友達-1
これで何日目だろう。
自室待機を申し渡されてから一週間は経つ。
することもなにもないし完治していないから訓練だって出来ない。
体がなまってしまうな、どうしよう?
ベッドに腰かけぼんやり考えていると無意識に胸元を触っていた。
服の下に隠してかけている真紅の首飾り。
真っ赤な血よりも濃く、落ちる直前の太陽よりも美しく輝く大粒の宝石の名前をソニンは知らない。それでも非常に高い価値を持つことくらいはわかる。
きっと自分がまともに働いていたら一生かかったって払いきれないような値段なんだろう。
そんな首飾りをボスは私に託した。
「生きろ。これは無くすな」
それだけの言葉とともに。だからソニンは決して死ねなかった。
たとえ彼が亡くなったとしてもその言葉に報いなければならない
。彼からの信頼を裏切るのと一緒なのだから、絶対に死ねないしこの首飾りも守りきる。
誰から狙われるのかわからないけれどこれほどまで素晴らしいものなら誰だって狙ってくるだろう。命と同じくらい大事にしないといけないのだ。
「…いて」
ボスの事を考えていたら気づけば強く手を握りしめすぎていた。
滲む血を眺めてため息をつく。痛みなんて感じなければいいのにな。
そろそろ包帯も変えなければいけないしついでに絆創膏でももらおう。
そう思いたって医務室へと向かう。
あそこの医者は治癒のギフトを持った優秀な人材で信頼できる。
なによりソニンの一番の友達だ。
何度もお世話になっているうちに仲良くなっていった。
彼女に会って少し話をすれば心も晴れるかもしれない。
想像したらいつの間にか口元は小さく弧を描いていた。医務室への足取りも軽く、
ボスが撃たれてから初めてソニンが笑えた瞬間だった。