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Revenge(リベンジ) 〜「元暗殺者」による異世界救済 〜  作者: goo
第六章 ハンター試験
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第六章 第十話 陽魔法 対 炎の剣


side:シャイン


 期待の新人ハンター「守」が、行商人を襲った盗賊団のアジトを発見した。私はその連絡を受け、急いで現場に直行し、守と合流した。

 アジトに潜入した私達は、行商人が囚われた牢屋を発見するが、そこに現れた相手は首領のバーグと……どうやら守との因縁がある……「サイジョウ」という者だった。





西城「バーグ様!俺はシャインの隣の男と戦います!転送装置を使わせて頂きます!」


バーグ「お前が探していた者が……隣にいる男なんだな。分かった。好きにしろ。敵を少なくして貰えるのは好都合だ。」


 サイジョウという者は、立方体の小さな装置を取り出した。その装置は突如開くと、守の周りに黒いモヤの様な物が出現した。


守「……!!(これは……何だ!?)」



 そして守は、サイジョウと共に消えていった。


シャイン「……!(あれは……亜空間転送装置か!)」


 亜空間転送装置……使用者本人と対象者を、亜空間へと転送出来るマジックアイテムだ。使用者の任意、あるいは使用者が戦闘不能や死亡した場合、元の場所に戻ってくる事が出来る。



シャイン「(しかし……本来殆ど目にする事が出来ない貴重な物……私も見たのは久し振りだ。)」







 


バーグ「さて……後はお前と俺だけだ。どうやら俺はBランクの指名手配者……お前はSランクハンターか……そっち側の裁量で判断されるのは、気に食わんな。

 お前を殺して、その判断が間違ったものだと証明しよう!」


 バーグはすぐさま、火炎魔法を繰り出す。


バーグ「フレイムカッター!」


 火炎で生成された刃が、次々と襲う。


シャイン「(いきなりか……私と同じ様な攻撃が得意な様だな)……サン・ウォール!」


 私は火炎の刃を、陽の壁で全て防ぐ。






バーグ「(視界が遮られた!壁が消えた瞬間、真っ二つにしてくれよう!)」


 バーグは右手から剣を取り出した。その剣は忽ち炎が吹き出し、炎の剣となる。陽の壁が消えた直後、バーグは炎の剣を振り翳す。


シャイン「ふん!」


 私は右手の周りに陽を纏わせ、炎の剣を防ぐ。私とバーグの間には、凄まじい陽と火炎が噴き上げていた。


シャイン「(背後には行商人の方達がいる……俺を囮として、攻撃をずらさなければ……)」



 私はバーグの炎の剣を防ぎながら、陽の初期魔法を無詠唱で、次々と放つ。


バーグ「……!(こいつ……俺の剣を防ぎながら、魔法を次々と……しかも無詠唱だと……!)」


 バーグはバックステップし、私との距離を一旦空けた。





バーグ「(流石Sランクという所か……加減して勝てる相手ではないな……全力でいく!)……ブレイズアーマー!!」

 

 バーグは魔法の詠唱後、炎を纏う。その様は、自身の身体に炎の鎧を纏わせていたかの様だった。


バーグ「これで貴様の魔法を防ぎながら、斬り伏せてくれる!」


シャイン「……(なるほどな。)」


 バーグは私の陽魔法対策を講じてきた。バーグは私に炎の剣を振り翳してきたが、私は先程と同じ様に、陽を腕に纏わせ、バーグの攻撃を防ぐ。




 


 そこからはバーグの斬撃と、私の拳撃が交錯する。互いに連撃を放ち、それらを防ぐ、攻撃と防御の応酬となる。

 

バーグ「くっ……(魔法を纏わせているとはいえ……素手で俺の剣を防ぐだと……しかも、押され始めている!?)」」


シャイン「(そろそろ決めるか……)……サン・ジャッジメント!!」


 バーグが後退する隙に、私は陽の十字架を出現させ、バーグへの放つ。


バーグ「くっ……!」


 バーグは十字架を炎の剣で防ごうと試みるが、十字架は炎の剣と炎の鎧による防御を突破し、バーグを襲った。


バーグ「ぐうおぉっ!!(……凄まじい魔力だ……!)」


 バーグは大きく後方へと倒れ込む。戦闘不能までとは至らなかったが、かなりのダメージを負っている様だった。


バーグ「くっ……(接近戦は分が悪い……かと言って、向こうの魔力を考えると、魔法での遠距離戦も、こちらの分が悪いか…………ならば!)」


 バーグは直線状の炎魔法を、行商人目掛けて放ってきた。


シャイン「……!(必ず狙うと思った……このタイミングか!)……サン・ウォール!」

 

 

