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存在干渉の法則  作者: たびくろ@たびしろ
二人の同型真像の少女
87/110

諦め

カラン、と。

渇いた小気味いい音が、辺りに響き渡る。

エノ君は、傷ついていない。私も、傷つけていない。

結局。



私は、彼を、傷つけられない。



それを示すかのように、包丁は暗がりのアスファルトに転がった。

「……く、ぁ」

それでも、私はエノ君を押さえつける。なぜなら、彼が起き上がろうと抵抗しているからだ。少しでも力を緩めれば、私はエノ君に殺される。体勢を逆にされ、絞殺されるか、包丁で刺殺されるか。

「……なん、で……なに、何なの……?なんで、こんなことに……!?」

彼の上にのしかかる。両手首を押さえつけ、足は自らの体重でなんとか止めていられている。

どうして、彼はこうなってしまったのだろう。

少なくとも正気ではない。まるで誰かに操られているような無表情、そして普段の非力な彼からは考えられない身体能力。

そして、彼から発生した同型虚影(ドッペルゲンガー)の反応。

(裏世界から、誰かが操っている……!?いや、でもそんな……!!)

しかし、先程の機械的な口調は、確実にその考えを裏付けるものだ。

しかも。

(あの時……)

彼と出会ったばかりの、あの夜。

仕方なく彼と添い寝していた私は、見てしまっていた。


機械的に身体を起こす彼を。


悪魔のように私を見つめる、漆黒の目を。


そして、彼はそれを覚えていなかった。思い出すことも、無かった。

つまりエノ君は、操られていた。裏世界の誰かに。恐らく、あの『黒い目』で。『Black-eye』で。

最初、彼と出会った時に疑うべきだったのかもしれない。彼が何故、いきなり私の部屋に現れたのか。玄関も経由せず、唐突に。

答えは簡単だ。あの偽者と同じく、『界転(リバース)』でやってきたのだ。だって彼も、エノ君も、同型虚影(ドッペルゲンガー)なのだから。

もちろん、全ての同型虚影(ドッペルゲンガー)が『界転(リバース)』を使えるわけではないだろう。現に、偽者の私はそんな素振りは見せなかった。

しかし、榎田サンは言っていた。裏世界の榎田サンは、『界転(リバース)』を使えた、と。

……だけど。

私は、信じたくない。

目の前の少年の自由を奪いながら、私は思う。

(エノ君は……私の、支えだったのに……!)

神代君が居なくなった隙間を、彼は塞いでくれていた。

優しい笑顔で、助けてくれていた。

時折ウジウジしてて、だけど次の瞬間には笑ってくれていて。

私は。


エノ君が、大好きだった。


純粋な気持ちで。恋心とは違う、まるで家族愛のような。

だけど。

目の前の少年は、無表情だ。悲しいほどに、無表情。私の声など、届くはずがない。

あまりにも、力不足だ。

結局、私は彼に何をしてやれた?一緒に過ごして、彼に助けてもらっていただけではないか。

そして、現時点だって。

彼を、力ずくで押さえ付けているだけじゃないか。

「…………っ!!」

自然と、涙がこぼれる。ポタポタと、エノ君の頬へと落ちる。

それを目の辺りにしてなお、エノ君の表情は変わらない。悲しさも、愛しさも、悔しさも、一切浮かべない。

そんなんなら、いっそ死んでしまえばいいんじゃないか。

こんな、何も出来ない私なんて。

助けてもらってばかりで、自分では何も出来なくて。

そのくせ目の前の少年を、救うことすら出来ない。

殺せ、じゃない。

死ね。

私が。

死ね。

死んでしまえ。

私が、死んでしまえば。


そんな悲観的な意見に従って、


私はゆっくりと、エノ君を掴む手を離した。


後は、私の考えていた通り。


エノ君は、即座に体勢を変えてきた。私を押し倒し、私の上にのしかかる。


包丁には、目もくれなかった。その手で、その幼げな両手で、私の首を掴む。


どんどん、力が強くなる。


私の吐息が洩れて、空気へと溶ける。


意識が薄れる。


それで、おしまい。


私は――――――死んだ。

文章力が低いなぁ……やばい、どうしましょうか(汗)

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