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第七章 第一話 宝物

長らくお休みとさせて頂きました。

今回から第七章に入ります。


念願のハンターとなったイース。イースは守と一緒に初依頼を受けます。



 臨時村、ガーサル領の戦いを経て……俺とイースはハンター試験を受ける為に、サウスマンドの都を訪れた。


 1度目の試験で俺は無事に合格する事が出来たが、イースは不合格となってしまい、イースは挫折を経験する。

 

 俺は自分の行動が、再びイースの立ち上がるキッカケになればと思い、初依頼を請け負う。そこで、前の世界で因縁があった西城蓮生(さいじょう れんしょう)と対峙した。

 何とか西城との戦いに勝利し、西城は改心するも、ロングコートを来た男が突然現れ、西城は連れ去られてしまった。


 その後、挫折を乗り越えたイースは再試験に挑み、見事合格を果たした。試験直後、かつてミズキとドラゴのハンター仲間、そしてイースにとっては兄同然の関係だった、白い竜「ヒース」との邂逅も果たした……

 




 








 そして今…………

 


 試験に合格したイースは、前回の俺の時と同様、ハンターズライセンスとともに、師匠直筆の書物も、受付嬢マリーから受け取った。


マリー「イースさん!おめでとう御座います!」


イース「マリーさん!有難う御座います!」


守「イース!頑張ったな!書物は、宿屋に帰ったら一緒に見よう!」


イース「はい!」


 





 早る気持ちを抑えながら、俺達は宿屋へと戻った。


守「それじゃあ早速……一緒に見てみよう!」


イース「はい!楽しみです!」


 


 俺の分には……

 


「守よ。これを見ているという事は、ハンター試験に合格したんじゃな。おめでとう!!これで晴れてハンターとしても、ワシらの仲間入りじゃな!

 其方は皆を助ける力がある。じゃが其方はもっと強くなれる。更に大きな事を成し遂げる力が、内に秘めておる。この書物が、其方の……そしてこの世界の助けになればと思う。

 ……最高の弟子、もとい守よ。其方達はワシにとってかけがえのない……宝じゃ。この先、其方達の行先が幸せなものであって欲しいと、切に願っておる。         

   

     恐れ多いが……其方達の師匠 ゲンジより」

 



守「師匠…………」



 師匠直筆の、心が込められた言葉を読み、俺は感極まった。



イース「師匠ぉぉっ……ひぐっ……ひぐっ……」


 隣を見るとイースは号泣していた。俺に宛ててくれたものと、同じ様な文面であったのだろう。

 俺も自然と涙が溢れる。そうなりながらも俺は、イースの隣に歩み寄り、頭を撫でた。


守「イース。俺達の師匠は…………最高だな!!」

イース「はい……最高です!!……ひぐっ……」


 





 




 

 

 


 そして落ち着いた頃、俺達は書物の続きを読んだ。

 そこには、試験内容以外のハンターとしての心得や、空道等の格闘術、そして剛体術や守護壁術等の強化方法、及びその弱点と改善法等が記されていた。

 また師匠や、更にその師が使っていた、闘気を使用する技についても書かれていた。

 

 守護壁術に関しては、物理攻撃と魔法等の属性攻撃を同時に防ぐ事は、非常に高難度な事だと記されていた。しかし属性攻撃と、無属性あるいは光属性・闇属性の闘気は、また別物である様だ。

 更に守護壁術は光属性のものであり、闇属性とは相性が悪い事も記されていた。

 


守「だから、西条さんの攻撃は守護壁で防げたのか……。けど、おそらく闇属性で相性が悪いのも相まって、守護壁にヒビが入ったのか……?

 …………それに…………師匠が命を賭けて防いだ……ワイドネスの大魔法も……闇属性だったな……」

 


 物理攻撃と属性攻撃を同時に防ぐ為には、更に自在に、そして迅速に、守護壁を展開出来る様にしなければならない。



守「西城さんと戦った時……速度に追いつけず、守護壁を展開出来なかった……。……もっと修行しなきゃな!」







 そしてイースの分には……

 

 俺と同じくハンターとしての心得、格闘術や剛体術について書かれていた。戦闘中の心構えについては、俺の物より更に細かく書かれていた。

 また戦闘試験で繰り出した……光り輝く重撃や、白銀の息、更には会得出来るであろう技についても書かれていた。


 



守「こんなにも沢山……全て俺達の為に……。」


イース「師匠……やっぱり凄い人です!」


守「あぁ!イース!この書物を活用して、もっと強くなろうな!」


イース「はい!!」



 師匠の形見……俺達にとって、こんなにも有難い物はなかった。この書物は……俺達の宝物だ。そして、俺達が更に強くなる為の道標でもある。



 そして、宝物である道標を大事にしまい、俺達は眠りについた。










 




 そして眠りにつく中で……女性の声が聞こえてきた。



「守さん……お久し振りです……」


守「この声は……ディーナ様!お久し振りです!」



 声の主は女神ディーナであった。



ディーナ「弟弟子のイースさんも、試験に合格したのですね。おめでとう御座います。そして、光の者であるゲンジ殿の書物も受け取った様ですね。」


守「有難う御座います!これからは、師匠が残してくれた書物を道標にしながら、イースと一緒に、少しでもこの世界の力になりたいと思っています!」

 

