作戦
ティアナside
しばらくして、
ディランが皆を招集した。
「さて、集まってくれてありがとう。
状況確認と、今後の計画について話をしよう」
全員が頷いたのを確認して、ディランは続ける。
「この前のガイルの襲撃では、敵をほぼ殲滅できた。
ガイルにとっても戦力を削られ、かなりの痛手だったはずだ」
一呼吸おいて、力強く言う。
「この隙に、我々も準備を整え、
ガイルの研究所へ乗り込むつもりだ」
「あのー……」
アレンがおずおずと手を上げた。
「ここまでされたのに、国は動かせないんですか?
ほら、ガイルを捕まえるとか……」
「そうしたいのは山々だがね」
ディランは肩をすくめる。
「ガイル本人が表に出てきていない。
この状況では、あくまでシラを切られるだろう」
「まあ、俺たちを襲撃してきた連中も野盗みたいなものだったからねー」
と、テオが口を挟む。
「使い捨ての駒だろうから、
ガイルの指示だったって証言はまず取れないだろ」
セナも続ける。
「だが、その間に――」
ディランが話を引き取る。
「ユウリとアリスが、研究所の中を偵察してきてくれた」
ユウリが一歩前に出て、頷いた。
「はい。
研究者の中にいる協力者から得た情報をもとに、アリスと確認してきました。
間取りや警備配置は、ほぼ把握しております」
「さすがだね」
「すごいよ、ユウリ」
称賛の声が上がる。
「……内部構造に関しては、問題ありません」
ディランは満足そうに頷き、卓上に地図を広げた。
「そこで、すべての情報を踏まえた作戦を共有する」
ディランは卓上に広げた地図を指で叩いた。
「いいか。作戦の要点をまとめる」
室内が静まり返る。
「正面からの突入は――俺とティアナだ」
視線が2人に集まる。
「名目は研究所の見学。正式な手続きを踏んで正門から入る。
ガイルにとって、私たちを無視することはできない」
「必ず、表に出てくる……というわけね」
私は小さく息を吐く。
「その通りだ」
ディランは地図の正面入口をなぞる。
「正面が騒がしくなれば、警備と意識はそちらに集中する。
その隙を突いて、裏から動く」
次に示されたのは、地下の経路だった。
「ユウリ、アリス。ルイ。きみたちは電気系統と警備結界を止めろ」
「了解です」
ユウリが即座に答え、アリスも頷く。
「監視装置、封印、警報。
使えるものはすべて落とせばいいのね」
ルイも静かに頷いた。
「警備が止まった時点で、次が動く」
ディランの指が、地下深部を示す。
「セナ、アレン、ロベルト。
お前たちは被験者の救出」
「……はい」
「東通路から逃す手筈でいく。
だが宝石による暴走が起こっていたら…」
ディランはセナを見る。
「状況によって宝石を破壊、無力化ですね」
「ああ」
最後に、地図の中央通路。
「レイとテオ、レオは想定外への対応だ」
テオが笑う。
「つまり、面倒な相手は全部俺たちってことね」
「わかりました!」
レオも元気に手を上げる。
「そういうことだ。そしてタイミングをみて王国騎士団を突入させる」
ディランもわずかに口角を上げる。
一拍置いて、ディランは全員を見回した。
「研究データは確保と証拠を押さえ、被験者を救い、ガイルを追い詰める」
「必要なら、研究区画の一部を破壊する」
レオが淡々と補足する。
「証拠を確保した後に、だ」
静かな決意が、部屋を満たした。
「決行日まであと10日」
ディランが言い切る。
「作戦開始と同時に、後戻りはできない」
誰も、異を唱えなかった。
それぞれが、自分の役割を胸に刻む。
――これは、ただの襲撃じゃない。
ガイルの罪を、白日の下に晒すための戦いだ。
そしてその中心には、確かに――
全員の覚悟が、揃っていた。




