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Revenge(リベンジ) 〜「元暗殺者」による異世界救済 〜  作者: goo
第六章 ハンター試験
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エピソード ミズキ①「白い竜との出会い」

今回から2話分、ミズキのエピソード回となります。


side:ミズキ



 

 話は遡り、私がハンターになって間もない時の事だった。


 

 その日は採集依頼で、極上薬草を一定数取り終えた後、ギルドへ帰還途中の道中で……



「助けてぇぇっ!!!」


ミズキ「……!!あれは!?」


 道中で白い竜の子が、人間の盗賊団に取り囲まれていた。近くには他の竜が殺されており、見るも無惨な状況であった。



ミズキ「(助けなきゃ!!)何をしている!!その竜の子から、離れろおぉっっ!!!」


「……!……なんだ女か。よく見れば可愛いな。そいつは生捕りだ!!俺達の奴隷にするぞ!!ヒャハハハハ!!!」


ミズキ「……下衆がああぁぁっ!!!」


 切り捨てたかったが、奴らはギルドで然るべき刑を受けさせなければならない。私は輝水刀(キスイトウ)の峰の部分で、奴らの脚と腕を折り、頭を打ち込み、次々と気絶させていった。


「……!!こいつ、もしかしてハンターか!?逃げろおおっ!!」


ミズキ「もう遅い!!」


「ぐわああぁぁっ!!」



 盗賊団は計6人。全て戦闘不能にした。



ミズキ「大丈夫!?」


「……有難う……………ッス……………」


ミズキ「マズイ!!怪我が酷い!!」


 

 白い竜の子は問い掛けると、糸が切れたかの様に倒れ込んだ。怪我が相当に酷い。隣には両親であろう竜が、大量の血を流し倒れていた。白い竜の子以外の竜は……既に事切れていた……



ミズキ「くっ……!無線貝で応援を……!」


 私はすぐにギルドへ応援を要請した。

 幸い近くに数名のハンターがいた為、すぐに合流出来た。私は数名のハンターに後処理を要請し、直ぐに白い竜の子を抱えて、近くの街に向かった。



ミズキ「(普通の治療場じゃダメだ……あの人の所に行くしかない……!)」


 私は動物や、人間に危害を加えない魔物が大好きだった。それが興じて街の中に、動物や魔物に精通してる人物と面識があった。今回の依頼も、丁度その人から受けたものだった。




 


  


 その人の名は思い出せないが……私は白い竜の子を抱えながら、急いでその人の所に向かった。



ミズキ「この子を……助けて下さい!!」


「……!!これは……白い竜!……プチホワイトドラゴンか!酷い怪我だ……!直ぐに治療の準備をしよう!」



 そこから懸命の治療の甲斐があり……白い竜の子は一命を取り留めた。




ミズキ「(……だけど両親も仲間も……)……この子はどうすれば良いのでしょうか……」


「同じプチドラゴン……プチアイスドラゴンの集落は知っている。悪用する輩がいる為、本来なら機密事項だが……ミズキさん。魔物にも分け隔てなく接する事が出来る貴方になら……教えよう。

 私も同行する為、極秘に護衛を依頼したい。」


ミズキ「有難う御座います……!!分かりました!!」


 その時……白い竜の子が目を覚ました。



「ここは……」


ミズキ「目を覚ましたのね!…………。」


 私は白い竜の子に、状況を伝えた。


「覚えているッス……両親が殺された事も……。

 …………俺を助けてくれて、本当に有難う…………ッス…………」


 白い竜の子は慣れない敬語を言いながら、お礼を言い……涙を流した。


ミズキ「…………!!ごめんね……もっと私が早く来ていれば…………!!」


「!!」


 私は白い竜の子を、泣きながら抱きしめた。


「暖かいッス…………こんなに……優しい人が世の中にいるッスね……うっ…………ううっ……」





 私は、竜の子が元気になるまで、暫く街に留まった。

 竜の子の名前は「ヒース」ちゃん。無邪気で明るい子だった。両親を殺され、自分も酷い事をされたのに……私に明るく振舞ってくれる……強い子だった。

 今思うと、口調は違うけど……優しさだったり、人懐っこい所は……イースちゃんにそっくりだった。


 ヒースちゃんと過ごした時間はあっという間に過ぎていった。本当に楽しい時間だった……


 



 



 


 そして、ヒースちゃんが全快し……私達はプチアイスドラゴンの集落に向かった。

 極秘任務の為、危険ではあったが、深夜に出発した。





 


 朝日が差す頃……無事に集落へと辿り着く事が出来た。

 プチアイスドラゴン達は、驚きの表情をしながら、私達の事情を察してくれた。その時、長と思われる竜が私達の前に現れる。


長「直感で分かる……其方達は信用出来る。この白い竜の子を助けてくれたんだな……同じプチドラゴン族として、礼を言う……」


「有難うございます。ただ私達は人間、この子は竜でまだ小さい。共に生活するのは難しいのでないかと……貴殿を頼りにこの場に来た次第で御座います。」

 