ディーナ「心強いです。ところで……漆黒のフード付きロングコートを身に纏った……邪悪な男に会った様ですね。」


守「…………。……もしかすると……西城さんを連れ去った男でしょうか……?」


ディーナ「はい。正しくその者です。あの者が属している集団こそ……この世界に蔓延る、悪の根源なのです。

 私が貴方をこの世界に呼んだのは、その悪の根源を断ち切る為なのです……。」

 

守「…………!!この世界の……悪の根源……?」

 

ディーナ「はい。その男には……充分注意して下さい。……その男は………………」




 女神ディーナの声は聞こえなくなってしまった。




守「…………。悪の根源……。それを断ち切る事が、俺がこの世界に呼ばれた理由……。…………あの男には充分に警戒しよう……。」









 





 





 そして夜が明けた。

 俺は師匠の書物を基に、修行を再開した。空道、剛体術……そして守護壁術。それらの強化に励んだ。

 イースは戦闘試験で付いた傷がある為、瞑想訓練だけに留めた。



 


 そして3日後……イースの傷が癒えた所で、俺達はハンターズギルドへと赴いた。



 俺は先日の依頼で、冷静に応援を要請した対応を取った事、Cランク相当の相手に勝った事が認められ、Cランクハンターへと昇格した。

 一方イースも、一度試験には落ちたが、再試験で戦闘力と精神力が評価され、Dランクからスタートする形となった。





守「マリーさん!依頼を受けに参りました!」

イース「宜しく御願いします!」


マリー「こんにちは!お二人一緒という事は……一緒に依頼をお受けしますか?」


守・イース「はい!」



 今回はイースと一緒に依頼を受けるつもりで、ハンターズギルドに赴いた。イースにとっては初依頼となる。



マリー「丁度良かったです!かなり特殊な依頼が来てまして……ただ、守さんとイースさんにとっては、打ってつけの依頼だと思いますよ!」


守・イース「打ってつけ……?」



 

 

 今回の依頼主は、サウスマンドから少し離れた……オーズという村出身の、クレアという女性だ。

 最近とある魔物達が、行商人の荷物を奪い取っているらしい。幸い怪我人は出ていないが、サウスマンドの兵士団は、どうやら魔物の討伐準備を進めているとの事だ。

 

 兵士達の一部はガーサル領奪還作戦に助力していたが、通常では主にサウスマンドの治安維持や防衛、周囲の危険排除を担っている。

 ハンターには報酬を用意出来れば、一般民も依頼を要請出来るのに対し、兵士団はその土地の首脳の命令で動く、いわば直属の武力となっている。



 

 


マリー「依頼内容は魔物の討伐……ではなく、魔物に強奪をやめて貰う様、交渉して……兵士団の魔物討伐を阻止したいとの事です。依頼者の護衛及び、交渉のサポートが、今回の依頼内容となります。」


守「なるほど……魔物であるイースもいるから、確かに俺達にとって打ってつけの依頼かもしれませんね。」


マリー「特殊な依頼かと思います。依頼主の方にも来て頂きますね!」


 





「はじめまして……クレアと申します。」


 現れたのは……金色の長い髪が特徴の麗しい女性であった。


守「はじめまして。今回依頼を受注させて頂く、ハンターの守と申します。宜しくお願い致します。」


イース「同じくハンターのイースです!宜しくお願い致します!」


 クレアは俺達を見て、安堵の表情を浮かべる。



クレア「宜しく御願い致します。……正直不安は強かったですが……安心しました。お会いしただけで分かります。心優しい方で良かった……お優しいドラゴンさんも一緒ですね。」


 

 クレアは魔物と心を通わす事が出来る女性だった。

 薬師を生業としている傍ら、危害を加えない魔物の保護も行っているそうだ。


クレア「オーズ村の近くに……シシ族とベア族という種族の魔物が住んでいる集落があります。その種族は人間に危害を加えない魔物達だった筈なのですが……。」


 最近、シシ族とベア族は人間の物を強奪しているとの事だ。またそれだけに留まらず、仲が良かった両者は対立までしていると言う。



クレア「今回の一件……何かがあると思うんです。解決の為……力を貸して欲しいんです!」


イース「分かりました!」


守「分かりました!……因みにシシ族とベア族は、どの様な種族なのでしょうか?」


クレア「はい。写真を持ってきましたので、参考にして下さい。」



 写真は「写真木(しゃしんき)」という、マジックアイテムの一つで撮った物。写真木の中に紙を入れ、起動させると、10秒後に目の前の物や風景が、入れた紙に写し出される。カメラの様な機能を持った、優れ物だ。


 




クレア「こちらがシシ族とベア族の写真になります。」

 


 クレアが取り出した写真を見ると……



守・イース「……!!……これって……」


 




 


 その写真に写り出されていたのは、幼い時のクレアと……






 

 


 身体が小さかったが、ガーサル領で俺達が戦った……シシオウとドグマに似ている魔物であった…………






 












             …… 第七章 第二話へ続く







 

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