表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Revenge(リベンジ) 〜「元暗殺者」による異世界救済 〜  作者: goo
第六章 ハンター試験
61/88

第六章 第五話 第一部実技試験 イース編


side:イース


 第一部実技試験……僕はサウスマウンテンの麓で、守さんと一旦別れ、東側の頂上を目指して、駆け登っていた。


イース「(走るのは苦手だけど……今日までに沢山走ってきた!)」


 


 マリーさんに渡された紙には、制限時間内に、「心の花」を東側の頂上まで持ち運べ、と書かれていた。制限時間は2時間である。


イース「(心の花……下見の初日で、偶然見つけた白いお花だ……)」



 「心の花」は、下見の初日で僕が偶然見つけた、白いお花だ。ハンスさんが持っていた、気付け薬の材料になる物だ。あの時は偶然見つけたけど……図鑑で調べたら、かなり貴重な物だと知り、凄く驚いた。


イース「(確か、川が流れている橋の下……川の近くで、影になっていた場所にあった筈……よし!時間との勝負です!急ぎましょう!)」



「心の花」は日陰の場所、且つ水場の近くが自生場所であった。標高200m程の地点にある、橋の下が自生場所だ。








 足が遅い僕は、四苦八苦しながらも、目的の橋の手前まで辿り着いた。僕が橋の下に行こうとした、その時であった。



 ドゴオオオッ!!


イース「ひゃぁぁっ!!」


 僕の手前で、いきなり落石に見舞われた。あまりの衝撃に、僕は後ろに尻餅を着いてしまった。




「……やはり腰抜けは、腰抜けだな。……また会ってしまったな。俺は今回の試験官の一人、ハンターのドラゴだ。貴様を妨害しに来た。」

 

イース「……!!」


 ハンターのドラゴさん……。守さんと一緒にハンターズギルドに入った時……僕に……「ハンターになったら死ぬ」「そもそもハンターになれない」と言っていた人だ……。



イース「…………。」


 あの時はただ泣きそうになって、何も言えなかった……守さんが割って入って下さり、マリーさんが声を掛けて下さった……。


イース「……。(だけど……今は僕一人……何とか……何とかしないと!)」


ドラゴ「……うん?」


イース「邪魔を……しないで下さい!僕は……ハンターに……なるんです!」


 僕は今にも恐怖で押し潰されそうになるが、懸命に立ち上がり叫んだ。

 






ドラゴ「ふん。声が震えてるじゃねぇか。……俺は、実力が伴わねえのに、無茶をして……挙げ句の果てに戦意喪失して……動けなくなって、死んだ奴らを沢山見てきた。」


イース「…………。」


ドラゴ「貴様も死んだ奴らに、よく似てる……。無茶をして、背伸びしてると……本当に死ぬぞ。」


イース「死ぬのは怖いです……ただ……僕にも、ハンターになりたい理由があります!ここで終われません!」



 僕は再び、ドラゴさんへ向けて叫んだ。








ドラゴ「ほぉ。それじゃぁ、お前1人で何とかしてみせるんだな!」



 ドラゴさんはそう言った直後、地面を叩きつけ、石の塊の様な柱を次々と生成してきた。



イース「(姿が見えない……早急に手を打たないと!)」




 ハンターの心得に……見えない敵の脅威について、記されていた。今は、その脅威に晒されている最中の状況であった。



イース「(僕に出来るのは……)……はあぁぁぁっ!!」



 ドゴオオオォォォッッ!!



ドラゴ「ほぉ。」



 僕はドラゴさんが生成した、石の柱を、拳で砕き崩していった。直後、ドラゴさんの姿が顕になる。



ドラゴ「判断は……良さそうだな。力もあるか……。……ならば、これならどうだ!」



イース「……!!」




 ドラゴさんは、今度は半球状の土の壁を、僕の後方に生成してきた。丁度、僕は退路を断たれた状況となる。

 退路の確保……これもハンターの心得に記されていた、重要事項だ。

 退路を断たれた僕に向かって、ドラゴさんは襲い掛かってくる。



ドラゴ「さぁ、この状況……どう打破する!?」


イース「……(ここは……)……はああぁぁっ!!」


 僕はドラゴさんに向かって、白銀の氷の息を吐き出した。


ドラゴ「……!(こんな攻撃も持ってるのか……やむを得ない。ここは躱す!)」


 ドラゴさんは、僕が吐いた氷の息を横へ躱した。




 


イース「(今の内に!)」


 僕は後方の半球状になっている土の壁を、拳で崩していった。


ドラゴ「……。(判断を誤ったな。)」


イース「えい!えい!」



 ドガララララララララ!!


