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接触する二つのチーム

「……で、結局いいのか?OKって事で」

「勘違いしないでよ。別にお前の仲間になったワケじゃないんだから」

そういって、彼女は俺にそっぽを向いてしまった。

今、部屋には俺と同型真像(オリジナル)の立花しかいない。立花はベッドに座り込み、俺は手近なソファーに座っている。

立花が二人だけにしてほしいと言ったので、他の奴らは居間に移動してもらったのだ。同型虚影(ドッペルゲンガー)の立花は出ていく時、何故か『トオル君は私の彼氏なんだからね!手ェ出したら承知しないから!』とか言っていた。彼氏じゃねぇし。勝手に決めんな。

「分かってるよ。舞を助けたあとに、どんな殺し方でもすればいい。でも、なんでアイツらを移動させた?」

「終わった後に殺すことがアイツらに知られたら、アイツらは全力でお前を守ろうとするからだよ。榎田サンを助け終わった後、アイツらに知られないように私の所に来て。殺してあげるから」

立花は、先程と変わらない憎悪に満ちた視線で俺を見た。変化のないその紅い視線は、覚悟を決めた俺でさえも、少しだけ怯えてしまった。

「あ、あぁ。じゃあ、OKって事で。それじゃ、聞きたい事があるんだけど」

「……何?どうせ私の連絡先についてでしょ?」

「まぁ、そんなとこだ。なんでお前は舞の番号を知ってるんだ?」

「『あの人達』に聞いたんだ。お前は知らないと思うけど、あの時榎田サンを逃がしたのは私だよ」

そうだったのか。俺は素直に驚いた。

あの錯乱していた舞と誠が何故あんな冷静に同型虚影(ドッペルゲンガー)の舞から逃げられたのかと思ったら、なるほど、そういう事だったのか。

「私の『紅い目』で裏の榎田サンを確認したから、携帯電話で榎田サンと繋げて、逃げ道を教えてあげたの。ま、あの後榎田サンから聞いた話によると、榎田サンの偽者は携帯のGPSを頼りに追ってたらしいけどね」

「それから舞とは連絡は取ってんのか?」

「ぼちぼちね。とりあえず事後報告だけ聞いて後は放置してたんだけど、なんか榎田サンが私とお前に恩義を感じちゃったらしくてね。たまに電話とかメールとか来るのを返してたとか、そんな感じだよ」

「ふぅん……でも俺には何も来なかったけどな」

「お前は同型虚影(ドッペルゲンガー)でしょ。そもそも世界が違うから。同型真像(オリジナル)の榎田サンが連絡取れるハズがないよ」

確かに、言われてみればそうかもしれない。世界が違うのに、電波が世界を越えるハズがないのだ。ていうか、番号交換してないし。

「番号交換してないんだったら教えてあげようか?別に私にとって損はないはずだし」

「サンキュー。お前、結構優しいな」

「えっ、そ、そんなワケじゃ……こ、殺すぞバカ野郎」

乱暴にピンクのタッチパネル式の携帯を渡してくる立花。まだ殺すのは勘弁してほしいです。

「ん?お前ガラケーなの?」

「あ?あぁ、そうだけど?」

「うわ、ダッサ」

「うるせぇな俺小学生の時に買ってもらってから替えてねぇんだよ。っていうかこれどうやってやるんだ?」

「ったく、貸して。これをこうしてっと……えっと、あれー?私逆にガラケーの使い方が分かんないんだけど」

「ちょっと貸せよ、だからこうやってこうして……おい、これどうすんだ?」

そんな感じで、たかがオンナノコ一人の携帯番号を教えてもらうのに五分はかかっている、時代の違う二人の高校生でした。ていうか、おじいちゃんに機械を教えている孫みたいな感じだな、おい。




「そっくりさんってマサキより顔恐くないね」

「まぁ、アレと違って健康的ですから」

居間のソファーに隣り合って座りながら、私とエノ君はこっそり同型真像(オリジナル)に陰口を叩いていた。いや、叩いてるのは私だけだけど。

「真咲さん可愛いです、キスしてもいいですか」

「やめて、ファーストキスはトオル君とって決めてんだから」

そして半ば半壊状態のテーブルを挟んだ向こうでハァハァ吐息を漏らしながら真っ赤な顔をしてる小夜ちゃんが猛烈に気持ち悪い。何故私に対してこうも積極的なのだろうか。

「ふぁーすときす?なにそれ?」

「大丈夫、エノ君には関係ないから。この気色悪い百合女が勝手に言ってるだけだから。気にしないで」

既に小夜ちゃんは私服に着替えていた。胸の下までしかないパーカーを、それより短いシャツの上に着ており、袖は肩からまったくなかった。下は太ももがもろに見える短パンで、なんというか露出がヤバい服装だった。

