続・立花真咲の陰謀(良心型)
最近、トオル君が変だ。
私、立花真咲は一人きりの帰り道でそう思う。
学校で話しかけても反応しないし、抱きついても僅かに嫌な顔するだけで何も言ってこないし、帰りは私がついてきても何の反応も示さない。もちろんアッチ系の誘いも効果なし。
「……寂しいなぁ」
まだ、心に重荷を背負っているのだろうか。確かに最近、日常離れした事が多すぎる。トオル君が死にかけるわ、いきなり裏世界だの表世界だのと言った専門用語を叩き込まれるわ。
私自身も、初めて銃弾なんか食らったときは驚いた。自分と同じ顔の人間が現れて(私よりも数倍は人相が悪かったが)、気になって話しかけようとしたら、まるで鬼の様な形相で撃たれた。
幸いかすっただけで済み、今はもう傷は消えたが、それでも結構激しい出血だったらしい。
「……お見舞いにでも行ってみようかなぁ」
お見舞い、という単語で合っているのだろうか。まぁ、心のお見舞いという意味では間違ってないか。
なんかお菓子でも買って、彼の気分を晴らすことができないだろうか。ついでに夕飯の食材も買ってあげようかな。泊まり込みで付き合ってあげれば、きっと少しでも足しになるだろう。
……そして少し強引に同じベッドに入り、アレしてアレすれば私の夢も叶うってもんですよ。まさに一石二鳥。
「いいですね、そのちょっとエロいこと考えてる真咲さんの表情が最高にそそりますよ」
いや、もうもろにエロい妄想してるけど……。
って。
「え!?」
「こんにちはー真咲さん」
「あ、なんだ。小夜ちゃんかぁ」
二十八小夜。
私達のような『同型虚影』でも、表世界の『同型真像』でもない、またはどちらでもある少女。彼女によると『正体不明』というらしいのだが、少々変わった女の子だ。
なんか、私に好意を持っているらしいのだ。私がトオル君と親しげに話すと、不機嫌になってトオル君に文句を言う。一応中学三年生の女の子なのだが、一人称も僕なのも相まって、まるで男の子のような印象を与える。
彼女も学校帰りらしく、中学校の制服に手提げ鞄を持っていた。
「どうしたんですか、真咲さん。僕とのピンクな未来でも妄想してたんですか?」
「んなわけないから。私にそっちの趣味はない。むしろトオル君とのベッドインを妄想してた」
私がそう言うと、彼女は忌々しげに隠れて舌打ちした。トオル君に嫉妬し過ぎだろう、とは思う。実際、私もめんどくさいキャラだとは思うが、この娘はそれ以上だろうなとつくづく思う。
そんな小夜ちゃんを見て、私は小さく溜め息をつく。後から、柄にもない事をしたなと自覚した。
「……どうしたらいいかな」
「???どうしたんですか?」
「いやね、最近トオル君元気無いから励ましてあげたいなー、と」
まぁ、小夜ちゃんは小夜ちゃんで思考回路が独特だから、もしかしたらいいアイデアでも浮かぶかもしれない。とりあえず相談してみる。
すると、彼女は即答した。
「そんなの簡単です!男は女の子の裸体さえ見られりゃ元気になるに決まってます!下の方も含めて!」
「え~……、なんかトオル君そういうのあんまり乗らなそうだなぁ。恥ずかしいし……」
「いつも積極的なクセにビビってますね。どうでもいいですけど脱いで!ほら!僕も見たいですから!ほら!脱げ!」
「制服のボタン外そうとしない!やめろコロスぞ小娘が」
「うがっ!?」
強行突破にでる小夜ちゃんをアッパーカットで黙らし、そしてしばし考える。
「……うーん、トオル君が恥ずかしげにツッコんでくれるからいつもの大胆な私があるわけで……」
「イッテテ……つ、つまりは依存型ってわけですか。ちなみにツッコむなら僕が突っ込みたゴブェッ!?」
「突っ込むためのモノが無いでしょ、君は」
なんか今日はやたら下ネタが多い小夜ちゃんをエルボーで黙らし、私は余計に冷静になる。
「んー。やっぱし晩御飯でも作ってあげた方が心に残るかな……?」
「真咲さんの!?やった僕も行こー!!」
「貴様は来るな小娘」
「うぅ……酷い」
私が冷たい目線で睨み付けると、彼女は肩を落としながら帰っていった。何しに来たんだ、アイツは。
……よし。
「晩御飯作戦で行こう。そうと決まればさっさと帰って食材調達の為にスーパー直行。よし決定」
そう決めて、私は帰り道を急ぐ。
トオル君、元気になってくれるといいなぁ。
立花が久しぶりにでできたーイエーイ(歓喜)




