第十一話 チート(小)
日雇いギルドの図書室を借りてスキルについて調べてみた。うん。さっぱり読めん!なんて書いてあるんだ!異世界に来たんだなぁ。ほんと。まあ、食堂のメニューが読めないから日替わり定食しか頼めないし、仕事を探すときには最初だけ聞いて、あとは絵柄(文字)で覚えて同じようなのを受付で確認したりしていたので問題なかったが、さすがに本となると無理だ。さっぱり読めん。
「しょうがないなぁ。それじゃあ、どこから読んであげようかな?」
なぜかヒナタさんが嬉しそうに俺の横で本を読んでくれる。ダメだ!俺!しっかりしろ!相手は男だぞ!!
「なんだか、こうしてるとカップルみたいだねぇ~」
笑顔で悩殺されそうだ。どうしよう・・・。もうそっちに行ってもいいのかな?
1時間ほど本を読んでもらった辺りで、いったん休憩にした。ヒナタさんが「喉が渇いたなぁ」というので、飲み物を買いに近くの屋台に二人で向かっている。俺が買いに行こうとしたのだが、なぜか一緒に行くと譲らずに結局二人で屋台に行き。飲み物だけでなく軽食を購入して公園のベンチで食べる事となった。そして、ホットドックをほおばるヒナタさんを見て、もう男でもいいじゃないかと思い始めていた。
「それで、何を習得していくか決められた?」
「そうだねぇ。まあ、習得条件を満たさないとスキル一覧に表示されないから。まずは、いま習得できるスキルの中から選ばないとねぇ」
「まあ、そうだよね。それで、いま何が習得できるの?」
「えっと、スキル習得軽減と取得経験値100倍と取得SP100倍に・・・」
「え?何それ?聞いた事ないんだけど!」
「え?そうなの?でも、表示されてるから習得できるんだよね?」
「ちょっと見せてくれる?」
「う、うん。いいけど。えっと、こうだっけ?」
「本当だ。初めて見たこんなスキル。凄いじゃない。これ最初に習得しておけば、あとで習得条件満たしたスキルが出て来た時にSP不足で習得できないなんてことなくなるんじゃない?」
「へぇ。なるほど。じゃあ、この三つはとりあえず習得しといたほうがいいと」
「さすがは召喚者。【探索者】の称号とスキルなしスタートだったとはいっても、これなら普通の人よりも強くなれるって!」
「だといいんだけどねぇ。まあ、とりあえずこの三つは習得っと」
「あとは街外の仕事を受けたいなら、戦闘系と探索系のスキルだねぇ。【探索者】の称号持ってるから、最初から剣術と地図と鑑定があるはずよね。うん。やっぱりある。スキル習得軽減っていうのは、どれくらい軽減されるの?」
「えっと。うわっ!これ凄いね。10分の1で済むよ!」
「え?本当に?それならさっきのスキル全部1SPで習得できるんじゃない?三つも習得して3SPしか使わないって、凄いわねぇ・・・」
「う、うん。なんか凄いね。じゃあ、習得しておくか・・・って、これっていま習得可能なの全部あわせてもSP余るね・・・」
「うわっ。ほんとだ!凄いねカッちゃん!」
「今までの何してたんだろ俺・・・」
「いやいや。しょうがないから。カッちゃんは異世界から来たんだよ?むしろ、レベル10で気が付けたのって、ラッキーだと思うし」
「そうだねぇ。これでレベル20まで何も知らずにレベルを上げていたら、もったいない事になっていたね。最初に気が付いていたら、11だから・・・11000SPになっていたのか!?うわ~。凄くもったいないことした・・・」
「い、11000SP・・・。それはさすがにもったいないね・・・」
「ま、まあ。習得条件満たさないとSP余るだけだよね」
「そ、そうだね。習得できないのにSPだけ持っていても意味ないよね。大丈夫。まだまだ巻き返せるって!」
ちょっと落ち込んだけど、いま習得できるスキルは全部習得してみることにした。すると、以下の通りになった。
・スキル習得軽減(500)
スキル習得に必要なポイントを10分の1にする。常時発動スキル。
・取得経験値100倍(100→10)
取得経験値が100倍になる。常時発動スキル。
・取得SP100倍(100→10)
取得スキルポイントが100倍になる。常時発動スキル。
・剣術Lv2(10・20→1・2)
剣の扱いが上手くなる。剣を持った時、筋力にボーナスがつく。常時発動スキル。
・地図Lv1(10→1)
行ったところのある場所が記録されて地図として確認できるようになる。任意発動スキル。
・鑑定Lv1(10→1)
見たものが何であるか、名称や説明が表示される。そして、レベルに応じて詳しい情報を見ることができる。任意発動スキル。
・魔法Lv4(10・20・30・40→1・2・3・4)
レベルに応じた魔法が使用できるようになる。ただし、属性魔法はその属性スキルを習得していないと使用できない。
・四属性(100→10)
火・水・風・土のすべての属性に適性を持つ。
・アイテムバッグ(100→10)
物質を保存できる空間が使用可能になる。
アイテムバッグ内に入れても時間経過は変化しない。また、保存できる物質の大きさや数量の上限は筋力に比例する。
・空間移動(100→10)
一度行ったことのある場所に魔力を消費することによって移動することが可能になる。ただし、室内や地下など閉鎖空間にいると使用できない。
