↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夜明けが世界を染めるころ、 悪意の見える伯爵令嬢は王子の執着から逃れられない  作者: 舞響
第一部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
65/354

ユウリの心配1

蝶の会のあと、馬車の中でユウリから情報を受け取ったが大した成果は得られていないようだった。


私は、どこからどこまで話すか悩んだ挙句…

曖昧にしたまま屋敷に戻ってきた。


そのことについてユウリもセナも無理に聞き出そうとはしなかった。


考えることは多いけれど、やらなければいけない仕事もある。

ここ数日は無我夢中で仕事をこなしてきた。

今日は市民向けのジュエリーの試作を持ってくるはず。そろそろかな。


「お嬢様、失礼します。ラルクル商会の方が応接室にいらっしゃっています」


ユウリが入ってきた。


「わかったわ。今行く」


立ち上がろうとしたとき、少しふらついた。

ユウリがじっとこちらを見つめている。


「お嬢様、ちゃんと休まれていますか?」


「うん、休んでるよ。ちょっと運動不足なだけ」


ここ数日、騎士団には顔を出せていない。

ユウリは何か言いたげだったが、私がスタスタ歩き出すと、何も言わずについてきた。



「ラルクル商会の皆様、わざわざご足労いただきありがとうございます」


挨拶をして応接室の椅子に腰をかける。


「いえ、こちらこそお時間を作っていただきましてありがとうございます」

一礼して返す。


「どうぞ座ってください。早速、見せていただいてもよろしいですか?」


そう言うと、商会の方は持ってきた荷物の中からジュエリーの試作品を並べた。


「お嬢様のお言葉に従い、品質はそのままに、小ぶりの宝石を使ってジュエリーを作成しました」


ネックレスにイヤリング、指輪――どれも上品に輝いている。


「ユウリ」


「はい、お嬢様」


ユウリから手袋を受け取り、慎重にジュエリーを確認していく。

小ぶりの宝石でも、品質が良いため輝きは上品で美しい。


「どれも素敵ね。良い出来だわ」


「ありがとうございます」


「値段はどのくらいで出す予定ですか?」

一番気になっていた点を、思わず口に出してしまう。


「こちらをご覧ください」


資料を受け取り、目を通す。

宝石の仕入れ価格、人件費、材料費に加工費――単価まで細かく書かれている。


「うん、妥当だと思う。これで進めてもらって構わないわ」


「ありがとうございます」


「あと一つ。試作品はすべて女性向けのものばかりね。

もし可能なら、男性用のジュエリーも少し考えてみて」


「確かにそうですね。わかりました!」


話は上手くまとまり、ラルクル商会の方々は何度もお礼を言いながら帰って行った。


書斎に戻り、また残りの仕事を処理し始める。


「お嬢様、少しよろしいでしょうか?」


「何?書類に不備がある?」

目の前の書類に目を通しながら、ユウリの問いに答える。

――この計算、おかしいな。ちょっと前のやつも確認しよう。

立ち上がり、本棚から取り出す。


「いえ、非の打ち所がないほど完璧な仕上がりです」


「そう」


冊子になっているものをパラパラめくる。

あった、あった…えっと。


「お嬢様、いい加減にしてください」


「へっ?」

気づけば至近距離にユウリが立っていて、本棚との間に私。

ユウリの右腕がそばに――まさかの壁ドン。

何事!?

しかも、なぜ怒っているのよ。

目の前のユウリは真剣そのもので、怒っている様子。


「何で怒ってるのよ?」

逃げようとした瞬間、左腕も伸びてきた――。


「本当にわかりませんか?」


ユウリの瞳が力強く私を見つめる。


「いや、わからないから聞いているんだけど…」


するとユウリの左手が、私の頬にスーッと触れたかと思うと――


「いひゃひゃひゃ!いひゃっ!」


左手でムギュッと頬を鷲掴みにされる。

あ、ちょっと!ご主人に何やってるのよ!

持っていた書類がバラバラに飛び散ってしまった。


「お嬢様。何ですか、この肌荒れと目の充血。全然休んでいないでしょう。

涼しげな顔で仕事して、完璧なのがまた何とも言えませんけど。

仕事に支障が出たらすぐ休めと言えるのに、なぜ休めていない時に謎の集中力を発揮して自分を追い詰めるんですか。聞いてますか?」


「きひてます…はなひて…」


左手からようやく解放される。

ふぅ…ほっぺた、赤くなっちゃう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。