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出会い4

あの日と印象が違った

今日は制服を着て小奇麗な格好をしている、髪の毛は編み込んで束ねてある

あの日に見た怯えている様子はない

西宮が戸惑っていると少女がぎこちなく言葉を発した

「コート借りっぱなしだから、ありがとう」

そう言って西宮へ紺色のコートを差し出した

なるほどと納得して西宮はそのコートを受け取った

「少し汚れちゃった、ごめん」

そう言われ渡された紺色のコート

どこが汚れたのか分からないしキレイに畳まれている分、自分が雑に扱っていた時よりしゃんとしている

コートを受け取りながらその子の着ている制服を見てこの子も中学生だと知る

小さくなっていたあの姿からは小学生かと思っていた

今日も冷たい風が吹く中で大して着こむこともせず、やせ型のその子は何だか心もとない

西宮は受け取ったコートを手に持ったまま、指定席である社殿の階段に座った

少女は用事を済ませ、所在なさげにキョロキョロする

西宮はマイペースに鞄から本を取り出し読み始めた


少女が声を掛けてくる

「学校は?」

西宮は視線を一瞬だけ上げてから返事をする

「サボり」

「ふうん、帰らないの?」

「帰らない」

「ふうん」

「傷は?」

「痛いけど血はとまったから大丈夫」

「そう」

「本なんて読むの?」

「暇つぶしにはいい」

「・・・学校に行けばいいのに」

「さっきまで行ってた」

「そう」

会話が途切れると西宮はそのまま本に集中し始めた

こうやって静かな場所をみつけて本を読むのが好きだった

内容はどうでもよくて誰にも邪魔されずゆっくりとした時間が安心する

ページを一枚、また一枚とめくり西宮は区切りのいいところまで読むとフッと顔を上げた

その子はまだ境内にいた

隅の方でかがみこんで何かをしている

西宮の位置からだと後ろ姿しか見えない、何で帰らないのかと疑問には思うが特に声は掛けない

鞄の中に無造作に入れてある腕時計を見るともうすぐ一時になろうとしていた

鞄から弁当を取り出そうとした時にふとこの前食べたメロンパンを思い出す

視線をずらして声をかけた

「ご飯は?」

驚いて振り向いたその子は首を横にふり同じことを聞く

「そっちは?」

西宮は首を横に振った

鞄の中の弁当は出すことなくそのままにした

小さな声が続いて聞こえた

「この前、メロンパンありがとう」

そう言って少女はうつむいた

「お母さんとケンカしてて、今日のお昼ご飯代もらうの忘れちゃった」

その言葉を聞いて西宮は自分の中の黒いものが広がるのが分かった

「雨が振りそうだし、もう帰るね。洗濯物が心配」

そう言うとその子は小走りに境内を駆け抜け階段を降りて行った

空を見上げると灰色の雲が広がり太陽の位置がわからない、確かに雨が振りそうな空模様だ

西宮はそんな空をしばらく見上げて眺めてから、改めて鞄から弁当を取り出した

そして食べ始める、冷たくて美味しいとも感じない食材を口に運ぶ


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