受け入れ難い現実
「ただいまー」
私の名前は春夏冬三咲希
先程嶺佐と帰って別れて自分の家まで帰ってきた。
「おかえりなさい…三咲希」
「ただいまお母さん…」
「お父さんにも挨拶したら…?」
「そうだね…ただいまお父さん」
返事は帰ってこない…お父さんはもう居ない。
私のお父さんお母さんはまだ若い…なのに…なのにお父さんは病気で他界した…2年前だ。
病気が見つかった時にはもう遅かった…あと1年だと言われた。信じられなかった。信じたくなかった。
私のお父さんは優しかった。やりたいことも全部やらせてもらった。そんな優しいお父さん。
2年前…病気が見つかったときだって
「なくなよ三咲希…お父さんだってあと1年しか生きれないのは悲しい。でもこの後1年で三咲希とお母さんと沢山思い出も作ったら…悔いなく天国にいけると思うから」
それからの1年はあっという間だった。
お父さんと沢山思い出を作った。
そして…
「そろそろお別れの時間かもしれないな…ははダサいよな何もしてあげらないまま終わるないんて…」
「そんなことない!お父さんは私を可愛がってくれた!遊んでくれた!やりたいこともやらせてもらった!時には怒ってくれた!だからそんな事言わないでよ…」
「はは…こんな娘がいて幸せだ…三咲希の旦那さんに会えないのが残念だ…」
「何言ってるの…お父さん…いつか必ず旦那さんを連れて挨拶しに行くから」
「それは楽しみだ…お父さんは三咲希が好きになり大切に思った人で…その相手も三咲希のことを大切にくれるなら安心だ…好きにしなさい…いいよな?母さん…」
「えぇ…もちろんよ…」
「…お母さん…ごめんな…迷惑をかけて…三咲希をよろしく頼む…」
「そんな事言わないで…もちろんあなたのためにも三咲希を幸せにするわ…あなたに出会えてよかった…愛しているわ」
「はは…こんな奥さんがいて幸せだなぁ…僕も愛しているよ。さぁて…2人とも…元気でな。三咲希…お母さんをよろしく頼む…あんま迷惑をかけるなよ…頑張れよ…辛くなったら目を閉じて父さんを、呼びなさい…すぐ…助け…に来るから…な…幸せ…になれ…」
握っているお父さんの手から力が無くなった。
「お父さん…?お父さん!う…うわーん」
部屋には…まるで現実を知られるかのようにピーっと残酷な音がなり響いた。
「っ…あなたうぅ…」
お母さんも手を握りながら沢山泣いている。
近くにいる看護師さんも…水を刺さないように黙ってくれていたけど、泣いている。
それから少しして…お父さんの担当の先生が来た。
「奥さん…お嬢ちゃん。辛い思いをさせて申し訳ない…我々医者も全力で戦ったのだが…」
先生と看護師さんが少し頭を下げてくれた。
先生達は悪くない。最後までお父さんを助けてくれた。
「最後までお父さんを…助けようとしてくれて…ありがとうございました…」
「三咲希…ちゃん…」
「嬢ちゃん…ごめんな…」
みんなで沢山泣いた。なんで…なんでこんなことになったんだろう…私は神様を恨んだ。
私…春夏冬三咲希は…この世界を理不尽だと思った。
それから少しして。
少しづつだけど学校に登校するようにした。
「みんな…知っているだろうけど…三咲希ちゃんのこと助けてあげてね」
担当の先生はそういった。
みんないつもどうり接してくれた。
お父さんのことには触れないでいてくれた。
そんな時…あることに気づいた。
「あ…あれ?そういえば嶺佐は?」
「…嶺佐君はお休みだよ…」
「体調でも悪いのかな?」
「それは私から詳しくは言えない…先生に聞いてみたら?」
「う…うん」
友達にそう言われたので私は先生に嶺佐のことを聞いた。
「みんなには前に言ったんだけどね…実は」
私はそこで嶺佐たち家族が交通事故にあったことを聞いた。そして…ご両親のことも…妹ちゃんのことも
「嶺佐は?!嶺佐は無事なんですか?」
「嶺佐君は無事みたい…軽い怪我で済んだそうよ…近くの病院にいるはずだわ」
「っ…嶺佐!」
「三咲希ちゃん…嶺佐君に会ってきてくれないかしら…?三咲希ちゃんなら嶺佐君を元気に出来ると思うの…辛い思いをさせるのはわかっているわ…でも先生が言っても…心ここにあらずなの…」
「わかりました…」
私は学校が終わったあとすぐに嶺佐のいる病院に向かった。
「あの…八月一日嶺佐君に会いに来たんですけど…」
「春夏冬三咲希ちゃんね?学校から連絡を貰っているわ…着いてきて」
「はい」
私は受付の優しいお姉さんに案内された。
「嶺佐君…三咲希ちゃんが来てくれたよ?」
「失礼します。」
「じゃあ…また帰るときお姉さんに話しかけてね…?」
「はい」
お姉さんは、受付の方に帰って行った。
「嶺佐?」
「三咲希か何しに来た?」
「会いに来たの嶺佐に」
「そうか…もう会えたな…帰ってくれ…今は1人にしてくれ」
これがあの…嶺佐なの?
体から力が抜けて…窓の外を見てこっちを見てくれない
「あのね…」
「うるさい!帰れって言ってるだろ?」
「いやだ!」
「っ…!お…おい…三咲希…なんで泣いてるんだ…?」
嶺佐がこっちを見て言った。
私は気づいたら泣いていた。
今の嶺佐の気持ちが分かるからだ。
「辛いよね…嶺佐…」
「…お前に何がわかる?!」
「わかるよ!あのね…私のお父さん…死んじゃったんだ…」
「?!」
言葉にできないのか…嶺佐は黙っている…嶺佐が辛い思いをしている時の話だし…お父さんがいた病院とは違うから…知らないよね。
「私のお父さん…病気だったのは知ってたよね…?」
「う…うん」
「嶺佐が辛い思いをしている時にね…死んじゃったんだ…」
「そうか…ご…ごめん酷いこと言った…」
「んーん…大丈夫だよ…でもね嶺佐…現実を受け入れて前を向かなきゃ!」
「…わかってる…わかっているさ!でも…」
「辛いのはわかる…でもずっとこのままで何か変わるの?!」
「っ…」
「妹ちゃんのためにも変わって前を向かなきゃ!」
「…うぅ…」
私は嶺佐のそばにいき…優しく抱きしめた
「辛いよね…理不尽だよね、でも嶺佐は偉いよ…前を向こうとしている…偉いよ…一緒に頑張ろうよ。」
「うぅ……!」
嶺佐は沢山泣いた。
それから2年。
「時が流れるのは早いね…お父さん…」
お父さんのお仏壇の前で私はそういった。
これが八月一日嶺佐と春夏冬三咲希の過去である




