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異世界立志伝  作者: 遊路
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第十四話 初めての肉体改造




 翌日。魔術師ギルドにて、ヒナタさんが400万エルンも使って購入した【肉体改造】の魔法書を渡された。


「じゃあ、約束通り。お願いします!」


「えっと、これはどうすればいいの?読むの?」


「え?ああ。そうか。そうだよね。えっと、使い方は魔法書の最初のページに・・・」


 魔法書は一度だけ使える消費アイテムというやつのようで、最初のページを開いたところにある署名欄に魔法を習得したいものが名前を記入すると魔法書が光り出して消失。すると、なぜか脳内に魔法書の内容が入っているという。まさに、魔法の本だった。しかしまぁ、物凄い値段だなぁ。使用レベルに応じて100万エルンから500万エルンとなるそうだが、レベル2以上の攻撃魔法はすべて国からの許可がないと購入できないらしい。


「えっと。ここに名前を書いて・・・。うわっ!」


 【肉体改造】の魔法書に名前を書くと本が光り出した。すると、頭の中に物凄い量の情報がいっぺんに入ってくる。フラッシュムービーのように断片的に文字や挿絵が目の前に次々に見えては消えていく。


「だ、大丈夫?」


「う、うん。なんとか・・・」


 魔法書が消えたと同時に頭に飛び込んで来ていた情報が見えなくなる。どうやら、習得できたようだ。


「ちょっと休む?」


「そうだね。【肉体改造】の魔法を使うなら、どちらかの部屋に行った方が良いと思うんだけど・・・」


「じゃあ、私の部屋に・・・」


 顔を少し赤らめて恥ずかしそうに俺の手を引いて行くヒナタさん。なんだかドキドキする。部屋に着くまでの間。なんとなく気まずかった。お互い特に喋る事もなく歩いていたのだが、おそらくヒナタさんも念願の体を手に入れられるという思いで胸が一杯なのだろう。


「どうぞ。入って」


「お、お邪魔します・・・」


 ヒナタさんの部屋に入ると、中は女性の部屋らしくひらひらな物やら、ピンク色の物で覆い尽くされているかと思いきや。シックな感じの大人の部屋という感じだった。ただ、なんか良い匂いがする。


「そ、それじゃあ。来てすぐにというのもあれだけど。お願いします」


「う、うん。えっと、ちょっと待ってね」


 【肉体改造】の魔法を使用するためにその手順を思い出す。先ほど魔法書を使って記憶した情報は思い出すという感覚で情報を引き出すのだが、【肉体改造】魔法の使用方法を思い出した瞬間。俺は顔が真っ赤になってしまった。


「え?ど、どうしたの?急に顔が真っ赤になったんだけど・・・」


「えっと。その・・・」


「お願い。はやく私の体を女性にしてください」


「いや。それは問題なくできると思うんだけど・・・。使用時の状態が・・・」


「え?」


「その・・・。肉体の変化を目で確認しながら、イメージと重ね合せる感じで魔法を使うみたいで・・・」


「えっと・・・。それって・・・」


「うん。ヒナタさんに服を脱いでもらわないとダメみたい」


「えーーーー!!!!!」


 今度はヒナタさんの顔も真っ赤になる。


「そ、それは本当に?」


「う、うん。そうしないと綺麗な形にならないことがあるらしくて・・・。それと、一度この魔法で肉体を変化させると耐性が付いてしまって、二度目からはほとんど変化しなくなってしまうようなんだ。だから、どんな体にして欲しいかを念入りに打ち合わせする必要があるって・・・」


「えっ?えっ?」


「やっぱ嫌だよね?俺みたいなおっさんに体を見せる必要がある上に、どんな体にするか打ち合わせしないといけないなんて・・・。やっぱり、こういうのは女性で魔法レベル4以上の人を探してお願いしたほうが良いよね。魔法書は俺がお金出すからさ」


