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出会い

十二月

陽は沈み肌を刺す冷気に空を見上げれば星をいくつか見つけられる

冬の陽は沈むのが早い

夕方五時を過ぎ、制服姿の中学生が一人で歩いている、整った濃い眉毛、目じりは吊り上がり一文字に閉じられた唇、鼻筋が通っている

感情を感じさせない能面のような顔の少年

栄養が足りてないのかひょろりとしていて血色も悪い

肩をすくめ寒さに凍えて歩く人が多いこの季節にまるで温度も風も感じていないのか棒切れのような足を進める

何も映していないその瞳は黒の深さが印象的だ

ゆっくりとした足取りで、何か考え事をしているのか

何も考えていないのか不気味な少年だ

中学一年生 十三歳

微妙な年頃だ、誰かに怒られたか何かに嫌気がさしたか、ただの無気力か

西宮恒にしみや こう 

それがその中学生の名前だ


西宮は冷たい空気の中を歩くのが好きだった

ひんやりとした空気は気持ちいい、身が引き締まる

その中をただ無心に歩く

正確には目的地はあった今日は雲もないから星が良く見えるはず

だからお気に入りの場所で誰にも邪魔されない高台の神社に向かっていた

中学に入学したものの、学校は息苦しい家はもっと息苦しい、西宮は一人を好み静かな場所を好んだ

誰が悪いわけじゃない

ただ息苦しくてしょうがない

その日も学校が終わってもまっすぐ家には帰らず時間を潰していた


陽が沈む前まで小さな公園でベンチに座り本を読んで過ごし

暗くなりそろそろ帰らないといけない思いつつ、もう少し外にいたい気分だった

住宅地を歩いているとある境目から湿った土と木々が増え少し歩くとそれが山だと気付く、

山肌に鳥居が現れる

それをくぐり山を登るように急な階段が上へと伸びる二十段以上あるその階段を上り

終わりかと思えば折り返すようにさらに階段は上へ続き二十段近く上ると二つ目の鳥居がある、そして山の頂上へまっすぐ伸びる階段を十二段上ると社殿が目に入る、左右には狛犬が置かれ、社殿にお参りする為に数段の階段とその最上段には賽銭箱が置かれている

西宮は狛犬の間を通りぬけ辺りを見渡す

思った通り人気はなく空の半分は木々に覆われ、残りの半分からは星空がのぞいている

西宮は空を見るために首を直角に曲げる

冬の夜空は吸い込まれそうな奥行きを感じる

数秒間夜空を眺めながら呼吸を整える

賽銭箱が置かれている木造の階段が西宮の定位置だ

そこへ座ろうと足を進めると不意に気配を感じた

西宮が視線を動かす

何かが動いた

ツツジか何かの低木の密集する間に何かが動いた、その何かが何なのか判別がつかずジッと見つめる

また小さく動いた

やはり何かがいると思い、西宮はジッと見つめながら静かに近づいた

近づくとこっちを睨みつける目がある事に気付く、目が慣れてくるとそれが人だと気づく

人が膝を抱え小さく身を縮めている、小柄な人だとは分かるが男か女かわからない、その体の大きさから大人では無いだろうと推測する

しばらくその睨んでくる様子を観察し動く様子がないので西宮は一歩近づく


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