表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/4

出会い2

冷たい風が吹く中更に一歩足を進めた

「来ないで」

強く響いた声

女の声

幼さのかけらを感じる

威嚇するように大きな声を発したが威圧感は無かった恐怖からの拒絶だ

その少女は表情を歪めた、睨んでいた目を伏せ左の脇腹を押さえ更に身を小さくする

体をよじったその角度から脇腹を押さえている手が見えた

相手が動く事でその少女が髪を一つに束ね、この季節にしては上着もなく膝を抱えている姿が見て取れた

西宮は少女に声をかけた

「何してる?」

少女は何も答えない

答えが無いのを答えだと受け取りこれ以上は余計なお世話だろうし、興味もないので西宮は少女に背を向けいつも座っている階段に腰をかけ空を見上げる

星が増えている

冬は夜空がきれいだ

西宮は吸い込まれそうな星空を見上げていた

その時少女の声が聞こえた

聞き取れなかったその声に西宮が視線を向けると再び声がする

震える声

「血が止まらない」

その声に西宮は少女を観察する

「ケガしたのか?」

「うん」

少女がうなずく

暗くて距離が離れているからよく分からないが腹部を手で押さえすがる様にこちらを見ている少女の姿がある、怯えているのが伝わってくる、でもその目に生気がありしっかりと話をしてくるのを冷静に判断して西宮は答えた

「大丈夫だよ。そのままギュッと押さえておけば」

少女は自分の腹に視線を移す

大丈夫だと断言され自分の事を観察し

傷口を押さえる手に力をこめギュッとする

「すごく痛い」

西宮は少女の方をみる

「生きてるからな」

少女は返事をしない

「病院にいけば?」

西宮はぶっきらぼう言ったそれに対し少女はうつむくだけで返事はしなかった、膝を抱え顔をふせ小さく丸まる

その姿はひどく寒そうに見えた

こんな夜に病院にも行かず薄着で帰ることもせずこんな所で小さくなっているこの子はいったい

しばらく黙々と時が流れる

動きも音もない時間

西宮は立ち上がり少女の元へそっと近寄り自分の着ていたコートを差し出す

中学生が学校に着く校則範囲内の紺色の地味なコート

「これ」

少女は西宮の声に顔を上げた

最初の睨みつけてきた目つきと違い怯えている瞳

今にも涙がこぼれそうなその瞳に西宮は苦しくなった

「寒いんだろ」

「自分は?」

「俺は大丈夫」

西宮は押し付けるようにコートを少女に渡し座っていた場所へ戻った

少女は戸惑いながらコートに腕を通した

西宮は大きく息を吸い込み吐き出し空を見上げる

コートを脱いだことで冷たい空気が身を引き締める

「星が好きなの?」

少女が聞いてきた

西宮は特に答えもせずに空を見続ける

星が好きなのか聞かれても自分ではよく分からない、ただ吸い込まれそうなどこまでも深い空に圧倒されている

することも行くところも無かった時にジッと一人で夜空を眺める

二人は無言で時の流れるのを待った

ふと西宮は立ち上がった、何も言わず急に思いついたように神社を出る

帰るにしては唐突で不愛想だった

境内には小さく縮こまる少女が取り残された

少女は暫く顔を上げ状況を確認していたが諦めたように再び顔を伏せ膝を抱えた


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