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魔女の世界  作者: 小林久奈
レド編
3/19

召喚魔法

 師匠の見送りをした俺はイルニールを連れて、師匠、バルムの部屋に来た。もちろん片付けのためだ。本という本が床に散らばってる部屋の惨状は、何度見ても溜息しか出てこない・・・


「ねぇ、レド・・・これって・・・」

 あまりの本の山にイルニールが恐る恐る聞いてくる。次に来る言葉は多分、ぼくもやるの?だろう。もちろんだ、そのために連れてきたんだからな。俺一人でこの本の山を片付けるのは、さすがに骨が折れる。


「さっさと終わらせるぞ。あのババアが帰ってくる前にな」

「・・・あ、うん・・・」


 本を拾いながら部屋の中に入る、まずは本棚までの道を作る。本棚に本を入れられれば、あとは減ってくだけだ・・・そのはずなんだが・・・

 面倒なことに、この部屋は壁が全部本棚である。ベッドは中央に置かれ、窓もベッドに光が差し込む程度のサイズだ。一言で言えば書庫。書庫を自分の部屋にした感じだ。何冊あるかなんて、数えたくもないし知りたくもない・・・

 ひたすら本棚に本を戻すという作業をしていると、近くで、わぁ、とか、おぉ、とか聞こえてきた。

振り返ると、イルニールが本の表紙やタイトルを見て、感動やら感激やらで逐一声を上げていた。頼むから、そういうのは全部終わってからにしてくれ・・・。

 俺自身、この本の山を早く片付けたい理由がある。無限の魔女の存在だ、今は眠っているからいいものの、起きていたら絶対、読みたい~!と頭の中で騒ぎ出すにきまっている。(というか、騒がれたことがある)ババアの本は全て、魔法に関する本、魔法書なんだから・・・。


「ところで、レド・・・」

「なんだ?」

「あそこにはどうやって本を入れたらいいのかな?」


 イルニールは本棚の一番上の段を指差した。壁が本棚のこの部屋は、天井ギリギリまで棚がある。つまり、上の段は確実に身長が届かない。脚立があればいいが、この屋敷には存在しない・・・


「あー・・・面倒くさいけど、やるしかないな・・・」


 俺は手ごろなサイズの絨毯を別の部屋から持ってきて、その上に本を何冊か積み上げた。

そして、意識を集中し絨毯に魔力を注ぐ・・・俺と本を乗せた絨毯はふわりと浮かび、本棚の一番上まで昇った。それを見ていたイルニールは、目を見開いて感動していた。いいから手を動かせ・・・


「すごい!すごいよ、レド!やっぱり、魔女の弟子はすごいや!」

「・・・・・・いいから早く片付けろ」


 俺は少しイラつきながら、イルニールを睨みつけた。それを見て、ごめん、と慌てて手を動かし始めた。俺が上の段を、イルニールが下の段に本を次々片付けていく。俺の場合、絨毯に本を積み上げ、魔力を込めて上まで上がり、絨毯に積んだ本を本棚にしまい、絨毯を下ろしてまた本を積み上に上がる。と、手間がかかる分、イルニールより時間がかかる・・・本を乗せすぎると上がれないから、仕方がないんだが、魔力を毎回消費するので非常に面倒だ。


 半分くらい片付いた頃だろうか、イルニールが休憩しようと提案してきた。俺としては早く片付けたかったが、魔力の使いすぎで疲れてきたのもあり、提案をのむことにした。魔女ぐらいの魔力があればそうそう疲れないらしいが、俺は魔力が少ないようですぐに疲れる。よろよろと歩いていたら、バランスを崩したらしい、まだ手付かずの本の山に倒れこんだ。


「ぅわっ!?」

「だ、大丈夫!?」


 本の山に倒れこんだ俺を見て、イルニールはすぐに駆け寄ってきた。立てなそうな俺を見て、お疲れ様、と手を差し伸べてきた。俺は魔力の使いすぎを痛感し、イルニールの手をとり、立たせてもらう。なんとも情けない・・・。

 立ち上がった時、バサリと一冊の本が落ちた。それが普通の本だったら、気にも留めなかっただろう。今までの本とは違う、小さくて薄いノートのようなものだった。興味を持ったのはイルニールも同じで、その落ちた本を拾い上げてページをめくった。次の瞬間、イルニールは驚愕の表情を浮かべ、食い入るようにページをめくっていった。俺自身もその本が気になったので、イルニールに話しかけた。


