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おかしな『目』

「エノッキー!おはよー!」

私は理解出来ない。何故、何故彼女は私にこんな意味不明なあだ名を付けるのか。何ですか、エノッキーって。キノコか。

「なにそのあだ名……なんか恥ずかしいよ」

朝。

登校した私を待っていたのは、私の一番の親友だった。

名前は八伽鈴奈(やおとぎれいな)。いつも明るくて、裏表のない性格のクラスメイトだ。

「だって榎田(えのきだ)じゃない。だったらエノッキーでもいいでしょ?」

「嫌だよ!そんな山奥に生えてそうなあだ名まっぴらごめんだよ!」

鈴奈はそのさらさらとした茶色のセミロングを掻きながら、恥ずかしそうに言った。

「あれー?気に入らない?じゃあいっそのこと『エノキダケ』っていう直接的なあだ名を……」

「あんたは天然のボケか!?エノッキー却下したのにエノキダケがOKされるわけないでしょ!!」

「えー?じゃあ次は……」

「普通に呼べッ!!えー?じゃないから!!もうなに言われても通す気ないから!!」

私がそう言うと、鈴奈はまるで小さな子供のように頬を膨らませた。いや、ご立腹なのはこっちですよ。

「じゃあ、舞ちゃん。悪いけど、昨日の課題見せてくんない?」

またか。またやってきてないのか課題。

たまにはやってきなよ、まったく。

「しょうがないなぁ……またやってきてないの?」

「やってないのよーそれが。ほら、見せたまえ」

「なにその上から目線!やってきてないくせに態度でかっ!」

あ、いきなり済まなそうな顔にシフトした。セコいなー。まぁ、仕方ないか。毎度の事だし。

私はカバンの中からファイルを取り出した。その中のプリントを取り出そうとしたとき、

「あれ、そういえばまだ変えてないの?そのヘアピン」

そう言って鈴奈は私の黒髪を留めているヘアピンを指差した。それを何回か指で弄んでから、再び言う。

「それ確かに可愛いけど、ちょっと幼稚臭くない?今度買いに行こうよ。アタシも買おうかなーと思ってたのよ」

鈴奈は私に笑いかけながら言った。邪気のない笑顔に、私は少しだけ微笑ましくなった。

だけど。

だけど、ダメなんだ。

私はこれを着け続ける。

「ごめんね。私このヘアピンを変える気ないから」

「なんでよー?ずっとそればっか付けてて。何か理由でもあるの?」

「……うん」

これだけは、絶対に手放さない。絶対、何があっても着け続ける。

だって、褒められたから。

大切な人に。

――――――きっと、似合うからさ!

似合うって、言われたから。それが、何よりも嬉しかったから。


「……大切な人に、貰ったからね」


そう、呟いた。

「おぉ!?まさかの彼氏疑惑!?いやぁ、やっぱ学園のアイドルはいいね!!」

「ぶっ!?ちょ、やめてよ!!そういえば、鈴奈私の弟に変な事吹き込んだでしょ!!私がアイドルだとかどうとか……!!」

「違うよー?アタシは夏美(なつみ)には言ったけど、舞ちゃんの弟くんには何も言ってないわよ?」

だからそういうことではないのだ。そもそも変な事をお前の妹に吹き込むな、誠はお前の妹と同じクラスなんだから。

―――――八伽夏美(やおとぎなつみ)。八伽鈴奈の妹だ。あの子は正直だから、姉である鈴奈の言うことを何でも信じきってしまう。

「あーもうそういうことじゃないんだって!っていうか私そんなアイドルとかいわれるほどじゃないし……!!」

「よく言うわねー。一週間に一度はコクられてるくせに。舞ちゃんが美人なのは間違いないわよ」

うぅ。何か変な風に褒められてしまった。ヤバい、しかもちょっと嬉しい。

「い、いや、その……あ、ははは……」

何だか顔がひきつってしまう。何て返したらいいのわからないため、とりあえずは愛想笑い作戦。

「いや、ホント綺麗だよ?同性のアタシでさえときめいちゃうくらいね」

ごめんなさい、私そっち方面には対応してません。やめてください。本当にやめてください。

「しかも、オマケにアニメの超能力者じみた不思議な目まで持ってるときたもんだ。あぁ、何故神は二物を与えるのかしら。いや、頭が異常に良いことも含めたら三物かな?」

そう言って、鈴奈は私の顔を覗き込んだ。思わずビックリしてしまう。

が、それが私の『変な目』の発動条件だった。


私の黒い瞳が、私の意思と関係なく青く染まる。瞳が疼くような感覚と共に。


「ほら、なったなった。いやぁ、一体何なのその目。マンガの主人公もビックリの現象よ?」

「やめてよ、もう……。私も、これ意味が分かんないんだから……」

そう、分からないのだ。何かの病気なのかもしれないし、このまま放っておいたらダメなのかも分からない。でも、病院などの検査機関では異常はなかった。日常生活にも支障は出ていない。

マンガのキャラクターみたいに超能力でも使えればいいのだけど、瞳が青くなったからといって特に何か変わるわけでもない。手で触れずに物を浮かせたり出来るわけでもなく、はたまた目からレーザーが飛び出すわけでもない。

ただ、青くなるだけなのだ。まぁ、多少の疲労感もあるにはあるが。

青い瞳になった後は、大抵二~三分すれば元に戻る。なので、特に問題視はしていない。問題といったら、目の前の彼女にいじられるぐらいだ。

実は今朝、誠から『寝起き目覚まし用☆とるねいどアッパーカット』なるものを喰らった時も瞳が青く染まった。洗面所でうわ言を呟き、それを誠に茶化された時もそうだった。

どうもこの不思議な青い瞳は、ビックリしたり集中したりするとなるらしい。勉強している時にも青くなるため、新しい先生や教育実習生などの授業の時は毎回驚かれるのだ。その度にみんなの視線を浴びる。あぁ、もう嫌な目だよ、まったく。

(だけど……この前は違った)

そう、ちょうど二週間ぐらい前の事。

学校から帰る途中、何の前触れもなく唐突に瞳が青くなった。しかも、その時はただいつものように瞳が疼くだけじゃなかった。まるで目がくり貫かれるような激痛と一緒に、瞳が青く染まったのだ。

それが、同じ日に二回。もう一回は、日が暮れかけたくらいの時刻だった。

(……そういえば、あのニュースが言ってた事故の時の時間と、同じくらいだったかな)

まぁ、言及していても何も分からないのだが。

その時、朝のホームルームを告げる鐘が鳴った。ほぼ同じくらいのタイミングで、担任の先生が教室に入ってきた。

「ほら、今日は最初に課題集めるぞー。やってきてないのに写す奴が多いからなー」

「ゲッ!?まだ写してないってのに!!ヤバい、早く見せてよ、舞!!」

私は、少し面白そうに笑みを浮かべた。

「い・や・だ・よ♪」

「えー!?ちょっとぉ!!くっそはめられたーっ!!」

鈴奈は悔しそうに頭を抱えている。いい気味だよ、まったく。

また、今日も変なタイミングで目が青くなるんだろうな。なんか起きるわけでもないけど。

……でも、いつもと変わらない日常。

そこに、彼がいないのは少し寂しいけど。あぁ、いつまで言ってるんだろうな。もしかしたら、あっちは私の事なんか忘れてるかもしれないのに。

でも……でも。

私は、小さく、誰にも聞こえないような声で呟いた。


「会いたいな……透に」



いや疲れました ね 。最後まで読んだら。

やっぱ書くのは む ずかしいですね、小説って。

次も頑張るよ。 い や、マジで。

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