「・・・ううん。カッちゃんにお金出させるなんて悪いよ。400万エルンって大金だもん」


「いや。でもさ。ほら、アイリさんに頼んでまた街外仕事を受ければすぐに稼げるし」


「昨日の討伐でだいぶ数が減っただろうし、また増えるまでに時間かかると思うよ。たぶん2、3年くらいは・・・」


「そっか。でも、街外仕事はこの街だけじゃないし。他の街に行けば・・・」


「他の街だとアイリは行けないと思う。店番を休めるのは半日くらいだろうし」


「俺は別にそんなに大金は必要ないし、気にしないでも・・・」


「ううん。やっぱりお願いします!あの。どんな体にするかはどういう風に打ち合わせすればいいの?」


「え?ええっと。紙に絵を描きながら大体の大きさとか形とかを決めるんだけど、部分的に少しずつ魔法をかけるから、確認しながら形を変えることができるんだけど。そんなに何回も出来ないから、打ち合わせする必要があって・・・」


 童貞ではないけれども、女性の体を生で見ることはなかったので、かなり恥ずかしく。だが、ヒナタさんの体を変えたいという真剣な気持ちは前から聞いていたので、自分の恥ずかしさは胸の奥にしまって整形外科医になった気持ちで話を聞いて行くことにした。胸の大きさはもちろん、あそこの形まで。顔も少し直して女性らしい感じにしたいということなので、鏡でヒナタさんが自分の確認をしながら、具体的に説明を受けてという感じで3時間ほどかかった。


 そうして、ようやく魔法をかけることになり、ヒナタさんは産まれたままの姿を俺に見せることになる。そうして、大きさや形などを鏡で見せて調整をしながら【肉体改造】の魔法を使った。その作業には打ち合わせのおかげか時間がかからず。30分ほどで終える事が出来たが。正直、ヒナタさんの体で俺が見ていない部分はないくらい見てしまうことになった。噂通りのあっちの大きさは本当だと知ったが。その大きな物も今は影も形もない。完全に女性の体となり、子供を産むこともできるようになった。その辺は魔法って凄いなと改めて実感した。森で使った攻撃魔法とはまた違った凄さではあるが。


 すべてが終わるとヒナタさんは顔を赤らめながらこう言った。


「全部見られちゃったから、カツオ様には責任とってもらわないとなぁ・・・」


 くっ!これは罠だったのか!?断れないじゃないか!!


「なんてね。私がお願いした事だから、別にカツオ様が責任を取る必要はないからね!」


「い、いや。別に俺はいいけど・・・」


 何を言っているんだ俺は!せっかく良いって言っているじゃないか!!


