表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/110

彼女と私の出会い

江里姉ちゃんは、私が彼女と出会った時の事を話しだした。

それは、ざっと八年前の話。

「表世界の人間なら誰しもが知ってる話だけど、ある日一人の少女が行方不明になったの」

「……それが榎田サン、ってわけだね」

立花さんは特に考え込むこともなく呟いた。

そう、八年前、私は唐突に行方不明になった。

それまで何の前触れもなかったのに、突然行方をくらませたのだ。

「彼女が消えた事は日本中の大きなニュースになり、捜索もされた。でも、結局彼女は見つからなかった」

「その時、榎田サンはここで研究の材料にされてた。『蒼い目』の、研究材料に」

「正解」

『蒼い目』。それは、私のこの目の事だ。

驚いた時、集中している時。その時に、私の目は蒼く染まり、小さな疲労感を感じてしまう。それだけだと思っていた。

しかし、この『目』の本当の力。

それは『裏世界の反応を認識できる』事。

「二年後、彼女は唐突に家に現れ、そして気を失った。もちろん、二年間の記憶は全て消えている」

「……?水瀬、なんで榎田サンが二年ぶりに姿を表したとき、そのことがニュースにならなかったの?」

「彼女の母親が、騒ぎになる事を嫌ったからよ。まぁ、私達が少し手を回したってのもあったけど」

そうだ。

そして、私はここにいたことを全て忘れ、今までと変わらない『榎田舞』として生きてきた。

この『蒼い目』だけを、形見のように残しながら。

「……最初に言っとくよ、榎田サン」

「え?」

私は唐突に話しかけられ、慌てて立花さんの方を向いた。

彼女は、私の目を指差しながら言う。



「あなたは、いわば『私を量産するために作られた実験体』のようなものなの。あなたのその目は、後付けってことなんだよ」



「じ、実験体?」

私は多少顔を引きつらせながら答える。

「まぁ、直接言ってしまえばそんなものかしらね。でも大丈夫。私はあなたを実験体だなんて思ってないから」

江里姉ちゃんまでそんなことを言う。しかし、最後の言葉は優しい響きがあった。

「あなたが眠っている間、私は水瀬からある程度話を聞いた。あなたがここにいた二年間、私もここにいたんだよ。あなたのような『後付け』を増やすための『素材(ベース)』としてね」

「……よ、よくわからないよ。江里姉ちゃん、ちゃんと説明してよ」

すると、江里姉ちゃんは小さく笑う。

「わかったわよ。ほらほら、真咲ちゃんも離れる。その凄みのある顔で近づかれたらビックリしちゃうから」

「……悪かったね、凄みのある顔で」

立花さんは不機嫌ながらも私から離れる。実はちょっと恐かった。

「じゃ、今度こそ話すわよ。まぁ、舞ちゃんは知ってるだろうけど」

私は彼女の綺麗な声を聞きながら、過去の事を回想した。




「……ここはどこ?」

私が目を覚ますと、そこは知らない場所だった。

ベッドに寝かされている。

目の前には白衣の男性や女性が何人か居て、全て私を見ていた。

その時小学二年生だった私は、その状況に危機感は覚えなかった。好奇心が、先を行っていたのだ。

そんな私の言葉に、横にいた女性が答えた。

「ここはね、誰も知らない秘密基地。あなたはこれから、ここでヒーローになるの」

「ヒーロー?」

「そう、ヒーロー。格好いい目で敵を見つけて、ババッとやっつけちゃうヒーローなのよ」

「それ……かっこいい!わたし、ヒーローになれるんだ!」

その時は、すごく嬉しかった。なんでか知らないけど、嬉しかった。

気付くと、もう一人の女性が彼女に話し掛けていた。

「ホント、子供あやすの上手いわねぇ、江里。担当だからってはりきってんじゃないの?」

「いやぁ?別に、そんなわけじゃないわよ。でもね、一つ分かる。この子、将来可愛くなるわよ~」

「なんでそんなこと分かるのよ」

「だってそんな顔立ちしてるもの」

私は、最初に話し掛けてきた茶髪の女性が気になった。

「おねぇちゃん、えりっていうの?」

「え?あぁ、うん。そうよ?」

「じゃあ、えりおねえちゃんだぁ!」

私がそう言うと、彼女は照れたように頬を掻いた。

「江里お姉ちゃん、ね……。はは、なんかちょっとくすぐったいわね」

「どこかくすぐったいの?」

「いや、違うけどね……そういう意味じゃないの」

それが、彼女と私の出会いだった。

ちょっと短編も書いてみようかな……余裕があれば。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