開始地点
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夢を見た。誰かと一緒に立ちすくんでいた。なぜだか悲しみと、怒りが込み上げてくる。
ーーー「絶対に・・・許さない・・・」
進級してから2日目の朝、珍しく拓斗に起こされた。
拓斗「珍しいな。お前がなかなか起きないなんてな。」
逸騎「・・・あれ。もう朝か。って今日入学式か!」
拓斗「そうだぞ。俺のかわいい妹が入ってくるからな。」
拓斗には妹が居て名前は<山下開花>。腰まで伸びた茶色い髪が特徴的な子だ。山下兄妹とは昔から遊んできた仲でこの学園に入学する前にもよく遊んでいた。そんな会話をしているうちに学食の時間になったので、俺と拓斗は慌てて登校した。
学食での昼食を済ませ、その後入学式に出席した。そして今日は、なんと卒業生との試合がある。これは成績上位者3人がそれぞれ割り当てられた人と異能力を使った模擬戦を異能力を使う為だけに特設したフィールドで行う。卒業生の内の数人は学園に残って在校生の指導に当たる予定になっている。俺の相手は・・・
拓斗「<春日俊哉>さんだ。あの人すげー頭の良いよな。」
逸騎「なんでも異能力の扱いが卒業生の中でもトップクラスだったとか。」
拓斗「そんな人に勝ったら凄いな。」
逸騎「まぁ頑張るよ。」
すると突然
開花「久しぶり!拓兄!」
拓斗「おお!開花じゃないか!久しぶりだな!見ない内にまた綺麗になったな!」
開花「そう?まぁ拓兄が言うならそうかも!」
相変わらずのシスコン&ブラコンである。でも見ていてなんか面白い。
開花「あっ!逸騎。久しぶりだね。」
逸騎「久しぶり。1年半ぶりくらいか。にしてもやっぱ可愛くなったな、開花。」
開花「あ、どうも。」
この落差。兄貴に言われた方が嬉しいらしい。なんか悔しいな。
そうこうしているうちに、卒業生との力比べの時がやって来た。模擬戦は3人、別々の場所で同時に行う。
逸騎「じゃあ行ってくるわ。」
拓斗「まぁ勝てとは言わないが、あっさり負けるなよ。」
開花「拓兄もこう言ってるし、頑張って!」
模擬戦開始地点に向かう途中、吹雪に出会った。なんかそわそわしてる気がする。
逸騎「どうしたんだ、吹雪?なんかそわそわしてるけど。」
吹雪「負けたりしたらどうしようとか、変に考えちゃって。」
逸騎「負けたっていいんじゃないか?試合が終わった時、いい勝負だったって言えていれば。」
吹雪「いい勝負ってどんな勝負?」
逸騎「そうだなー、俺は相手から何かを学べた勝負かな。そこで学べた何かはきっとこれから自分の力になっていくんだと思う。」
吹雪「おぉ、緋神君がまともな事を...。でもその考え方いいね!もーらった!」
逸騎「どんどん活かしてくれよ。」
そんな会話をして、俺と吹雪はそれぞれの開始地点へ向かう。もう1人の2年生、実技成績1位の<敷島雅>さんは、開始地点にもう向かったのだろうか。何はともあれ、目の前の事に集中しなければ。
卒業生との真剣勝負が今始まる!
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