「……なんかサヨ見てたらドキドキしてきた」

「まぁ、露出がスゴいですからね、この格好。ほら、ヘソ丸出し」

「こんなちっちゃい子の前でなんちゅう格好しとんじゃい」

「ほら、真咲さん興奮してきたでしょ?」

「いや、同性には興奮しない」

私はしごく当たり前の事を言っただけなのだが、えらくガッカリしている小夜ちゃんを見ると、なんだか申し訳なくなってきた。

「まぁ、可愛いんじゃない?っていうか、男が寄ってくると思う」

「可愛い……?カッコよくはないんですか?」

「カッコいい……のかな?まぁカッコいいかも。なんかRPGとかで男主人公がそんなに着てても違和感はない……気がする」

「っしゃ」

「何故にガッツポーズか、あなたは」

私は思わず溜め息をつき、そしてエノ君を見た。エノ君は目の前の露出魔に目を奪われっぱなしである。

これではイカン。悪影響だ。……しかし、こんな奇抜な格好のこの子も結構目を引くだろう。

まず、染め上げたかのような緑色の頭髪。眼球が真っ黒な右目。身体中についた枷のような金属輪と、それに繋がったコード。彼に『人造人間』を連想する人は、きっと少なくないだろう。

でも……なんか可愛い。性格が純粋すぎて、見た目とのギャップがヤバい。

「あーもう可愛い!!」

「ちょ……フガッ!?そ、そっくいふぁん!!胸が……むえがぁっ……!!いき、できな……!!」

「あ、ごめん。可愛すぎて唐突に抱き締めてしまったよ、仔猫ちゃん」

「真咲さん、なにカッコつけてんですか」

「ぶはぁ!!そっくりさんのせいで死ぬとこだった……!!」

「どうよ、ワタクシの豊満な胸は。ボン・キュ・ボンの頂点を行く女性の抱擁なんて、そう簡単には味わえないよ?」

しかし、やはりエノ君は恐い顔で、

「ホントに死ぬかと思ったよ!!」

「ふーん、まだ巨乳に喜びを得るほど性に対して認識がないのか」

「僕も抱き締めてくださいよ、真咲さん」

「あなたはそこのテレビにでも頭突っ込んでなさいな」

「ヒデェ……」

小夜ちゃんは心底ガッカリしたような顔を浮かべていた。まぁ、別にいいけど。

そういえば、そっくりさんって呼び名嫌だな。だからといってマサキじゃ同型真像(オリジナル)と被るだろうし。さて、どうしたもんか。

「エノ君、私のあだ名考えてよ。そっくりさんじゃないあだ名」

「やたら胸のでかいお姉さん」

「絶対恨みこもってるよねそのあだ名!!ていうかあだ名じゃなくないそれ!?」

「胸」

「もはや一文字で済まされた!!さっきのそんなにお気に召しませんでしたか!?」

すると、小夜ちゃんが急に顔を上げた。

「僕は十分お気に召しましたよ真咲さん。あなたのその豊満なおっぱ……」

「いや、あなたに聞いてないから」

「なんか僕の時だけさばき方冷たくないですか!?」

「ねぇ、エノ君。ちゃんとしたのないの?」

エノ君は、今度こそちゃんと考えている感じで悩んでいた。

そして、

「マサキ二号」

「どっかのロボットアニメか!?」

「マサキMk-2」

「根本的に変わってないじゃん!!呼び方変えただけじゃん!!」

「マサキング」

「なんか昔あったねそんな感じのジャンケンで戦うやつ!!懐かしいね!!でも却下!!」

「マサキっち」

「それもあったね!!ちっこいの育てるけど違う!!却下!!」

「忙しいですねこの応酬。いつまで続くんですか。っていうかマサキっちでいいんじゃないですか?」

すると、エノ君は目を輝かせて、

「いいよね!!うん、そうする!!よろしくね、マサキっち!!」

「え、決定!?じゃあいいよ、君はエノっちね」

「うん、いいよエノっちで」

(いいんだ……っていうかあっさりと決まったなぁ)

後から恥ずかしすぎて死ぬほど後悔するのだが、今の私は知る余地もなかった。

懐かしいですね、某甲虫王者。作者もよくやってました、小さい頃に。ちなみに某携帯型育成ゲームはやってませんでした。

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