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初めての惑星調査任務は剣と魔法の世界でした  作者: 赤燕
§14 この惑星の聖献事情を調査しました。 main routine ラスティ

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第476話 王都帰還


§14 登場人物


●メイルズフィード

 大陸屈指の賢者の一人、影法師。悪魔族で千年以上生きている。

 金髪赤眼、ポニテ、眼鏡、お胸おっきい。男装している仕立屋テイラー


●モルトケ伯爵

 ふくろう頭の芸術家。剣士。細剣レイピアの達人。


●エッジウッド卿

 老人の心理学者。剣の達人。直刀を操る。


●シーラ

 サタニアの座主。魔物遣い。角ウサギを使役し、鞭をつかう。

 既婚者。夫の名前はカー●●ン


●クライス

 傷痍軍人。ロッコの仲間。盲目。


●クラレンス・マスハス

 王道派の旗頭。女侯爵。


●ヴェラザード・マスハス

 分家の娘。クラレンスに連座して、幽閉状態。


●イスカ・マスハス

 つかえない奴。


★★★宇宙軍の裏切り者★★★

●バスカービル 連邦伍長

 ジョン、アスマ、ミリー、快楽殺人鬼たちのリーダー。

 本人もヤヴァイ人。


●ジョン 連邦上等兵

 IQ85。今回さらに成長する! 力自慢。


●ミリー 連邦上等兵

 オカマ。衛生兵


●アスマ 連邦上等兵

 人斬り。武器はカタナ。


●??? 帝国大尉 四人組とは別行動。

★★★★★★



 お世話になった星方教会の方々と形だけの挨拶をすませて、俺は少数の護衛とともにイデアを発った。


 寝る間を惜しんで昼夜ぶっ通しで馬を走らせる。その甲斐あって、来るときはひと月かかった旅程を大幅に短縮できた。

 聖地イデアを発って、十日目の昼過ぎに王都に到着。


 しかし、強行軍がたたってか、王都の門を拝む頃には一〇名いた護衛の騎士は二人にまで減っていた。

 全員脱落すると思っていたのに、意外だ。

 ナノマシンを移植されていないことを考えると、なかなかガッツのある騎士たちだ。彼らの頑張りを覚えておくために、表示されるタグを変えることにした。


【この二人の名前は?】


――髪に白い物がちらほら見える壮年の騎士がアンドレニ、二十代とおぼしき赤毛の女性騎士はマニング――


【優秀そうだから、今後タグを表示するときは名前の終わりに星印を一つ加えてくれ】


――了解しました――


 出会うたび、いちいちフェムトに誰がどういう人か尋ねるのも面倒なので、優秀そうな人に印をつけることにした。これで何かと捗るだろう。


 さて、これからどうしようか。


 エレナ事務官からの報告には、第二王都で買爵貴族のトポロがクーデターを起こしたとあった。そこから先の情報は更新されていない。連絡を絶やすなんて、きっちり詰めてくる帝室令嬢にしては珍しい。

 敵対派閥の動向も気になる。ここは用心して、変装してから王都に入ろう。


 イデアでお忍び旅をすることも考えていたので、変装につかうサバイバルペイントを持ってきてある。出番無しだと思っていたそれが役に立つとは……。

 近衛騎士の鎧にある紋章を消したり、髪の色を変えたり、付け髭をしたり、知っている人と遭遇してもいいように過剰に盛った。


「さすがはラスティ殿下、凡人とは考えることがちがいますな」


 年長のアンドレニが褒めてくれるも、おだてているようにしか聞こえない。だってカーラの直属の近衛だし。

 ともあれ理解のある部下に恵まれると楽だ。あれこれ文句を言われることなく、変装完了。冒険者一行という体で、城門の外にある検問所に向かう。


 やはり変だ。

 今日に限って検問所が物々しい。何かあったのか?


「おい、おまえ、どこから来た?」


「えっ、俺は……」


 冒険者証ギルドカードのおかげで引っかからなかったが、護衛の二人が引っかかった。


「目を逸らしたな。冒険者証も持っていないし……怪しい奴」


 連れの二人が捕まると俺も連座だ。なんとかしないと!


