデンと言われていて、私がいる国は東国という。アメリア大陸の東にある国だから東国というらしい。他に良い名称は無かったの?と思ったが、どうやらこの大陸の国は中央にある聖都というところが中心となっている連邦国家的なもので、他に北国・南国・西国と王政の国があり、王はあくまで聖都で祭られている女神アメリアに国を預かっている身だとか。


 女神自身はすでにこの世にはいないが、聖都にいる法皇が女神の声を聞き。皆に伝えるのだとか。年に4回は聖都で王達が集まり、自国について軍事やら政治やら経済の事を報告をするそうで、国同士仲が悪いという事はないのだが、東国の王と西国の王は幼少の頃に北国の姫を巡って色々あったそうで仲が悪いとか。


 生活レベルは私の居た世界の中世レベルかと思いきや、見た目は中世だが中身は魔法と科学の融合したような感じで進んでいて、スマホのような携帯端末も普通に流通しているそうな。まあ、形はスマホじゃなくてブレスレットでこちらの世界のほうがむしろ進んでいるようにも見える。通貨はエルンで大陸共通通貨な上に、ブレスレットにて取引される為に硬貨やお札は無いそうだ。電子通貨みたいな物なのだろうが、硬貨やお札が廃止されているとか。やっぱこっちのほうが文明進んでるんじゃね?


 ただ。奴隷制度はまだあるように、私の居た世界とは違う価値観が結構あるようだ。奴隷についてより詳しく聞いてみると、犯罪奴隷や借金奴隷は期間制限がある期間奴隷と産まれてから死ぬまで奴隷のままという永続奴隷というものがあるそうだ。メイドさんは永続奴隷のほうで両親も奴隷でこのお城で働いているそうだ。


 永続奴隷は美形の奴隷だけが繁殖を許されていたという時代が100年前まで続いていたそうで、永続奴隷は美形しかいないそうだ。今では容姿に関係なく婚姻も出産も許されているそうだが、それでも永続奴隷は永続奴隷としか結婚できず。例え、王族でも許されておらず。破れば永続奴隷にされるそうだ。犯罪の最高刑は永続奴隷ではなく死刑で、例え罪を犯しても永続奴隷にされることはないらしいのだが、永続奴隷との婚姻に関してはやたら厳しいらしい。


 そうそう。ブレスレットなのだが、私にも頂けるそうで。さっそくつけてみた。見た目は金属なのだが魔法生物なのだということはつけた後に教えられた。一度付けたら基本的には一生外せないそうだ。ちなみにメイドさんの首輪も魔法生物だとか。


「何でこれ外せないの?」


「このブレスレットは通貨管理・身体情報・行動履歴・通信・身分証明など様々な機能がある為、取り外しが容易ですと盗難の恐れもあり、一部の人物しか取り外す許可を出せないようになっております。ちなみにですが、外すことがあるような事態は手首を切断してしまった時か、手首ごと魔物に食べられてしまった時くらいですので」


 どうやら、生きていくうえで必要な機能が満載の上に、生活で邪魔になるような事はまったくないらしい。そら、外す必要ないな。


 メイドさんと夕食までそんな感じで話をしていたら、お互いの自己紹介も自然としていた。メイドさんの名前はシズカさんで28歳だそうだ。両親にはそろそろ結婚しろと言われているらしいが、これと言った人はまだ見つからないらしい。どうやら、シズカさんも結婚したくはあるようだ。


「では、ユースケ様。会食の間にご案内する時間です」


 すでにお互い名前で呼び合う仲になった・・・わけではなく。私が名前しか教えなかった。しかも、ハンドルネームで使っていた名前だ。なんとなくこちらに来たのだから本名も捨てるべきなのでは?と思ったからだが。ブレスレットのプロフィールにもユースケで登録されていたので問題ないはずだ。


 王様との会食は作法がさっぱりで緊張していたが、王様までの席が遠いおかげで全く気にせずに食べても良いと給仕係に教えられてほっとした。皿ごとに内側に置かれているフォークとナイフを使って、食べ終わったら皿の上に置いておけばいいらしい。皿の上にフォークとナイフを置いたら、次の料理を持ってくる合図だそうな。


 王様との会話は遠いせいで連絡係を通しての会話でそんなに回数は無かった。食事中はなるべく食事に集中するのが作法らしく連絡係とのやり取りも、名前や今後の事について簡単な説明くらいだった。どうやら、東国の客としてしばらくお城に滞在することが許されたみたいだ。だが、これと言った仕事は与えられないそうなので、城下に行って仕事を探す必要がありそうだ。午前中は家庭教師を呼んでこの世界についての勉強。午後は自由時間だそうなのでその時に仕事をしに行けば良さそうだ。別に働けと言われたわけではないが、何もしないというのも暇でしょうがない。本を読もうにもこちらの世界の文字はまだ読めないし。会話はお約束通り召喚魔法に組み込まれているとかで問題ない。


 会食が終わると、会食の間の隅にあるソファーに座っての食後のお茶や酒を飲みながら会話だった。どうやら、王様とその家族は食後にそうやってお互いにあったことを話すらしい。まあ、大臣や将軍も一緒なので少し政治よりな話や軍事的な話もあるのだが。


 大臣や将軍の自己紹介を聞いたが、人の名前を覚えるのは得意ではない。関わるようになったら改めて覚えることにしよう・・・


 メイドのシズカさんと仲良くなったのが一番の収穫かな?と思いながら、会食後の談話も終わり自分の部屋に戻ってきた私はシャワーの使い方をシズカさんに教えてもらってシャワーを浴びていた。エロゲならここでシズカさんが乱入して来て「お体を洗いましょうか?」なんて聞くのかも知れんが、現実では洗うようにお願いしない限りはそういうのはしないそうな。つまり、お願いすればOKなのだが、出会ったばかりの女性にそんな事をしてもらう度胸は無い!伊達に彼女いない歴=年齢ではないのだよ!まあ、彼女いる歴があったとしてもお願いできる度胸のある奴はそうそう居ないだろう。そんなこんなで、召喚されてから就寝するまで長いような短いような時間は過ぎ。恐ろしく豪華なベッドで就寝し、ベッドや枕が柔らか過ぎて落ち着かないでしばらく眠れないという経験をしながらも、なんとか眠りについたのだった。




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