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存在干渉の法則  作者: たびくろ@たびしろ
裏・榎田の過去編
24/110

『失敗』に終わった夜

「う……ぁ……」

どうして。

どうして、透は私を止めたの?

「分かってる……本当は、分かってる……けど……!」

あの目は、何だったの?

まるで悪者を見るようなあの目は、私をどう見ていたの?

そんな疑問ばかりが、私の脳裏をよぎる。その疑問を具現化したかのような、透明な液体が路地裏に滴り落ちた。

私が裏世界に戻されるあの瞬間、私はあの二人にどう見られていたの?

同型真像(オリジナル)の私に、同型虚影(ドッペルゲンガー)の私はどう見られていたの?

正真正銘の幼なじみである同型虚影(ドッペルゲンガー)の私は、榎田舞は。


同じ同型虚影(ドッペルゲンガー)神代透(アイツ)に、どう見られていたの?


私はただ、深夜の路地裏で泣きじゃくるしか出来なかった。




「……ただいま」

今日も、私は呟く。おかえり、なんて誰も言ってくれないのに。

三年前までは私にも、おかえりを言ってくれる優しい家族が居た。私が被っている帽子は、手渡せなかった家族の形見だ。いや、その家族に渡せていないのだから、形見とは呼べないかもしれないが。

私は暗い自室の電気も付けず、僅かに覗く月明かりを頼りに、ベッドに潜り込んだ。

帽子を枕元に置く。

こうすれば、家族を近くに感じられる気がする。



私の、たった一人の弟を。



新章です。今回は裏世界の榎田舞の過去です。どうでもいいですが作者は一人っ子です。

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