「イルニール、その本はなんだ?なにが書いてあった」

「すごよこれ!レドも見てごらんよ!」


 そういってイルニールは俺にその本を渡した。よくよく見ると、やはりそれは本ではなく、誰かの書いた魔法研究のノートだった。ノートにはたくさんの魔法陣と、その仕組みや流れなどが事細かく書いてあり、とても熱心に魔法の研究をしていたことがわかる。そして、研究されていた魔法は・・・


「異世界の住人を呼び出す、召喚魔法・・・」

「すごいよね!別の世界の存在は信じられていたけど、まだ誰もそれを証明できてない。でも、この魔法があれば、それを実証できるんだよ!」

 興奮気味にイルニールは話す。確かにこいつの言うとおりだけど、それだとこの魔法は完成しなかったことになる。「まだ」、「誰も」、「証明できてない」、のだから。少なくとも、こんな魔法、俺は知らない。それとも・・・表沙汰にならなかっただけ・・・?


「・・・レド?」


 ノートを見たまま動かなくなった俺を、イルニールは心配そうに覗き込んでいた。すっかり考え込んでしまったようだ。このノートに書かれた召喚魔法は、魔法陣で異世界への道を繋ぎ、使用者の魔力に応じた住人を呼び出すものらしい。つまり、この魔法が完成しているものだとしても、俺やイルニールの魔力じゃ、せいぜい小動物ぐらいしか呼び出せない。なら・・・


「イルニール、試してみないか?この召喚魔法」

やってみる価値はある。いや、試してみたい、この魔法を!


「えぇ!?ダメだよ、片付けだってまだ終わってないのに・・・」

「お前は気にならないか?異世界の住人がどんなものか」

「そりゃあ、気になるけど、でも、危険生物を召喚しちゃう可能性だってあるんだよ?」

「俺とお前の魔力で、そんなものが呼び出せると?」

「・・・思いません・・・」


 自分の魔力の程度なんて自分でわかってる、だから危険が少ないと確信できる。それはイルニールも同じだ。こいつが心配してるのは、そんなことじゃない。


「で、でも、お師匠様に怒られちゃうよ!」

 イルニールは師匠バルムを崇拝している。だから、師匠の許可なく何かをするのを極端に恐れるんだ。まぁ、あのババアを怒らせると確かに怖いが・・・今はいない。絶好のチャンスなんだ


「今を逃せば、この魔法は一生試せないぞ。お前はそれでもいいのか?」

 これは嘘やハッタリじゃない。おそらくバルムはこの魔法を許可しないだろう。下手をすれば、このノートは処分される、そうなったらもう二度と試せない。だったら・・・


「・・・わかった・・・やろう。」

「決まりだ。庭に行くぞ」


 ようやく折れたイルニールに肩を借り、屋敷の裏にある庭に向かう。魔法陣を書くには地面とある程度の広さが必要だからな。結界の関係上、ここしか場所がないとも言えるが。



 庭に出た俺たちは、育てた野菜に被害が及ばないようにできるだけ距離を置き、ノートに書かれた魔法陣を地面に書き写していく。かなり細かく書かれているところを見ると、道を繋ぐこと自体が大変だったんだろう。


「イルニール、そっちはどうだ?」

「こっちは書き終わったよ。レドは?」

「俺も終わった。・・・準備はいいか?発動するぞ」

「うん・・・」


 全て書き終え、俺とイルニールは一旦、魔法陣の外に出て地面に手をつけ集中する。あとは魔法陣に魔力を注げば、異世界の住人を呼び出せるはずだ。描いた魔法陣が光を帯びて、光のドームを作り出す、それは徐々に広がり俺とイルニールを、屋敷を、森を、包み込んだ。

 成功したのか?強すぎる光を前に目を開けていられない。光が消えるまで俺は目を開けられなかった・・・



 光が消えて目を開けると、視界がぼやけていたが、魔法陣の中に「なにか」がいるのがわかった。魔法は成功した!そう喜びたかった・・・視界がはっきりして、「なにか」を認識するまでは。

 俺とイルニールの魔力を全て使ったとしても、呼び出せるのはせいぜい小動物、手のひらサイズのものが限度だろうと思っていた。今でもその予想は間違っているとは思えない。


 しかし・・・魔法陣の中で座り、きょとんとした顔を浮かべているのは、どこをどう見ても人間の、少女だった・・・



「・・・・・・なに、これ・・・」

描写がわかりにくいのは、私の文章力が足りないからです・・・

すみません・・・

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