 俺は陽の壁で、直線状の炎魔法を防ぐ。


バーグ「……お前の強さ……認めてやるよ。……死ね!!」


 バーグは先程よりも強い踏み込みで、更に剣技も繰り出す。


バーグ「ブレイズ……スラッシュ!!」


 炎の剣は更に炎が吹き出し、私に襲い掛かった。

 だが……








バーグ「……!!(バカな……)」


シャイン「隙は出来たが……何とかなったな。」


 バーグが振り翳した炎の剣を、私は顔の直前で、両手で挟みながら受け止めた。ハンター・ゲンジに教わった……「白刃取り」という防御技だ。

 今のバーグから繰り出された斬撃を、先程の様な防御では防ぎきれないと判断した私は、斬撃の方向から真横に両手を挟み込む事で、防いでいた。


シャイン「……まさか私が、緊急用の技を出さざるを得ない状況になるとは……だが、バーグ。お前の悪事もここまでだ。」

  

バーグ「……!!」


シャイン「……サン・シャイン!!」

 

 俺は光り輝く陽の魔法を、扇状に放つ。


バーグ「(脱出を……!!剣が……抜けない!)」


 バーグは炎の剣を抜こうとしたが、俺の白刃取りから抜け出せられなかった。


バーグ「(仕方ない!剣は……)」


 バーグは炎の剣を見限り、脱出しようとする。だが先程の僅かな判断の遅れが仇となり、バーグは私の陽魔法を喰らう形となった。


バーグ「(しまった……!!)……ぐわああぁぁっっ!!!」


 光り輝く扇状の陽魔法は、バーグを飲み込んでいった。

 陽魔法が収まると、数々の火傷を負ったバーグが倒れ込んでいた。









シャイン「死なない程度に、威力は調整してある。だが、もう動けないだろう。お前の身柄を拘束し、ギルド本部へ引き渡す。」


バーグ「……!(動けん……だが……捕まる訳には……いかん!)……待ってくれ!せめて無線貝で、幹部と連絡させて欲しい!」


シャイン「……良いだろう。サン・チェイン!」


バーグ「!!」


 私は魔法で鎖をバーグの身体に出現させ、拘束した。


バーグ「(流石だ……抜け目はないな……)……サイジョウ!聞こえるか!?俺はシャインに負け、拘束された!お前が今戦っている男に勝ったとしても、シャインが待ち構えているだろう。」





シャイン「(サイジョウと連絡を取っている?……だが戦闘中の筈だ。守の状況も気になるが……迂闊に連絡は出来ないな。サイジョウの隙をつけるかもしれないからな……)」


バーグ「…………!!貴様ぁ!!俺を侮辱するのかぁっ!!……………………貴様も俺と同じだ!!どのみち死ぬ!!後悔しながら、死ねええぇっっ!!!」


 バーグはサイジョウと連絡を取ったが、激昂した。






バーグ「…………取り乱したな。これで未練はない。貴様ら共々、あの世へ送ってやろう。」


 バーグの身体から、炎が更に吹き荒れる。


シャイン「……!!(これは、マズイ!!…………やむを得ない!!)」


 私はバーグが持っていた鍵を、鎖を操作しながら、手に入れた。即座に鍵を開け、牢屋にいた行商人を匿い、緊急脱出の魔法を念じた。


シャイン「(守……すまない!無事でいてくれ……!)」


バーグ「あの世へ道連れだ!死ね…………!

 …………ブレイズ…………デスペレイトォォ!!!」



 ボオオオオオオオォォォォッッッ!!!!

 ドガラララララララララララッッ!!!!


 バーグは自身の命を代償に、捨て身の炎魔法を発動した。











 




 










シャイン「…………。何とか切り抜けたか……。」


 私の緊急脱出の魔法は間に合い、攫われていた行商人とともに、無事に外へと出る事が出来た。

 バーグが発動した捨て身の魔法……時間を要し、己の命を代償とするが、呪文や念じる事を必要としない魔法だ……先程無線貝で連絡したのは、おそらく時間稼ぎの目的もあった。


シャイン「……。(残りの者は生きて法の裁きを受けさせたかったが、この崩落の中皆死んでしまっただろう……。

 守が心配だが……一先ずは助けた人達をギルドまで、送り届けねば……)」











 





side:守


 俺はシャインと共に、盗賊団のアジトに潜入し、首領バーグと、副首領西城に遭遇した。戦闘に入ろうという所で、西城が持っていた何かしらのマジックアイテムにより、亜空間へと転送された。

 


西城「これはある人物から貰った亜空間転送装置、という物でな……北条……お前を見つけた時に使うと決めていた物だ。…………やっと…………やっと……この日が来た。」


守「西城さん。俺は貴方に2度も負けました。……何故貴方は俺に、そこまで固執するのですか?……どのみち盗賊団に加担していた時点で、貴方を捕えねばいけませんが……」


 俺の言葉を聞いた西城は、目を見開き叫んだ。


西城「2度負けただと……?2度目の試合……あれは単に俺が時間に救われただけだ!!お前が手を止めていなかったら……間違いなく俺は負けていた!

 ……お前という存在が……俺を縛り付けている……お前を倒し、呪縛を解き放ってみせる!!」


守「…………。」





 


 俺に固執する西城。だが俺には、やるべき事がある。

 目の前の、行商人を襲った盗賊団の副首領……そいつを戦闘不能にして拘束する事だ。

 お互いの気持ちは相容れないまま、俺と副首領西城との戦闘が始まるのであった……

 













 




      


            …… 第六章 第十一話へ続く




 

 



 

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