仲間の招集2
私は、ルイとレオに目を向ける。
「2人も……ありがとう」
ブティック〈グロウ〉のデザイナーと、料理人。
一見すると戦場とは無縁の、異色の組み合わせ。
それでも――。
ルイは紫統タンザナイト公爵家の元騎士団員。
しかも相当な実力者だ。
レオも元騎士団員で、
“狂乱の金獅子”と呼ばれるほどの腕を持っている。
「ふふっ」
ルイが口元に笑みを浮かべる。
「私も、あの頃を思い出して特訓するわ。
ブランクはあるけど……体は覚えてるもの」
その隣で、レオが力強く拳を握る。
「俺も!」
少し照れたように笑いながら続ける。
「筋トレはずっと続けてるからな。
あとはもう、剣をとにかく振るだけだ」
「頼もしいな」
私は続ける。
「ロベルトとアレンまで……
随分と巻き込んじゃったね」
そう言うと、2人は、ほぼ同時に首を振った。
「俺は、お嬢様のことを昔から知ってます」
ロベルトが、真っ直ぐに言う。
「だから今さらですよ。一緒に戦いましょう」
その言葉は短いが、揺るぎがない。
積み重ねてきた時間が、そのまま強さになっていた。
続いて、アレンが少し緊張した様子で口を開く。
「俺は……まだ新人で、お嬢様との付き合いも短いです」
一度、言葉を探すように視線を落とし、それから続けた。
「それでも、お嬢様が背負うものを、俺も背負います。
正直、どこまで役に立てるかわかりませんけど……
いないよりはマシ、くらいにはなれます」
その言い方に、思わず微笑んでしまう。
「随分、謙虚だね」
私は2人を見て、はっきりと言った。
「でも……ありがとう」
胸の奥が、じんわりと温かくなる。
強い者も、未熟な者も。
それでも同じ場所に立ち、同じ覚悟を持つ。
「……私はそこまで戦力になるかはわかりませんが」
控えめながら、はっきりとした声でアリスが口を開く。
「できることがあれば、何でもします。
みなさまの衣・食・住――そのすべてを担当しましょう」
一瞬、場が静まる。
それから私は、思わず微笑んだ。
「ありがとう。
まさか……アリスまでいるとは思わなかった」
その言葉に、アリスは少しだけ背筋を伸ばす。
「私は、お嬢様の侍女です」
迷いのない瞳で、私を見つめる。
「お嬢様の支えになります。
戦場ではそこまでお役に立てなくとも、背後を守ることはできますから」
その言葉が、胸に深く沁みた。
剣を振るう者だけが、戦っているわけじゃない。
命を繋ぎ、日常を保ち、心を折れさせない――
それもまた、戦いだ。
ディランが静かに頷く。
「ありがたい。後方支援が安定すれば、前線は迷いなく動ける」
ルイが笑顔で言う。
「これは心強いわね。ちゃんとしたご飯がある戦いは、勝てるって決まってるもの」
場に、わずかな笑いが広がる。
私はアリスを見る。
「……一人じゃないって、こういうことなんだね」
アリスは、いつものように穏やかに微笑んだ。
「はい、お嬢様。
最初から、ずっと」
そして私は執事のユウリに目を向ける。
「ユウリもありがとうね」
最初から一緒に背負ってくれてる。
「当たり前ですよ」
穏やかに微笑む。
前線も、後方も。
誰一人欠けてはいけない仲間。
こうして、役割はすべて揃った。
戦う理由も、立場も、過去も違う。
それでも今は、同じ未来を守るためにここにいる。
私は胸の奥で静かに思う。
(――こんな仲間がいるなら)
(きっと、どんな闇にも立ち向かえる)
誰1人かけることなく…絶対明るい未来に大切な人達と立つために。