長「承知した。遠い所来て頂き、誠に感謝する。」


ミズキ「この子の事……宜しくお願いします……」


ヒース「ミズキさん!本当に有難うッス!!俺……強くなって、ミズキさんに会いに行くッス!!」


ミズキ「……!!ヒースちゃん!」


 私はヒースちゃんを泣きながら抱きしめる。周りの竜達も暖かく見守ってくれていた。




 そして、別れを惜しみながらも……私達は集落を後にした。







 





 
















 



 そこから約3年が経過した。私はハンターとして、各地を転々としていたが……またこの場所に戻って来た。



ミズキ「(ここに来るのは久し振りだな……ヒースちゃん……元気にしてるかなぁ……)」



 集落の場所は知っていたが……極秘の場所だ。安易とは行けなかった。ヒースちゃんの事を思い出しながら、私はハンターズギルドに赴いた。

 ギルドの中に入ろうとした時、大声が聞こえた。




「ミズキさんって人、知らないッスかぁ!?俺の命の恩人ッス!!憧れの人なんスよぉっ!会いたいンスよおぉ!!会わせて欲しいっスうぅぅ!!」


「ミズキはもう来るから!大人しくしてて!!」



ミズキ「(この声……。)…………!!」

 

 聞き覚えがある声だった。私は急いでギルドの中へと入った。


ミズキ「…………!!……ヒースちゃん!!」


ヒース「……!!……ミズキさん!!」


 私達は抱き合った。3年振りの再開だった。……私はもう会えないと思っていたが、ヒースちゃんが危険を承知の上で、会いに来てくれた。


ミズキ「ヒースちゃん!!危ないじゃない……大丈夫だった……?」


ヒース「大丈夫ッスよ!俺は強くなりました!ハンターになって、ミズキさんに追いつきたくて、ここに来たッスよぉっ!!」


ミズキ「ヒースちゃん!!」


 私は更に力強く、ヒースちゃんを抱きしめた。


ヒース「グエッ!?……ミズキさん……力が……お強くなりましたっスね……俺も強くなってるんだけどな……」


ミズキ「はわわわわ……ごめんなさい……」






 


 





 その後は同じ宿屋に泊まりながら、時に勉強を……時には修行をつけていき……私も助力しながら、ヒースちゃんは弛まぬ努力で、見事ハンター試験を突破した。



ヒース「遂に……ハンターになれましたぁ!!苦節3年……憧れの人と……肩を並べたっスよおぉっ!!」


ミズキ「ヒースちゃんおめでとう!!これからも宜しくね!!」


ヒース「有難う御座います!!(あれっ!?憧れの人っていうワードはスルー!?……まぁ良いか!!)」



 





 その夜私達は、ヒースちゃんの合格祝いを兼ねて、街の酒場へと赴いた。



ミズキ「ヒースちゃん!おめでとう!良く頑張ったね!よしよし……!」


ヒース「有難うッス!俺は今……最高に幸せッスうぅぅ!!」


 私はヒースちゃんの頭を撫で、ヒースちゃんは喜んでくれた。私は成人を迎えており梅酒を、ヒースちゃんはミルクを頼み、祝杯を上げた。


ヒース「ぷはぁっっ!!……ミルクは身に染みますねえぇ!!」


ミズキ「フフフフッ!ヒースちゃん、おじさんみたい!」


ヒース「おじさんッスかぁ。……ミズキさんはおじさんは好きっスかぁ?」


ミズキ「おじさんかぁ……うーん……好きとか、そういうのはないかなぁ?」


ヒース「……!!じゃあ俺はオジサンじゃないッス!」


ミズキ「知ってるよ!……でもヒースちゃん、ミルクが口の上について、ヒゲが生えてるオジサンみたい!」


ヒース「……!!だぁぁぁ!拭かないとおぉ!」


ミズキ「フフフフッ!慌てないで!」

 


 ヒースちゃんは明るくて、賑やかな子だった。

 私はハンターになって、凶悪な犯罪者を相手にする様な生活……身体だけでなく心も疲弊していた。

 ヒースちゃんは、そんな私を元気付けてくれる。






 


 私とヒースちゃんは一緒に採集依頼をこなしたり、ご飯を食べたり、修行したり……一緒にいる事が殆どだった。

 暗闇にいた私を、ヒースちゃんは明るく照らしてくれる。ヒースちゃんと一緒にいる時間は楽しく、あっという間だった。



 


 いつまでも、こんな時間が続けば良いな…………


 



 


 その時は……ただひたすらにそう思っていた…………

 

 





 





 






      …… エピソード ミズキ②「後悔」へ続く







 

 

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