・体力増強Lv3(10・20・30→1・2・3)
レベルに応じて体力に補正がかかる。また、レベルが上がる際に体力にボーナスが得られる。
・筋力増強Lv3(10・20・30→1・2・3)
レベルに応じて筋力に補正がかかる。また、レベルが上がる際に筋力にボーナスが得られる。
・敏捷増強Lv3(10・20・30→1・2・3)
レベルに応じて敏捷に補正がかかる。また、レベルが上がる際に敏捷にボーナスが得られる。
・知力増強Lv3(10・20・30→1・2・3)
レベルに応じて知力に補正がかかる。また、レベルが上がる際に知力にボーナスが得られる。
・魔力増強Lv3(10・20・30→1・2・3)
レベルに応じて魔力に補正がかかる。また、レベルが上がる際に魔力にボーナスが得られる。
・文字解読MAX(10・20・30・40・50→1・2・3・4・5)
レベルに応じて文字を読み解くことが可能になる。ただし、アメリア語のみ。
以上となった。レベルがあるスキルはレベルを上げるごとに効果が上がるそうなので、上げておいた。本当は増強スキルをすべてMAXにしたかったのだが、SPが足りないのでしょうがない。まあ、次レベルが上がったら1000SP取得するから余裕で上げられるだろう。
「凄いねぇ。なんか、あっという間に私よりも強そうなスキルになったね」
「うん。これでようやく街外仕事を受けられるよ。それに文字も読めるようになったし」
「そこは私がじっくり教えてあげても良かったのになぁ~」
「いや。さすがにそこは理性が持たないと思うのでね・・・」
「え?」
「なんでもないです」
「じゃあ、この後さっそく街外のお仕事受けてみるの?」
「そうだね。そうしようかな?でも、魔法ってどうやって使うの?」
「あ~。そうだね。初期魔法はいくつか習得していると思うけど。それ以外の魔法を習得するには魔法書を買わないといけないね」
「魔法書?」
「そう。魔術師ギルドで売っているんだけど。一冊1万エルンはするよぉ~」
「うわ。高いな・・・」
「でも、街外仕事なら稼げると思うから、大丈夫じゃない?」
「そっか。そうだよね。よっしゃ!頑張るぞ!」
「うん。頑張って!あっ!そうだ!私も一緒に行こうかな?」
「え?」
「カッちゃんと一緒なら街の外も怖くなさそうだし」
「え?ああ。うん・・・」
「え?だめ?」
「い、いや。いいよ?というか、俺と一緒でいいの?」
「うん!カッちゃんと一緒なら大丈夫だよ!」
「お、おう!任せておけ。たぶん大丈夫・・・」
「あははは!そこはたぶんつけないほうがかっこいいのに~」
うん。もうダメだ。ヒナタさんなら男でも関係ないな。いざという時は受け入れよう・・・。
「あ。カッちゃん。魔法スキルのレベル。4にしたんだっけ?」
「え?うん。そうしたけど。ダメだった?」
「ううん。ダメじゃないけど。実はね・・・」
ヒナタさんはなんだか深刻そうな顔で俺の顔を見つめてきた。
「な、何?」
「あのね・・・。お金は私が出すから習得して使って欲しい魔法があるの!」
「使って欲しい魔法?」
「うん。でもまだお金が全然足りてないから、貯まったらまた改めてお願いするけど。いいかな?」
「え?ああ。お金を出してくれるなら別に良いけど・・・」
「本当に!?ありがとう!」
嬉しさのあまりなのか、俺に思いきり抱きついてきた。なんだか良い匂いがする・・・。あ、やばい。息子よ!静まれ!!起きてはいけない!いま起きてはいけない!!
「あっ!ごめん!嬉しくて思わず・・・」
あ、危なかった。荒ぶる息子がヒナタさんにばれる寸前だった・・・。うう・・・。もうダメだ。なんかダメだ・・・。
「ど、どうしたの?なんだか急に元気が無くなったけど・・・。やっぱり私なんかに抱きつかれて迷惑だった?」
「いや!迷惑ではないから、というか迷惑じゃないから困っているだけで・・・」
「え?迷惑じゃないから何?声が小さくなっていって聞き取れないよ?」
「うん。迷惑じゃなくて。単に・・・そう。ちょっと怖くなってね」
「え?怖い?」
「そう。ほら、街の外って今まで避けて来たのに、ヒナタさんを連れて大丈夫かな?って」
「そっか。そうだよね。私もひとりじゃ怖いから、カッちゃんと一緒だったら大丈夫かな?と思ったわけだし。なんかごめんね」
「いや。むしろ、びびり過ぎだよね。スキルをガッツリ習得したんだから大丈夫だよね」
「そうだよ!きっと大丈夫だって。一応、私も精霊魔法が使えるんだから!」
「うん。それじゃあ、街外仕事を受けてから、武具屋と道具屋に行こうか」
「私。装備は一応持っているから、戻って取ってくるね」
「そうなんだ。了解。それじゃあ、日雇いギルドで仕事を受けて待ってるから」
「は~い!じゃあ、すぐに取ってくるから」
ヒナタさんが走って行く後姿を見送ってから、日雇いギルドに向かった。
前回主人公に比べると小さなチートスキル。だが、異世界の人たちにとっては十分チートである。
次回。ヒナタさんと一線を越えてしまうのか?美人だけど男。しかし、それでも関係ないと思い始めてしまったカツオ。果たして!?




