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Brave of twin  作者: 鷺沼 黒
デスゲームへようこそ
8/12

俺と撫子(なでしこ)(美和姉のキャラネームらしい)はNPCの店舗巡りをしていた。


撫子は今、スキル屋で買い物をしている。


その後、武器屋や防具屋にも行って装備を整える予定だ。


本来なら有り得ない大人買いを俺達はしていた。


俺がステータスが初期化されていなかったように、撫子にも何かしらのアドバンテージがあると思っていたが、まさか資金面だとは思わなかった。


通常ならば初期の所持金は3,000(ゴールド)である。

勿論、俺はきっちり3,000Gである。


それが何故か撫子はゼロが1つ多かった。


また、微妙な数字だ。確かに現時点では大金持ちだが、あくまで"現時点では"だ。

このぐらいの数字、そこそこの生産職なら数日あれば一山作ってるだろう。


運営は気前が良いのか……、悪いのか……。分からない。


チートと言やあ、チートだし、違うと言えば違う。なんとも微妙である。


しかし、俺達はNPC装備しか手に入れられない。

勿論、生産職の人達が作ったものの方が良いに決まっている。

だが今、俺達には生産職の知り合いが居ない。

そしてなるべく知り合いは作るべきではない。


俺は――恐らく撫子も――称号『双極の双子』持ちなのだから……。


よって、始まりの町で買えるNPC装備で一番良いもの、っていうのが現在用意できる最高の物だ。


それでも鉄装備ぐらいは手に入るだろう。

少なくともデスゲーム前は売っていたから。


そうこうしているうちに、撫子がスキル屋から出てきた。


「随分と早かったじゃん、美和ね……こほん、撫子。」


どうも違う名前で呼ぶのは慣れない。


「ああ、はじめから買い足すスキルは決めていたからな。」


「そうなんだ、何買ったの?」


「軽装備など必要なスキルだ。」


「……え?じゃあ、撫子は一体初期スキルに何選んで……。」


「秘密だ。それより他の装備品を買いに行こう。」

………

……


どうやら俺達の考えは甘かったようです。

鉄装備どころか皮装備までしか売っていませんでした。



「……不覚。」


知らず知らずのうちに俺は似合わない言葉をはいていた。


「気にするな。所詮NPC装備だ。」


「いや、俺達にはNPC装備しかねぇんだよ!?」


「私には巫女服があるが。」


そうなのだ。撫子は未だに巫女服を着ていた。

巫女服はやっぱりただの布の服ではなく、今現在撫子が買える皮の冒険服なんかより断然良いものだった。


その名も「朱の巫女服」!


そのまんまじゃないか、とかいう苦情は一切受け付けません。

全力で断る!


「とも……んんっ、クウマ……。お前は先程から一体誰に言っているのだ……?」


撫子が俺の事を不審気に見ていた。


「あれ……?もしかして声に出してた?」


「ああ、バッチリ。」


「そ、そうか…。」


むむ、これは少し気をつけなければならない。


「と……クウマ、頭は大丈夫か?」


撫子に全力で心配されてしまった。


顔をめっちゃのぞき込まれている。


顔が近いです、撫子さん!


「美和姉……その……近い。」


俺は顔を逸らしながら、言った。


実の姉に対して何を照れているんだ、っていう話だが。


だって仕方ないじゃないか!


現実(リアル)でも勿論美和姉は美人だが、仮想現実バーチャルリアルの美和姉は少し切れ長系の目にしたおかげか更に美人になっているのだから。


あ、今は撫子か。


「ああ……!すまん。」



そう撫子は答えたが、一向に離れる様子がない。


「あの……撫子……?」


返事がない。

どうやら撫子は俺より後ろを見ているようだ。


まさか、誰かに尾行されていたのか……?

俺達が例の双子だと、バレて……。


撫子が見ているものが尾行していた何者かだ、と勝手に見当をつけた俺は先程買ったばかりの初心者の剣――初期装備はボロの初心者の剣だった――に手をかけた。

銅の剣さえ売ってないのってどうよ?と思ったが、今は尾行者に集中するべきだろう。


撫子の視線は依然俺の後方に向けられている。


撫子は一体何をしているんだ。この状態じゃ襲い掛かられても対処出来ないぞ。

俺の苛々が最高潮に達そうという時……

「……美味そうだな、あれ。」


撫子がこの至近距離でも聞き取れるかどうかという小さな声で呟いたのを危うく聞き逃すところだった。


俺はここが安全なPKが出来ない街の中であることを失念していたのかもしれない。


「……へ?……尾行者……じゃなくて……?」


気を張っていた俺は撫子の呟きを聞いて、口からそんな間の抜けた声をもらした。


「……尾行者?クウマは何を言っているのだ?そんな奴何処にも居ないが……。」


撫子はさり気なく離れつつ、不思議そうな目で俺を見た。


「……撫子は尾行者を発見したから見てたんじゃ……。」


「違う違う、あれだ。」


撫子は苦笑いしながら俺の後ろの方を指差した。


振り向いて、指し示されたものを見た俺は何ともいえない顔をしていたことだろう。


「クレープ屋……?」


そこには、クレープ屋があった。

プレイヤー達はそんなもの目にもくれず前を歩き去って行くが、NPC表示の付いたキャラクターが数人美味しそうにクレープを食べていた。


こうしてNPCを見るとこれが中の人が居ないAIだとは信じられない。

改めて現代(いま)のコンピューター技術は凄いと思う。


「まさか、撫子クレープが食べたいの……?」


「ち、違う!私はただ、NPC達が食べてて美味しそうだと思っただけだ!」


俺がジト目で言うと、撫子は慌てて否定になっていない否定をしてきた。

どう聞いても、食べたいようにしか聞こえない。


そういえば、そろそろ3時だ。

少し小腹が空いてくる頃である。

おやつに食べればちょうど良いかもしれない。


「食べたいんだな。撫子には色々装備(初期装備に毛が生えた程度の物だけど)も買ってもらったしクレープぐらい奢ってやるよ!たまには姉孝行もしないとだし。」


それに……巻き込んだのは俺だし。


「……本当に良いのか?クウマの所持金って確か……」


「良いって良いって。」


撫子の声は俺の所持金を心配する声色だったが、目はしきりにクレープの方を物欲しげに見ている。


双子の姉にこんな顔をされちゃあ、断れない。


チラッと見えたクレープの値段は俺の所持金を軽く吹っ飛ばすものだった。


でも、クレープ1つで撫子に喜んで貰えるなら安いものだ、と俺は涙を飲み込み買いに走った。

いつまで始まりの街に居座るつもりなんだ!

という皆さんの気持ちは分かってます。


準備回は今回で終わりです、たぶん。


次回から逃避行するんじゃないでしょうか。


話は変わって私の今の課題なのですが、ステータスをどう表示すればいいか迷ってます。

更に、戦闘シーンってどうやって書くのでしょう?


ってまあ、課題は山積みなのですが……、教えて分かる人!



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