白い世界
白。
真っ白。
真っ白な世界だ。
そんな何もかもが真っ白な世界に、僕は居る。
明暗も、強弱も、何もない世界。
ただ、白だけに支配された世界。
それと対称に、僕には色が付いている。
嬉しさ、楽しさ。
悲しさ、寂しさ。
全部全部、僕の中に集約されていく。
だけど、僕は溜め込むだけの存在。吐き出す事を、許されない存在。
この白の世界の片隅で、僕は今、膝を抱え込んでいる。
疲れた。
疲れた、という感情だけが、頭の中を駆け巡る。終わらない白い世界が、僕の精神を疲弊させる。
死ぬ、なんて事はない。
死んで終わり、という事もない。
この白の世界では、そんな『可能性』は全て消え去ってしまう。
消え去る、というより、僕の中に蓄積されていってしまう。
だって、考えてみなよ。
可能性は、状況を変えるためのもの。例えば、一人の少年が逆上がりに挑戦するとする。
成功すれば、嬉しい。
失敗すれば、悔しい。
だけど、この世界にそんなものは必要ないんだよ。だから、この世界に『可能性』なんてものはない。
それのせいで、誰かが笑う。
それのせいで、誰かが泣く。
だったら、最初からそんなものはいらない。いつもと同じ日々、いつもと同じ事。
あらゆる『可能性』は、全て僕が吸いとってしまう。
この白い世界は、そんなものなんだ。
希望もない。
絶望もない。
何も進まず、
何も戻らない。
それが正しいわけじゃない。
それが間違ってるわけでもない。
答えのない、曖昧な世界。
だってそうでしょ?
答えだって、『可能性』を生み出す、一つの要因なんだから。
だから、僕は今日も考えない。
考えない。
『可能性』を、生み出さないように。
そう思って、僕は。
また、瞳を閉じた。
真打ち登場。かも。




