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存在干渉の法則  作者: たびくろ@たびしろ
裏・榎田の過去編
26/110

過去~仲のいいお昼頃~

「ご飯食べたらすぐに行こうね!ね!」

「はいはい分かったわよ。だから貧乏揺すりしないで黙って座る」

お昼の12時半。私は居間の食卓に誠を座らせ、私自身はキッチンの前でホットケーキの元を作っていた。

「お姉ちゃんのホットケーキ早く食べたいなぁ~!早く!早く!」

「分かった分かった行儀悪いからナイフとフォークでテーブルを叩かない」

そんなウキウキ感が滲み出ている弟をなだめながら、私は卵と牛乳を混ぜ合わせる。自慢になるわけじゃないが、私の得意料理はこれだったりする。まぁ、私が作る料理(料理と言えるのかわからないが)の中で、ホットケーキが一番誠に気に入られているだけなのだが。

「ほら、一人ではしゃいでないでホットプレート出しなさいよ。場所分かるでしょ?」

「えー分かんないよぅ」

「まったくしょうがないわねー。冷蔵庫の横に立て掛けてあるでしょ……って違うってなんでお鍋持ってくるの!?違う違う、それじゃないってそっち……蓋だけ持ってこないでよ!!あーもういいわよ私が持ってくるから!!」

私は苛立ち、ホットプレートを鷲掴みにして持っていった。誠は、何だか俯いている。

「どうしたの?」

「……ごめんね。役に立たなくて」

私のシャツの裾を弱々しく掴みながら、涙目で誠は呟いた。


……まったく。ホント弱虫なんだから。


私は誠と目線を合わせるため、中腰になった。その目に浮かんだ涙を人差し指の背でぬぐい、その頬に手のひらを当てた。この方が落ち着くかと思ったからだ。

「そんなことないわよ。ったく、アンタすぐ泣かないの。もう小学三年生でしょ?」

「うん……」

「だったらウジウジしない。ほら、一緒にホットケーキ作ろ?」

しかし、誠の表情は未だ晴れない。俯いたまま、涙声でこう言った。

「でも……お姉ちゃん僕の事嫌いになったでしょ?」

「え?」

ぷるぷる身体を震わせながら、誠は私を見る。その緑色の瞳からは涙が溢れていた。私がさっきぬぐったにも関わらず。

「僕がお姉ちゃんの役に立たないから……嫌いになったでしょ?」

まーた始まった、誠の被害妄想。まぁ、小学生くらいになったらみんなこんなモンかしら。

小学生によくある、『何も言ってないのに勝手にいじける』っていう奴。ホント、同じクラスの男子でもこんな奴がいるから困るのよね。私が他の女子と男子が喧嘩してるのに加勢したら、男子はよく『こいつが俺の事バカにしてきたんだ!』とか。私は一言たりとも喋ったりしないっていうのに。あれ、何か違う気が……まぁいいか。

とりあえず、慰めなくちゃ。まぁ、この手のいじけは(アイツ)十八番(おはこ)だったからね、対処法は分かってんのよ。

「そんなわけないじゃない」

「え……?」

誠は驚いた様な表情を浮かべる。なに、ホントに私がアンタの事嫌ったと思ってんの?そんなわけないじゃない。

お姉ちゃんは、



「お姉ちゃんは、誠の事大好きだよ。だから泣かないで、ね?」



そう言って、私は誠の頭を撫でてあげた。ありったけの優しさを込めて。

誠は、しばらくは呆然としていたが、やがて溢れんばかりの笑顔を作り、


「うん!泣かない!」


と言って私に抱き着いてきた。照れ臭そうな、『えへへ』と言う声が聞こえた。

ホント、情けなくて、弱虫で、すぐ泣いて。

だけど。


すぐ泣き止んで、人懐っこくて、可愛い笑顔を作って、『お姉ちゃん、お姉ちゃん』なんて言って私を呼ぶ、


そんな弟が、私は大好きだ。


「ほら、準備して!ホットケーキ、一緒に作ろ!」

「うん!」

私達は、本当に仲のいい姉弟だなぁ、と。

この時、改めて思った。

一人っ子の作者としてはこういう姉に憧れるなぁ。いいなー。

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