 とっさに出任せを言う。

「すみません。この二人は無理に誘ったんで、冒険者証(ギルドカード)を宿に忘れてきたんですよ」


 すると検問所の兵士は顔を突きあわせて、

「…………ありえるか?」

「冒険者証を忘れるなんて、聞いたことないぞ」


「普通ならそうなんでしょうけど、今回受けた依頼は特別でして……あまり大っぴらに言えないんですけど、ここだけの話、貴族のお偉いさんからの依頼でしてね」


 自分用に持ち帰った、聖地イデア産の高級ワインを見せた。


「これはイデアでも数えるほどしか造られていない幻のワイン『神の涙』! おい、おまえッ、どこの貴族の依頼だ?」


「そればっかりは俺たちも知らされていないんですよ。ギルドは依頼者の秘密厳守第一ですからね」


「う~む、これほどのワインを依頼するとは……おそらく侯爵以上、もしかすると王族かも知れんな」

「もしかして、あの侯爵じゃないか? 王城を乗っ取ろうとしていた」


「ああ、到着の頃合いからしてあり得る話だな。……貴様、もしかするとこの依頼、報酬は出ないかも知れんぞ」


「それってどういう意味ですか?」


「王家に弓を引いた馬鹿な侯爵が捕まったんだ。なんだったっけ、クラレ…………マス……マスだっけ? そんな感じの名の貴族様だ」


 クラレンスだな。検問所を担当する一兵卒じゃ、侯爵のフルネームなんて知らないだろう。ってことは俺も知られてないはず。変装は無駄だったか?


 まさか王都でクーデターが起こっていたなんて……。それも首謀者があの女侯爵とか。


 兵士の話を聞く限りだと鎮圧されているようなので、エレナ事務官たちは無事だろう。俺のお妾さんたちはどうなっているんだ?

 気になったが、ここで聞いてもわからないだろう。クラレンスの名前を知らないくらいだ。又聞きの又聞きくらいの情報だろう。王城へ急ごう。


 正体を隠す必要がなくなったので、付け髭を外してネタばらし。

 素顔を見せるなり、兵士二人が膝を突く。

「「ラスティ殿下!」」


 クラレンスは知らなくても、俺のことは知っているのか。

 さすがは王族の肩書き、名乗る前に膝を突かれるとは……。


「すまない。騙すつもりはなかった。第二王都でトポロが謀叛を起こしたと聞いて駆けつけたからね。王都も安全でないと思って用心していたんだ。現に検問が厳しかったからな」


 本当はエレナ事務官から、最初の一報以外に届いてないのが引っかかって、変装した。

 あまり吹聴すると、不安が伝染するからな。黙っておこう。


「こ、こちらこそ殿下と知らず数々の無礼、お許しください」


「非常時だからね。問題ない。それよりも急いでいるんだ。この二人を通してやってくれないか」


「かしこまりましたッ!」

「どうぞ、お進み下さい」


 検問所を出て馬を走らせる。


 クラレンスがクーデターを起こした割に、街並みは綺麗だ。イデアへ行く前と変わっていない。ってことは未然に防げたのか? だとしたら兵卒が口にするわけ無いし……。王城で蜂起したのかも?

 考えるよりも当事者に聞いたほうがはやいな。


 王城に入るなり、ロウシェ伍長と出会った。

 城門を潜ったすぐ先、道のど真ん中で優雅にお茶を楽しんでいる。設けられたテーブルと椅子には、伍長のほかにサ・リュー大師もいた。


「ロウシェ伍長、サ・リュー大師。二人して、なぜここに?」


「エレナ様から門番を任されましてね」


「門番というのは方便。骨休めですな」


 方便じゃなくて、門番だろう。武闘派の二人がいたら、そこいらの騎士じゃ太刀打ちできないぞ。


「そ、そうですか。それで、王城での騒動は? クラレンス・マスハスがクーデターを起こしたらしいですね。そっちはどうなっているんですか?」


「片付きました。いまは残党のあぶり出し……ですかね。王都を虱潰しに探しているみたいですよ」


「それで目立った怪我人や死傷者は?」


「味方の被害は軽微です。死傷者は出ていますが、数えられる程度ですね。ですが相手は……目も当てられない」


 伍長がこう言うということは、伍長より大暴れした人物がいるってことだな。当てはまる人物といえば……鬼教官くらいしか思い浮かばない。

 アレには勝てない……。

 クーデターを起こした敵に同情した。


 不在の間、王城を守ってくれた二人に礼を述べて、玉座の間を目指す。

 いまの時間帯なら、アデルがいるはずだ。



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