イース「…………うわぁっ!!」


 突如土の壁が一気に崩れ、僕を押し潰す様に落下してきた。辺りに土煙が舞っていく。




 




ドラゴ「……。(土の壁は重量を調整してある……腰抜けを回収して、治療を受けさせるか……まぁそうなると不合格だがな。)」




 次の瞬間、ドラゴさんに向かって、土の塊が次々と襲いかかる様に飛んできた。



ドラゴ「……!!(まさか……!?)」


イース「えいっ!えぇぇいっ!!」


 

 僕は剛体術で身体を固めており、殆ど無傷であった。

 僕は隙を作らない様に、崩れていった土の塊達を、ドラゴさんの気配がする方へ、投げ付けていった。



ドラゴ「(こいつ、俺の姿が見えない筈……気配を察知してるのか!?)」

 

 ドラゴさんは土の塊全てを、避けるか防いでいたが、土の塊は散開し、ドラゴさんの姿が顕になる。



ドラゴ「成程な……お前の強みは、その硬い身体と怪力……奇想天外な戦法という訳か……。」



 ドラゴさんは渋い顔で、話を続ける。


ドラゴ「(一つ判断ミスはあったが……試験規則に反する事は出来ない……仕方ない。)……一先ず、ここでは見逃してやる。……仮に頂上へ辿り着けたとしても、お前はハンターにはなれんがな。」


イース「僕は……必ずハンターになります!」


ドラゴ「……ふん。精々頑張るんだな。」



 ドオオオオォォォンッ!!


 土煙を浴びて小爆発が起きたと思うと、ドラゴさんは姿を消した。気配も消えていた。


イース「今の内に……心の花を探しましょう!」






 




 僕は橋の下を探し、川の近くで橋の影に隠れていた、白く大きなお花を見つけた。

 その花は紛れもなく、「心の花」であった。


イース「やった!(探し物は早く終わりました!……あとは頂上まで、急ぎましょう!)」



 あとは、時間との勝負だった。足が遅い僕は、ただひたすらに、懸命に山道を駆け登っていった。



イース「はぁ……はぁ……あと……もう少し!!」


 僕は、東側の山頂目前の所まで来ていた。

 最後に崖を登り切れば、山頂へ着く事が出来る。残り時間は約15分程となっていた。


イース「(時間がありません!頑張って登らないと!)」


 僕はひたすらに崖を登っていった。崖を登っている途中、いくつかの落石に見舞われた。


イース「……!!(避けられません!……身体を固めて、耐え切ります!)」



 僕は落石に何度もぶつかりながら、着実に崖を登っていった。





 




 そして、崖を登り切り、サウスマウンテン東側の頂上に無事辿り着く事が出来た。

 そこには先程会った、ハンターのドラゴさんが立っていた。



ドラゴ「辿り着いたか…………所要時間は1時間58分!

 ……持っている花は……心の花で間違いない!

 …………色々と苦言は呈したいが……ギリギリの合格だ!」


イース「はぁ……はぁ……やったぁ!有難う御座います!」



 僕は何とか、第一部実技試験を突破する事が出来た。


ドラゴ「退路を塞がれた時、強引に土の壁を崩したのは悪手だ!下手をしたら、大怪我か死ぬぞ!

 身体は頑丈みたいだが……それに頼り過ぎたら死ぬからな!肝に銘じておけ!」



イース「はい!」


ドラゴ「あと……最初腰を抜かしただろ!ハンターになろうとする者にとって有るまじき、失態だ!気持ちを強く持て!!貴様はその弱い心が最大の弱点だぁ!!」


イース「はい……」


 ドラゴさんは凄い剣幕で叫び、僕はたじろんだ。




 





ドラゴ「……ふん。次は戦闘試験に入る。本来なら俺が貴様に引導を渡してやりたいが……貴様の戦闘試験を担当したいと、希望していた奴がいてな。」



イース「僕の担当を希望していた、ハンターさん……?」


ドラゴ「俺の後輩にあたるハンター……コイツだ。」


「……久し振りね。」


イース「……!!」
























 そこに現れたハンターさんは……ミズキさんだった。


ミズキ「……やはり、ハンター試験を……受けてしまったのね。…………せめて私の手で、貴方をハンターにさせない様にと……私が、貴方の戦闘試験を担当したいと、ハンターズギルドに志願したんです。」



イース「ミズキさん……」



 その時、丁度晴天だった筈の空が、黒い雲で徐々に隠されていった。試験の行先にも、暗雲が立ち込める。


 



 僕は、第一部実技試験を何とか突破したが、最終試験である戦闘試験の相手は、ミズキさんとなった。

 この戦闘試験は、過酷で非情なものとなるのであった…………









 








             …… 第六章 第六話へ続く







 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