「えっ?本当に?」


「お、おう!」


「そ、それじゃあ。よろしくお願いします?」


「こちらこそ?」


 お互いなんか良くわからない感じで付き合うことが成立してしまった。そして、お互い疑問形だったことに対してなんとなくおかしくなって二人で笑っていた・・・ら。


「ちょっと待ったーーーーー!!そのお付き合い!異議あり!!」


「ちょっ!!アイリ!え?ドアはちゃんと鍵かけていたはず・・・」


「手にドアノブ持っているね・・・」


 どうやら、思いっきりドアを開けて破壊したようだ。さすがアイリさん。


「あっ!これは・・・えっと・・・。ごめんなさい。後で直します」


 すでにヒナタさんは服を着ていたが、突然の乱入である。というか、ドアを壊されたのだから、ヒナタさんの顔がちょっと怖い。アイリさんは慌てて謝罪する。


「で?何の用?私はこれからカツオ様と将来についていろいろと考えていこうと思っているのだけれども?」


「ぐっ!そ、そのことについてお願いしたいのですが・・・」


「何?」


「私よりも彼氏をつくるとはけし・・・あの、えっと。ヒナタさん?その包丁はなんですか?」


「ん?これ?ちょっとおかしなことを言う人を刺身にしようかなって?」


「ええと。あの・・・。ほ、ほら!約束したじゃない?女同士の約束!」


「ふふふ。あの頃。私はまだ男だったから無効よ?」


「え?酷い!心は女だから女同士の約束だよね!って、言っていたじゃん!!」


「・・・しょうがないなぁ。あれでしょ?彼氏をつくる時は一緒に。っての」


「そう!それ!忘れてないじゃない・・・」


「大丈夫。その約束は破ってないわっ!」


「へ?で、でもさっき付き合う事になったんだよね?」


「いいえ!彼氏ではなく。旦那様としてカツオ様と付き合う事になったの」


「え?」


「だから、約束では『彼氏をつくる時は一緒』でしょ?私はその先を行く旦那様だからその約束は関係ないの」


「な、なんだってー!?」


 いつの間にか、俺は結婚することになっているようだ。まあ、責任を取ると言った以上。かまわないとは思っていたが。なんか、アイリさんががっくりと床に四つん這いになっている。土下座をしているようにも見えなくもない。


「あの・・・」


 アイリさんは震えながらもなんとか立ち上がって、俺のほうを見つめてくる。


「はい?」


「私も一緒にお願いします!」


「え?何を?」


「だから、私もカツオ様の奥さんにしてください!」


 なんか、俺のモテ期がいきなり来ていたようだ。だが、そんなことをいきなり言われても。アイリさんとは会って数日である。友達として付き合うのならまだしも、恋人を越えて妻にするというのは、正直ヒナタさんで定員オーバーである。


「却下」


 ヒナタさんが冷たい顔でアイリさんを突き放す。まあ、ここで甘やかしてしまったら、ややこしい事になるからね。


「そこをなんとか!なんなら籍入れなくても良いから!」


「却下!」


「ヒナタと私の仲じゃない!」


「却下!」


「お願いよぉぉぉぉぉ。カツオ様くらいなの。狩り後に逃げ出さなかった男はぁぁぁぁぁ!!この人を逃したら、私には先が無いのぉぉぉぉぉ!!」


「いや。アイリさん?それはさすがに思いつめ過ぎでは?狩りをしなければいいだけだし・・・」


「それは無理!」


「え?なんで?」


「あ~。アイリは最低でも一ヶ月に一回くらいは狩りでストレス発散させないと禿ちゃうもんね」


「戦闘狂とは思っていたけど、そこまで重傷だったんだ・・・」


「だから、カツオ様。お願いします。あなたしかいないんです!」


「いやぁ。さすがに俺じゃなくても探せば他にいると思うよ?」


「そうだよ!カツオ様は私の旦那様になるんだから!しっしっ!!」


「・・・恨んでやる」


「「え?」」


「一生つきまとってやる!幸せになんかしてたまるかぁぁぁぁぁ!!私をおいていくなぁぁぁぁぁ!!」


「アイリ・・・。そこまで・・・」


 言っている事はヤンデレまっしぐらなのだが、見た目はわがままを言って泣きじゃくる子供である。良くわからんが、ヒナタに置いて行かれるというのと、自分が誰にも愛されないという思い込みをこじらせているようだ。


「わかった。第二夫人として許可するわ」


「え?」


「ほ、本当に?」


「だって、そんなに泣いたアイリなんて子供以来じゃない。そこまで思い詰めていたなんてしらなかった」


「ヒナタぁぁぁぁぁ」


 ヒナタさんに抱きつき泣きじゃくるアイリさん。美人同士は絵になるが、言った内容はちょっと意味が分からない。


「あっ。カツオ様は知らないかな?この世界では多夫多妻OKなの。本人たちが納得していれば」


「え?何?この世界ではって?もしかして、カツオ様って・・・」


「そう。召喚者。だから、アイリも一緒で大丈夫だよ!普通は多夫多妻OKでも審査が通らないとダメだからねぇ~」


 どうやら、多夫多妻。つまり、夫か妻のどちらかが召喚者である場合にのみ許可の出る婚姻でハーレムや逆ハーレムOKのものらしい。召喚された者の遺伝子は強力なのか、産まれる子供は強い称号やスキル持ちなので、どんどん子供を産ませて、産んでという事で出来たのだが、一般人同士はもちろん。貴族でもよっぽどの理由が無い限りは審査が通らないものらしい。


 そういうわけで、なんか恋人通り越して、妻が二人できるようです。この世界に来てよかったのかな?




突然のリア充。爆ぜろっ!爆ぜてしまえ!!


次回。リア充爆発

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